解決ガイド|共有不動産に関するトラブルと解決の全体像
1 共有者同士の話し合い
2 共有者の1人が建物に住んでいる→賃料,明渡請求など
3 共有不動産の固定資産税などの経費負担→求償や強制買取
4 共有不動産の賃貸借契約
5 共有を解消する共有物分割の手続
6 共有物分割と住宅ローン(抵当権)
7 共有持分放棄
8 共有物分割と『相続』や『離婚』との関係
9 共有物分割における課税
※関連コンテンツ
解決ガイド|共有の建物に共有者の1名だけが住んでいるケース
解決ガイド|共有の収益不動産の3大トラブル=経費,収入分配,管理方法
解決ガイド|使われていない共有不動産のトラブル
共有の不動産は多くのトラブルにつながります。
ここでは,多くのトラブルの特徴や解決のポイントなど,全体像を説明します。
詳細は,それぞれの項目(リンク先)をご覧ください。
1 共有者同士の話し合い
共有の不動産は,誰かが住む,賃貸する,建て替える,などのいろいろな管理について,話し合いが必要です。
法律的には使用方法の意思決定と言います。
その方法や,共有者間での連絡(通知)の例,さらにどのような使い方の取り決めをすれば良いのか,について説明しています。
詳しくはこちら|共有物の使用方法の意思決定の方法(当事者・協議の要否)
詳しくはこちら|使用方法の意思決定プロセス|具体例|通知書サンプル・トラブル予防
共有不動産の使い方の取り決めをするためには,全員一致でなくても構いません。
取り決めの内容によって,決めるために必要な持分割合が細かく決まっています。
共有物の変更・管理・保存の判別と必要な共有者の数
いったん共有者で使い方の取り決めをした後に,変更したり,相続や持分の売買で共有者が変わることがあります。共有者が変わっても,過去に共有者が決めた内容はそのまま承継されます。
詳しくはこちら|共有持分譲渡における共有者間の権利関係の承継(民法254条)の基本
2 共有者の1人が建物に住んでいる→賃料,明渡請求など
共有の不動産には,『共有者全員』ではなく,『共有者の1人(+家族)』が住んでいる,というケースが多いです。
不公平と言える状態です。
このような場合,どのようなことができるのか,想定されるのか,について説明しています。
共有者の1人が不動産を占有→明渡請求,賃料相当額の請求
3 共有不動産の固定資産税などの経費負担→求償や強制買取
共有不動産は固定資産税やその他の経費がかかります。
現実には,共有者の誰か1名が立て替えた後,他の共有者に請求することが多いです。
詳しくはこちら|共有物に関する負担の基本(具体例・求償・特定承継人への承継)
立て替えた経費を払ってくれない場合は,強制的に共有持分を買い取るという方法もあります。
詳しくはこちら|共有持分買取権の基本(流れ・実務的な通知方法)
共有者の間で負担した金銭を請求するというのは求償権と言います。
その法的性質です。
これはハイレベルです。
共有物の費用負担の法的性質論;求償権の根拠,不当利得との違い,『管理』の意味
4 共有不動産の賃貸借契約
共有不動産が賃貸マンションやテナントビル(収益物件)となっているケースです。
賃貸借契約は誰が賃貸人となるのか,とか,賃料その他の設定はどうやって決めるのか,共有の場合は複雑です。
詳しくはこちら|共有物の賃貸借に関する各種行為の管理行為・変更行為の分類(全体)
共有の収益物件は経費や管理に加えて賃料収入の分配という問題があります。
仕組みは単純なのですが,実際には法律的な問題が生じることがあります。
共有不動産の賃料収入とその分配
5 共有を解消する共有物分割の手続
共有者の間で仲が悪くなると,以上のような多くの問題が生じます。
しかも,その後も解消されません。
根本的解決は『共有状態を解消すること』です。
これを共有物分割(請求)と言います。
共有物分割によって共有状態を解消する
具体的に,共有が解消される方法(類型)は,大きく3つあります。
詳しくはこちら|共有物分割の分割類型の基本(全面的価格賠償・現物分割・換価分割)
その中でも,共有者の1人が買い取る,という方法は有用です。
詳しくはこちら|全面的価格賠償の基本(平成8年判例で創設・令和3年改正で条文化)
各戸(専有部分)ごとに分ける,という変わった方法もあります。
区分所有とすることを伴う現物分割もできる
競売にして,売却した上で代金を分けるという方法も公平という意味では優れています。
6 共有物分割と住宅ローン(抵当権)
共有不動産が住宅ローンやその他の担保(抵当権)が付いていることもあります。
この場合,競売することで共有を解消するということは難しくなります。
かなり複雑な運用がなされています。
詳しくはこちら|形式的競売の担保権処理は引受主義より消除主義が主流である
特にローン残高が現在の価値を上回るオーバーローンの状態だと,さらに複雑な扱いとなります。
詳しくはこちら|形式的競売における無剰余取消の適用の有無(オーバーローン不動産売却の可否)
7 共有持分放棄
『対価はいらないから早く共有から抜け出す』という方法もあります。
登記まで移転しないと固定資産税はかかってしまいます。
詳しくはこちら|共有持分放棄の登記(対抗関係・固定資産税・登記引取請求)
8 共有物分割と『相続』や『離婚』との関係
相続であれば遺産分割,離婚の場合は財産分与という財産を分ける手続があります。
共有物分割も財産を分ける手続といえます。ただし,状況によって使える手続は決まっています。
詳しくはこちら|遺産共有の法的性質(遺産共有と物権共有の比較)
詳しくはこちら|夫婦間の共有物分割請求の可否の全体像(財産分与との関係・権利濫用)
9 共有物分割における課税
共有物分割によって共有が解消された!という場合でも注意が必要です。
思わぬ課税に驚く,ということがないように予め考えておくと良いのです。
共有物分割における課税関係;まとめ
概要は以上のようにまとめてありますが,個別的な事情についてどのように当てはまるのかは,判断が難しいです。
みずほ中央法律事務所は共有不動産のトラブル解決についてノウハウを蓄積しています。
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