【共有関係からの離脱・解消|方法・典型的経緯】
1 共有の持分処分と分割の自由(概要)
共有という状態は多くの問題をはらみます。
逆に言えば、共有関係から離脱することは重要です。
『離脱の自由』は判例でも明確に指摘されています。
共有の持分処分と分割の自由(概要)
あ 基本
共有関係から離脱できる自由は共有の本質である
い 共有持分権処分と分割請求の自由
ア 持分権の処分の自由イ 分割請求の自由
分割請求権は憲法上の財産権として保障される
※憲法29条2項
※最高裁昭和62年4月22日
詳しくはこちら|共有の本質論(トラブル発生傾向・暫定性・分割請求権の保障)
判例は、分割請求権は憲法上の財産権として保障されることを前提に、これを制限する森林法の規定を違憲と判断しました。
2 共有関係から離脱する方法
共有関係から離脱する具体的方法・手続を整理します。
共有関係から離脱する方法
3 共有物分割請求の典型的経緯
共有関係を解消する制度は共有物分割です(前記)。
実際に共有物分割が行われる経緯には特徴があります。
典型的な経緯をまとめます。
共有物分割請求の典型的経緯(※1)
あ 基本
共有物分割の典型的経緯について
→次の『い〜え』の経緯がとても多い
い 相続
Aが所有者であった
Aが亡くなった
遺言はない
→相続人B・Cの遺産共有となる
う 持分譲渡
Cが共有持分をDに譲渡した
え 持分譲受人からの分割請求
DがBに対して共有物分割請求を行った
※能見善久ほか編『論点体系 判例民法2物権 第3版』第一法規2019年p334
4 共有を維持するニーズとハードル(概要)
以上のように共有関係の解消は好ましいものです。
一方で、特殊事情により共有関係を維持するニーズもあります。
ただし、これは『例外』です。
『共有関係の維持』には大きな制限があります。
これについてまとめます。
共有を維持するニーズとハードル(概要)
あ 共有を維持するニーズ
一般的には共有状態は解消することが望ましい
例外的に共有状態を維持するニーズがある
い 典型例
ア 収益物件の共同管理イ 共有者の1人の居住
う 共有を維持するハードル
次のようなリスクが共有維持のハードルとなる
ア 共有物分割請求リスクイ 共有者変更リスク
詳しくはこちら|共有状態を維持するニーズ・手法とハードル
本記事では、共有を解消する、または共有関係から離脱する方法について説明しました。
実際には、個別的な事情によって、最適な解決手段は異なります。
実際に共有物(共有不動産)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。