1 家事事件の種類・分類|全体
2 審判対象事件−別表第1事件×手続
3 審判対象事件−別表第1事件|内容
4 審判対象事件−別表第2事件×手続
5 審判対象事件−別表第2事件|基本|内容
6 審判対象事件−別表第2事件|附帯タイプ
7 審判対象事件|附帯タイプ|メインとの関係|例
8 訴訟対象事件−一般調停対象事件
9 訴訟対象事件−特殊調停対象事件

1 家事事件の種類・分類|全体

『家事手続』には多くの種類があります。
詳しくはこちら|家事事件|手続|種類・基本|別表第1/2事件・一般/特殊調停対象事件
なお,一般には『案件』と言うところですが,実務上『事件』と言います。
家事事件の種類はいくつかに分類されています。
事件の種類によって利用できる手続が異なります。
本記事では家事事件の種類・手続の種類を1つずつ説明します。
全体のまとめは別に説明しています。
詳しくはこちら|家事事件|手続|種類|まとめ|利用できる手続・所要期間の目安
最初に,家事事件のおおまかな分類を整理します。

<家事事件の種類・分類|全体>

分類 法改正前の呼称
審判対象事件−別表第1事件 甲類審判事件
審判対象事件−別表第2事件 乙類審判事件
訴訟対象事件−一般調停対象事件 一般調停事件
訴訟対象事件−特殊調停対象事件 特殊調停事件

平成25年に家事審判法が廃止され,家事事件手続法が施行されました。
この法改正により家事事件の分類のネーミングが変わりました。
文献などの説明では,まだ旧呼称が残っていることもあります。
そこで,古いネーミングも上記にまとめました。

2 審判対象事件−別表第1事件×手続

家事事件の分類の中に審判対象事件があります。
『審判事項』と呼ぶともあります。
審判対象事件はさらに『別表第1/第2事件』に分けられます。
まずは別表第1事件について利用できる手続をまとめます。

<審判対象事件−別表第1事件×手続>

あ 性格・調停なし

『当事者の利害の対立→調整』という性格が少ない
→調停の対象外とされている
※家事事件手続法244条

い 基本的手続

最初から『審判』を申し立てることになる
※家事事件手続法39条

う 不服申立

審判に対する不服申立=『抗告』
『訴訟提起・控訴』を行うことはできない

え 旧呼称

法改正前は『甲類事件』と呼んでいた

3 審判対象事件−別表第1事件|内容

別表第1事件に分類される種類の案件内容をまとめます。

<審判対象事件−別表第1事件|内容>

あ 後見等開始(後見人選任);別表1−1,3

詳しくはこちら|成年後見人の制度の基本(活用の目的や具体例と家裁の選任手続)

い 不在者財産管理人選任;別表1−55

詳しくはこちら|家庭裁判所は不在者の財産管理人を選任できる(選任の要件)

う 失踪宣告;別表1−56

詳しくはこちら|家裁の失踪宣告の審判手続(申立権者・管轄・調査方法・所要期間)

え 養子縁組,死後離縁の許可;別表1−61,62

ア 未成年養子の縁組許可
詳しくはこちら|養子縁組の基本(形式的要件・効果・典型的活用例)

お 特別養子縁組,離縁;別表1−63

詳しくはこちら|特別養子縁組;まとめ

か 熟慮期間の延長;別表1−89

詳しくはこちら|相続承認と相続放棄|承認には単純承認と限定承認がある|熟慮期間・伸長の手続

き 相続財産の保存・管理に関する処分;別表1−90

詳しくはこちら|相続財産の管理(相続人による管理と家裁による保存に必要な処分)

