1 失踪宣告は家庭裁判所の審判により行う
2 失踪宣告の申立権者は『利害関係人』
3 失踪宣告|『生死不明』の調査方法
4 失踪宣告手続の所要期間は5か月プラスアルファ
『失踪宣告』という制度の内容については別記事にて説明しています。
詳しくはこちら|生死不明→不在者財産管理人→失踪宣告→相続,生命保険金支払となる;普通失踪,危難失踪
本記事では,失踪宣告の手続について説明します。
1 失踪宣告は家庭裁判所の審判により行う
失踪宣告は家庭裁判所が行います。
審判という手続によって家庭裁判所が審理・判断をします。
<家庭裁判所の失踪宣告の審判>
あ 家庭裁判所の審判手続
失踪宣告の手続は家庭裁判所の審判により行われる
別表第1事件に分類される
詳しくはこちら|家事事件(案件)の種類の分類(別表第1/2事件・一般/特殊調停)
い 管轄
不在者の住所地の家庭裁判所が管轄である
=申立書を提出する裁判所
2 失踪宣告の申立権者は『利害関係人』
法律上,失踪宣告の申立権者は『利害関係人』と規定されています(民法30条1項)。
『利害関係人』とは,法律上の利害関係のことであると解釈されています。
詳しく言うと,扶養義務・相続という法律上の権利・義務に関わる範囲です。
具体的な例は次のとおりです。
<失踪宣告の申立権者>
不在者との関係 | 申立の可否 |
配偶者 | ○ |
父母 | ○ |
相続人 | ○ |
(不在者所有の不動産の)賃借人 | × |
3 失踪宣告|『生死不明』の調査方法
失踪宣告の審理と言っても,外部の調査会社・探偵に依頼して,行方をたどるということは行っておりません。
住民票上の住所とされる場所の現地調査は申立時に通常要請されています。
次に,近親者に,『最後に連絡が取れた日』を照会する,というのが主な方法です。
これと同時に公示催告を行います。
<公示催告の趣旨|概要>
あ 概要
該当する者について『失踪宣告が申し立てられた』ということをアナウンスする
い 口語での説明
『このままだと死亡したものとみなされるので,本人が見たら申し出て下さい』
『本人の所在を知っている人がいたら連絡下さい』
具体的には,官報に掲載する+家庭裁判所の掲示板に掲示する,という方法です。
現実的には,これらを見て家庭裁判所に連絡が入る,ということは通常生じません。
4 失踪宣告手続の所要期間は5か月プラスアルファ
失踪宣告の手続きで,時間がかかるプロセスは『公示催告』です。
法律上,公示催告の期間として原則『3か月以上』であることが要求されています。
<公示催告の最低期間>
失踪の種類 | 公告の最低期間 |
普通失踪 | 3か月 |
危難失踪 | 1か月 |
※家事事件手続法148条
実際には,同時並行の官報公告の掲載までのタイムラグ(ロスタイム)分の余裕を上乗せして,5か月程度を設定していることが多いです。
具体的には,公示催告期間の満了の日として,申立から5か月程度後の日を設定し,公告内容に含めるのです。