1 共有の不都合・解消の要請|概要
2 共有物分割|基本・分割類型
3 分割類型|概要
4 共有物分割の手続・種類
5 共有物分割は持分割合と一致しなくてもよい
6 共有物分割の当事者
7 共有物分割請求のためには登記が必要
8 共有物分割のための処分禁止の仮処分(概要)

1 共有の不都合・解消の要請|概要

共有の状態はいろいろと不都合があります。
共有者間で見解が異なり,トラブルとなるケースが多いです。
共有の関係は自然に解消されることはありません。
個々のトラブルを解決しても再び対立が生じることも多いです。
そのため,共有の状態自体を解消することは望ましいことです。
共有の問題点・不都合や解消の必要性については別に説明しています。
詳しくはこちら|共有の不都合性・トラブル発生要因・本質論
詳しくはこちら|共有関係からの離脱・解消|方法・典型的経緯

2 共有物分割|基本・分割類型

共有の状態を解消する制度があります。
共有物分割というものです。
まずは基本的事項をまとめます。

<共有物分割|基本・分割類型>

共有物分割の手続の概要について
→共有の状態を解消する
=単独所有の状態に変える
分割の内容は3つの基本的類型に分けられる(後記※1)

3 分割類型|概要

共有を解消する方法の内容をまとめます。
主要な類型は3つあります。

<分割類型|概要(※1)>

あ 現物分割

共有物を物理的に分ける

い 換価分割

共有物を売却する
代金を共有者で分配する

う 代償分割=価額賠償

Aだけの単独所有にする
Aは他の共有者に代償金を支払う

え 分割方法|組み合わせ

『あ〜う』の基本類型を組み合わせることもある
詳しくはこちら|共有物分割|分割類型|全体|主要3種

4 共有物分割の手続・種類

共有物分割の具体的な手続を整理します。
通常はまずは協議を行い,まとまらない場合に提訴します。

<共有物分割の手続・種類>

あ 共有物分割協議

共有者全員で協議する
全員が合意すれば成立する
※民法256条

い 民事調停

裁判所が協議に関与する
裁判所の強制的な関与はない
共有者全員が合意に達しないと成立しない
この手続を利用しないケースが多い

う 共有物分割訴訟

最終的には裁判所が分割類型・具体的内容を決める
裁判官が和解を勧告・提案することが多い
→共有者全員の合意により和解が成立することもある
※民法258条1項
詳しくはこちら|共有物分割『訴訟』|基本|提訴の要件・当事者=共有者全員

5 共有物分割は持分割合と一致しなくてもよい

共有物分割では通常,持分割合を基準にします。
この点,持分割合とは異なる結果にするケースもあります。
公平ではないですが,当事者が合意すれば成立します。
これについての判断を整理します。

<共有物分割と持分割合>

あ 一般的扱い

共有物分割において
『持分割合』に応じた分割内容とするのが一般的である

い 持分割合とのズレ

分割結果が持分割合と異なることについて
→私人間の合意では契約自由・私的自治が尊重される
→適法・有効である
※大決昭和10年9月14日

う 税務上の扱い

税務上は別の認定となるリスクがある
例;低額譲渡→贈与税
詳しくはこちら|低額譲渡・共有持分放棄×課税|みなし譲渡所得課税・贈与税

6 共有物分割の当事者

共有物分割の当事者について説明します。
当然,共有者が当事者になります。

<共有物分割の当事者>

あ 協議

協議による共有物分割について
→共有者全員の合意がないと成立しない

い 訴訟

共有物分割請求訴訟の当事者
→共有者全員である
共有者全員が原告or被告となっている必要がある
『固有必要的共同訴訟』と呼ぶ
※大判明治41年9月25日
※大判大正12年12月17日

7 共有物分割請求のためには登記が必要

共有物分割請求のために登記が必要とされています。
現在では判例で解釈が統一されているのです。

<共有物分割請求と登記の要否>

あ 対抗関係|概要

『共有持分の譲受人』と『他の共有者』は対抗関係にある
※大判大正5年12月27日

い 共有物分割請求と『対抗関係』

共有物分割請求の性質について
→共有者間の権利関係を全員について画一的に創設する
→対抗要件が必要な行為である

う 具体的な『請求すべき者』

移転登記未了の場合
→『譲渡人』を共有者として扱う
→『譲渡人』が共有物分割請求の当事者となる
『譲受人』は当事者にはならない
※最高裁昭和46年6月18日

8 共有物分割のための処分禁止の仮処分(概要)

共有物分割を請求してから,手続が完了するまでの間に,相手の共有者が共有持分を第三者に譲渡すると手間が増えたりします。
最初に処分禁止の仮処分をしておけば,このようなリスクを予防できます。
しかし,認められるかどうかの見解は統一されていません。
詳しくはこちら|共有物分割のための処分禁止の仮処分は認められない可能性がある