1 共有物に関する合意×公示
2 共有物に関する合意・債権の承継
3 共有物に関する合意の承継
4 決定した使用方法の事後的変更|概要
5 共有物に関する合意×承継・変更|具体例
6 共有物に関する合意×特定承継人|救済手段

1 共有物に関する合意×公示

共有者間で使用方法を合意することがあります。
詳しくはこちら|共有物|使用方法の意思決定|当事者・プロセス|基本
合意の後にいろいろと問題が生じることがあります。
まず『公的な記録=公示』制度との関係をまとめます。

<共有物に関する合意×公示>

あ 不分割特約

共有者間で不分割特約を合意した場合
→登記することができる
登記をしないと特定承継人に対抗できない
※民法256条
※不動産登記法59条6号

い 一般的合意・決定

共有者間の合意・決定した内容
→『あ』以外は登記することはできない
登記をしなくても特定承継人に対抗できる
=合意・決定内容は承継される(後記※1)

2 共有物に関する合意・債権の承継

共有者間の合意は,その後承継されることになります。
合意の承継が認められた事例を紹介します。
正確には『債権』が承継したという理論になっています。

<共有物に関する合意・債権の承継>

あ 共有者間の合意

土地がA・Bの共有となっていた
A・B間で次のような合意をした

い 合意内容

土地を甲・乙に分割する
甲土地はAが独占的に使用する
事後的に分筆登記・単独所有にする登記を行う

う 共有持分譲渡

Bが共有持分をCに譲渡した

え 裁判所の判断

Cは『特定承継人』に該当する
→合意の結果生じた『分割契約上の債権』として
→A・B間の合意はCにも承継される
※民法254条
※最高裁昭和34年11月26日

3 共有物に関する合意の承継

『債権』ではなく,合意そのものの承継も認められています。
判例の理論を整理します。

<共有物に関する合意の承継(※1)>

あ 決定内容の承継

共有物に関する共有者間の定め
例;使用収益・管理・費用の分担について
→共有者の特定承継人に対しても当然承継される
登記は不要である・できない

い 民法254条との関係

民法254条(後記『う』)の趣旨について
承継されるものを『債権』に限定する趣旨ではない
承継されるものの一部として確認するものである

う 民法254条の条文内容

共有者間の『債権』について
→特定承継人に対しても行使できる
※民法254条
※東京高裁昭和57年11月17日
※大判大正8年12月11日

この合意の承継の問題が具体化する典型的ケースは,土地が共有のケースで抵当権が実行(競売)されたという状況です。
詳しくはこちら|担保権実行における土地共有者が合意した利用権の消滅か存続

4 決定した使用方法の事後的変更|概要

共有物の使用方法について合意が成立した後の問題もあります。
後から『決定した内容を変更したい』というケースです。
初めての『決定・合意』とは違う扱いになります。
『共有者全員の同意が必要』となるのです(※3)
詳しい内容については別に説明しています。
詳しくはこちら|共有物|『変更』『処分』行為

5 共有物に関する合意×承継・変更|具体例

合意の承継や変更が問題となる具体例を紹介します。

<共有物に関する合意×承継・変更|具体例(※2)>

あ 使用方法の合意

建物がA・B・Cの共有となっていた
建物にはAが単独で居住していた
B・Cは無償でAが単独で居住することを承認していた

い 持分譲渡

Cが共有持分をDに売却した
DはAに対して明渡・賠償金を請求した

う 承継

A・B・Dは従前の合意に拘束される
→Aが単独・無償で占有する合意は有効である
Dの明渡・賠償金の請求は認められない

え 変更

A・B・Dの全員が合意しない限り
→『あ』の合意は解消できない(前記※3)

この結論はDが困るものと言えます。
その法的な救済手段については次に説明します。

6 共有物に関する合意×特定承継人|救済手段

前記事案の譲受人の救済手段をまとめます。

<共有物に関する合意×特定承継人|救済手段>

あ 前提事情

前記※2の事案において
持分を購入したDは現実的な利益がほとんどない
Cが事前に『合意内容』をDに説明していなかった
Dとしては想定外の損失を受けた

い 救済手段|売買契約

売買契約に問題があったと言える
→DはCに対して次の責任追及をできる可能性がある
ア 説明義務違反→債務不履行責任
イ 瑕疵担保責任
詳しくはこちら|不動産売買・建築の欠陥・不備の責任の種類

う 救済手段|共有一般

根本的な共有関係からの離脱の手段がある
ア 共有物分割請求
イ 共有持分を第三者に譲渡する
ウ 共有持分を放棄する