1 面会交流(旧面接交渉)は子供との面会,メール,メッセンジャーの連絡をすること
2 面会交流の権利性は認められている
3 子供との面会交流は合意したら書面化しておくと良い
4 『面会交流』と『養育費』との引き換え→NG
5 子供との面会交流を相手が妨害する場合,調停・審判を利用できる
6 子供との面会交流の調停,審判で定められる内容サンプル
7 同居親が子供に『別居親の悪口』を吹き込む→『子供が面会拒否』は想定内
8 同居親が『面会交流を妨害・拒絶』は想定内
9 祖父母と孫の面会交流が認められることもある

1 面会交流(旧面接交渉)は子供との面会,メール,メッセンジャーの連絡をすること

(1)ネーミング

離婚後や別居中に,一方の親が子供と会うことを,実務上『面会交流』と呼んでいます。
以前は『面接交渉』と呼んでいました。
しかし,堅苦しい表現なので,ソフトな表現に改められたのです。
まだ,書籍やネット上の情報では古い表記のものもあると思います。

(2)面会交流の内容

『面会交流』という概念には直接会うことは当然含まれます。
これ以外のコミュニケーション(交流)も含まれます。
具体的な定める事項のサンプルは別に説明しています(後掲『5』)。

<面会交流の具体的内容>

あ 直接会う
い 手紙(写真含む),メール,メッセージによるコミュニケーション
う プレゼントを渡す(送る)こと

2 面会交流の権利性は認められている

面会交流についての手続は存在していて『面会することは認められる』という結論は間違いありません。
また『離婚成立前/後』で特に違う扱いもなされていません
※最高裁平成12年5月1日
子の利益(子の福祉)が重視されることについても見解が分かれるわけではありません
※民法766条1項参考

しかし,理論的な構成にはいくつかの見解があります。
直接的に各種の手続の結果に直ちに影響を及ぼすわけではありません。
ここでは,いくつかの見解についてまとめておきます。

(1)法的権利性を肯定−実体的請求権説

実体法上の請求権の一種とする説です。
さらに,見解は細かく分かれています。
ア 親子という身分関係から当然に認められる自然的な権利である
イ 監護に関連する権利である
ウ 親として有する固有の自然権であるとともに,具体的には監護に関連する権利である
エ 親権・監護権の一権能である
オ 子の権利である
カ 親の権利(及び義務)であると同時に子の権利である

(2)法的権利性を肯定−手続的請求権説(適正措置請求権説)

子の監護のために適正な措置を求める権利とする説です。
最高裁がこの見解を採りました。
※最高裁平成12年5月1日

(3)法的権利性を否定する説

正式な権利としては否定する見解です。
もちろん,この見解も,面会交流の手続によって面会交流をすることが認められる,ということを否定するわけではありません。

<参考>

新版注釈民法(22)138頁

3 子供との面会交流は合意したら書面化しておくと良い

(1)面会交流の合意を書面化しておくと良い

親権については,双方で合意に至ったとしても,その後子供との面会について,トラブルになることもあります。
そこで,面会の頻度や場所などについて書面にしておく方が良いです。
離婚の際に離婚協議書の条項の1つとする,というのが通常です。
別項目;協議離婚の際は離婚届以外の条件を離婚協議書に調印しておくと良い

(2)面会交流の書面化する際の条項例

当然ですが,面会については,その時点における,子供本人の意向や心身のコンディションで実施方法を考えるべきです。
そこで,大まかな頻度だけ特定しておく条項を使うケースが比較的多いです。
典型的なケースの1例のサンプルと,場合によっては盛り込む項目のリストを以下示しておきます。
家事審判で定められるサンプルも参考となります(後述)。

<面接交渉の条項サンプル>

※甲=夫,乙=妻,丙=子供
乙は,2か月に1回程度,甲が丙と面接交渉することを認める。その具体的な日時,場所,方法等については,丙の情緒安定に十分に配慮しつつ,甲・乙間で誠実に協議して定める。