く 相続放棄の申述の受理;別表1−95

詳しくはこちら|相続放棄の申述の家庭裁判所の手続と受理する審判の効果

け 相続財産管理人の選任;別表1−99

詳しくはこちら|相続債権者による相続財産管理人の選任手続と換価・配当の流れ

こ 氏・名の変更の許可;別表1−122

詳しくはこちら|氏と名に関する制度(命名・変更)の全体・変遷

さ 性別の取扱いの変更;別表1−126

詳しくはこちら|性同一性障害→家裁の審判で『性別変更』|戸籍上『夫』『父』になれる

4 審判対象事件−別表第2事件×手続

別表第2事件が利用できる手続を整理します。

<審判対象事件−別表第2事件×手続>

あ 性格・調停あり

当事者の対立という関係が存在する
→『調停』を申し立てることができる
※家事事件手続法244条

い 不服申立

審判に対する不服申立=『抗告』
『訴訟提起・控訴』を行うことはできない

う 旧呼称

法改正前は『乙類事件』と呼んでいた

5 審判対象事件−別表第2事件|基本|内容

別表第2事件に分類される種類・内容を整理します。

6 審判対象事件−別表第2事件|附帯タイプ

別表第2事件のうち,例外的な扱いもあります。
例外的扱いを受ける事件(案件)の種類をまとめます。

<審判対象事件−別表第2事件|附帯タイプ>

あ 分類される種類

ア 離婚に伴う財産分与
イ 親権者の指定

い 特殊性

『附帯事項』として分類されている(後記)
※人事訴訟法32条

7 審判対象事件|附帯タイプ|メインとの関係|例

『附帯タイプ』の手続(前記)とメインの手続との関係を説明します。
典型的な離婚請求に関する手続を前提としてまとめます。

<審判対象事件|附帯タイプ|メインとの関係|例>

あ 前提|具体例

離婚請求(の調停)

い メインの申立=訴訟事項

離婚調停
=離婚本体についての協議
具体的内容=離婚する/しない

う 付随的申立(附帯事項)=審判事項

財産分与・親権者の指定の調停

え 単独での審判申立

離婚成立後に『財産分与or親権者の指定』を申し立てる場合
原則どおりの扱いとなる
=『審判』を申し立てることができる
離婚成立前は無意味なので申立はできない

『財産分与・親権者の指定』は審判対象事件です。
原則的に『審判を利用する』ものであり『訴訟は利用できない』はずです。
しかし,訴訟の中で扱われることもあります。
つまり,離婚請求『訴訟』の中で,財産分与・親権者の指定が扱われるのです。
このように特殊な例外的扱いがなされるのです。
『財産分与・親権者の指定』を単独で申し立てる場合は原則どおりです。
つまり,調停or審判を申し立てることになります。
詳しくはこちら|離婚の条件が合意に達した時点で離婚協議書の調印+離婚届提出をすると良い

8 訴訟対象事件−一般調停対象事件

訴訟対象事件はさらに『一般調停/特殊調停対象事件』に分けられます。
まずは『一般調停対象事件』についてまとめます。

<訴訟対象事件−一般調停対象事件>

あ 訴訟対象事件|概要・調停前置

訴訟提起が認められている
訴訟前に調停を申し立てる必要がある
家事審判の申立はできない
※人事訴訟法2条

い 一般調停対象事件

『訴訟対象事件』のうち『特殊調停対象事件』(後記※1)以外のもの
当事者が処分できる身分関係を対象とする
当事者の合意だけで身分関係の確認や形成の結果を生じさせられる

う 一般調停対象事件|内容

ア 離婚請求(本体)
イ 内縁解消
訴訟の利用はできない
ウ 離縁(養子の解消)

上記のように内縁解消だけはちょっと特殊です。
内縁は離婚と同様に扱う,という原則があります。
しかし家事手続については完全に同一としては扱わないのです。
この『ズレ』のために特徴的・例外的な扱いとなっています。
詳しくはこちら|内縁関係解消の手続;協議書,役所,家裁の調停

9 訴訟対象事件−特殊調停対象事件

訴訟対象事件のうち『特殊調停対象事件』について説明します。
『イレギュラーな審判』という趣旨で『特殊調停』と呼んでいるのです。

<訴訟対象事件−特殊調停対象事件(※1)>

あ 特殊性

本来は訴訟対象事件である
→原則的には『審判』はない
『調停で合意した場合』だけは『審判』を行う
この特殊性から『特殊調停』と呼ぶ
※家事事件手続法277条

い 特殊調停事件の内容(基本)

当事者が処分できない身分関係を対象とする
当事者の合意だけでは身分関係の確認や形成の結果を生じさせられない
※松本博之『人事訴訟法 第3版』弘文堂2012年p16

う 特殊調停対象事件の具体的内容

ア 婚姻の無効確認
イ 協議離婚の無効確認
ウ 養子縁組の無効確認
詳しくはこちら|縁組無効の裁判手続(調停前置・合意に相当する審判・訴訟の立証責任)
エ 親子関係の不存在確認
オ 嫡出否認
カ 認知
詳しくはこちら|強制認知|家裁の調停・訴訟|協力しない『父』への認知請求
詳しくはこちら|嫡出否認,認知,親子関係不存在確認の調停,審判,訴訟;まとめ