<面接交渉に関する協議事項サンプル>

・面会の頻度(例;○か月に1回)
・面会場所(例;レストランや遊園地など)
・面会場所までのアクセス方法(連れて行くor迎えに行く)
・面会時間(例;3時間,とか,夏休みには2泊3日,とか)
・面会時刻(例;偶数月の第1日曜日)
・連絡方法
・子供と手紙・メールのやりとりを認めるか
・学校行事への参加(例;授業参観,運動会等父母の参加する行事への参加)
・子供の都合が悪い場合(拒否した場合)の対処法(例;別の日程に変更する)

4 『面会交流』と『養育費』との引き換え→NG

<事例>

離婚をして妻が子供を引き取った。
子供との面会については離婚協議書に書いてある。
しかし,妻が一向に子供に会わせようとしない。

このような場合,(元)夫としては,養育費の支払いを止めたいという発想があります。
子供との面会と養育費が引き換え交換,という感覚が生じるのは自然でしょう。
しかし,法的にはまったく別のものです。
『相殺』とか『同時履行(交換条件)』というようなことは理論としては成り立ちません。

5 子供との面会交流を相手が妨害する場合,調停・審判を利用できる

『子供との面会交流』については『別表第2』の審判事項とされています。
詳しくはこちら|家事事件|手続|種類・基本|別表第1/2事件・一般/特殊調停対象事件

子供との面会交流の調停または審判,を家庭裁判所に申し立てることができます。
(元)夫が申し立てた場合,調停で,妻と協議をして,具体的なお子様との面接の方法などについて定めます。

仮に協議がまとまらない,とか,妻が調停に出席しない,ということがあれば,調停は不成立となり『審判』に移行します。
家庭裁判所は『審判』として適切な面会方法について決めてくれます。

なお,既に離婚の調停や訴訟を行っていて,調停調書・和解調書・判決書に面接交渉のことが定められてあれば,重ねて面会交流の調停を行う必要はありません。

6 子供との面会交流の調停,審判で定められる内容サンプル

(1)調停・審判での『面会交流の具体的方法』の条項の例

面会交流の調停,審判では面会交流の具体的内容が決定されます。

調停の場合は,当事者双方で合意して面会交流の具体的内容を決めます。
内容をおおざっぱにしか決めない,ということもあります。
一方,審判の場合,当事者が合意できないからこそ,裁判所が一方的に妥当な具体的面会交流の方法を指定するのです。
通常,とても詳しいところまで明確に規定します。

<面会交流の審判における具体的内容の例>

ア 面会交流の回数・日時
 曜日,時刻,宿泊を伴うか否か,など
イ 子供の引渡し方法
 引渡しの時刻,場所など
ウ もう一方の親の立ち会いの有無
エ プレゼントを贈る頻度,価格
オ 学校行事への参加
※京都家裁平成22年4月27日
※大阪高裁平成21年1月16日
※大阪高裁平成18年2月3日

(2)『第三者立会』を面会交流の条件とすることもある

子供との面会交流の審判では,『両親が対立している』ことを理由に否定的な判断がされることもあります。
面会交流は子供自身にとっても,親にとっても非常に貴重・重要なことです。
裁判所による安直な否定的な判断を工夫により回避することもできます。
面会交流に第三者が関与する,というものです。

<第三者が関与する条件付きで面会交流が認められる実例>

あ 特定の家裁調査官の立会・指示に従うことを条件とする

※東京家裁昭和39年12月14日
※東京家裁昭和44年5月22日
※京都家裁昭和47年9月19日

い 特定ない家裁調査官の立会・指示に従うことを条件とする

※東京高裁昭和52年12月9日
※大阪家裁昭和54年11月5日
※京都家裁昭和57年4月22日

う 調査官以外の第三者の関与を条件とする

※東京高裁平成2年2月19日

え 弁護士or親族の立会を条件とする

※名古屋家裁平成2年5月31日

お 乳児院の職員の立会を条件とする

※大阪高裁平成4年7月31日

か 家族問題を扱う社団法人(FPIC)職員の立会を条件とする

※東京家裁平成18年7月31日

き 夫+夫の指定する第三者の立会を条件とする

※東京高裁平成19年11月7日

実務では,裁判所が面会交流自体を否定する意向が見えた場合には,『一定の者の関与を条件として認める』ように主張することが効果的です。

<参考情報>

月報司法書士14年9月号p41

7 同居親が子供に『別居親の悪口』を吹き込む→『子供が面会拒否』は想定内

別居の状態でよくあるのは『子供が別居親に会いたがらない』というものです。
子供は子供なりに『同居親の顔色を見る』『忠誠心を見せようとする』のはよくあることなのです。
面会交流の調停・審判でも家裁の調査官・裁判官はこのような状況を考慮します。
もちろん,代理人弁護士から過去の判例などをしっかりと主張・アピールすることが肝要です。

<子供が面会拒否→同居親の悪影響を認めた→面会実施>

あ 事案

夫の養母Aが妻Bの『子育て』に口を出すようになった
養母Aと妻Bの対立が激しくなった
夫Cと妻Bが別居に至った
子供(2人)は妻Bとの面会を拒否している
妻Bは面会交流の審判を申し立てた

い 裁判所の評価

養母Aは子供に対して,実の母(妻B)を敵視するような言動を取っている
子供は養母Aが言う『妻Bの悪口』の影響を受けている
むしろ子供と母(妻B)との心的な信頼関係を回復することが不可欠
面会交流によって意思の疎通を図ってゆくことが肝要

う 裁判所の判断(面会交流の内容)

子供が一定期間母親の住居に宿泊し祖母(養母A)から隔離する
夏休み中に7日間,春・冬休み中に3日間,子供は母の住居で過ごす
※岡山家裁平成2年12月3日

この判例は『同居親による子供への悪影響』を見ぬいた一例です。

8 同居親が『面会交流を妨害・拒絶』は想定内

一般的に,同居親が『面会交流を妨害』する傾向はよくあるのです。

<同居親が強く反対→裁判所は面会交流を認めた>

あ 事案

離婚後夫Aが子供を引き取った
夫Aは『妻が子供を捨てて他の男を選んだ』という強い怒りを持っていた
子供と妻Bとの面会を強く拒絶していた
妻Bは面会交流の調停を申し立てた

い 裁判所の評価

父A・母Bの感情的対立が激しい
→子供との面会交流が平穏に実施されない可能性がある
しかし『面会交流の機会を奪う』のは妥当ではない
子供が母親との接触を維持することは将来のためには重要である
方法を工夫して,できる限り面会交流を実施すべきである

う 裁判所の判断(面会交流の内容)

夏休み中の1日,午前10時〜午後4時まで子供と母親が面会する
父親からの要求があれば親族か弁護士が付き添う
※名古屋家裁平成2年5月31日

また,別件で,面会交流を妨害・拒否した親から『親権を奪う(変更)』という判例もあります。
詳しくはこちら|試行的面会交流|子供の意思×調査場所|同居親の誘導を見ぬいた判例

このように,実務では『親同士の対立』『子供が気を遣って面会拒否』ということは想定内なのです。
単純に面会交流を否定する,ということはないのです。
しっかりとした主張・資料提出があれば,子供との面会は実現可能なのです。

9 祖父母と孫の面会交流が認められることもある

離婚により父母のいずれかが子供と離れることになります。
さらに祖父母も以前同居していて,と離れてしまう,ということがあります。
このようなケースで,祖父母が,と面会したい,というケースも多いです。

子供との面会交流は『監護』の一環であり,一般的な監護権者が対象範囲です。
具体的には,父と母です。
※民法818条3項,820条
つまり,原則的に,面会交流の対象は子供からみて父母のみ,ということです。

ただし,例外的な事情があれば,それ以外,典型例としては祖父母,も対象とされることがあります。
ここでの例外的事情を次にまとめておきます。

<祖父母の面会交流が認められたケースの事情>

・子(孫)出生後,長期間祖父母が監護をした実績があった
・子が,祖父母に心の底から馴染んでいた

一定の範囲内で面会交流が認められた。
・2か月に1度以上,宿泊を伴う
※東京高裁昭和52年12月9日