1 無人ドローンを飛行させるためにクリアすべき法律問題
2 航空法上の『模型航空機』|原則的に許可・通知は不要
3 航空法上の『模型航空機』|MAX高度が250or150メートル
4 道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ
5 ドローン×公園での使用|強引な『違反』解釈に要注意
6 ドローン×電波法|『微弱無線局=免許不要』が多いが輸入製品に注意
7 法解釈には限界がある|刑罰法規×類推解釈禁止の原則
8 法解釈の限界→法改正・法整備が望まれる|ネオ・ラッダイト
9 法整備は日本・世界で進められている|マーケットメカニズム

本記事では無人ドローンについて,日本の現行法の規制との関係をまとめます。
航空法・道交法との関係などの詳しい内容は別記事で説明しています(リンクは末尾表示)。
また,無人ドローン・ロボットテクノロジーの発展やそれに伴う今後の法整備について別記事にまとめています。
詳しくはこちら|無人ドローン・ロボットに関する法整備|日本政府のロボット新戦略・U.S.A.ほか

1 無人ドローンを飛行させるためにクリアすべき法律問題

無人ドローンを実際に飛行させるためには,クリアすべき法律問題があります。
全体的な法規制・法律問題をグループに分けて整理します。

<ドローン飛行×法規制|高さ制限|航空法>

高度(空域)の規制
→地上150or250メートル未満に制限される(後述)
航空法上は『模型航空機』という扱いになると思われる
※航空法施行規則1項3号

<ドローン飛行×法規制|場所|公道・公園・河川・海>

あ 道交法の規制

次の規制の対象と認定されるリスクがある
ア 道路上での『禁止行為』
イ 道路の『使用許可の対象』

い 公園・緑地の使用規制(条例)

公有地のうち『公園・緑地』については各地方地自体の条例の規制がある

う 重要文化財

施設管理者により『禁止事項』が規定されることがある
(別記事『文化財保護法・重要文化財』;リンクは末尾に表示)

え 河川・河川敷・海・海岸

『進入禁止指定』がなければ適法
詳しくはこちら|ドローン×川・海での使用|進入禁止指定でなければOK|河川法・海岸法

<ドローン飛行×法律問題|場所|民有地>

民有地の上空は『土地所有権』の範囲に含まれる
民有地上空を通過する場合は,土地所有者の通行(飛行)承諾が必要
※民法207条
別項目|土地所有権の高度上限は,航空法の最低安全高度=建造物の高さ+300m

<ドローン飛行×法律問題|場所以外>

あ 付随的な『プライバシー』問題

キャメラを登載している場合,『見える・見られる』問題がある
いわゆる『盗撮』と同じカテゴリの迷惑防止条例違反に該当するリスクがある
別項目|『撮影』×犯罪の『基準』をまとめてみた
詳しくはこちら|撮影・誹謗中傷投稿×法的責任の種類|判断基準の概要

い 悪用×刑事責任

ア 上空侵犯・落下事件/事故→威力業務妨害罪など
詳しくはこちら|ドローン・ロボットの『侵入・上空侵犯』×犯罪|ほぼ故意犯のみ|業務妨害罪・盗撮系
イ 事件予告→偽計業務妨害罪
詳しくはこちら|偽計業務妨害罪|『偽計』の解釈・具体例|ドローン普及との関係

<ドローン飛行×法的問題|法的責任>

あ 事故発生時の法的責任(民事・刑事)

詳しくはこちら|将来に向けて急務となっている法規制

い 『防衛・反撃』についての法的責任(刑事・民事)

例;撃ち落とした場合の『器物損壊罪』『損害賠償責任』
詳しくはこちら|ドローンの弊害・悪用vs物理的防衛・警備|撃ち落とし×正当防衛

<ドローン×武器輸出規制>

軍事転用可能なマシーンなどは輸出が禁止される
ア 20リットル以上の積載量
イ エアゾール噴霧機能あり
※外為法48条

現行法では不明確・曖昧なところが多いです。
法整備が望まれます。
詳しくはこちら|公道・上空の『移動物体』への法規制|セグウェイ・ロボット・ホバーボード・無人ドローン

2 航空法上の『模型航空機』|原則的に許可・通知は不要

航空法上,ドローンの扱いについては正式な見解はありません。
現在の一般的な解釈では『模型航空機』とされています。
詳しくはこちら|ドローン×航空法|『航空機・模型航空機』などの定義・解釈|人間の搭乗
『模型航空機』という前提で,航空法上の規制をまとめます。

<『模型航空機』の飛行における規制>

あ 飛行空域の制限

『航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為』(後記)をしてはならない
国土交通大臣の許可or通報(届出)があれば禁止が解除される
※航空法99条の2,航空法施行規則209条の3第1項3号

い 違反への罰則|法定刑

罰金50万円以下
※航空法150条10項

『禁止される行為』の内容は次に説明します。

3 航空法上の『模型航空機』|MAX高度が250or150メートル

(1)『模型航空機』の飛行禁止空域

『模型航空機』の飛行について禁止される行為は,施行規則で細かく定められています。

<『航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為』の内容|要約>

『航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為』=飛行禁止空域 禁止解除の方法
空港やその周辺(概ね半径9km以内) 国土交通大臣の許可
航空路で地表or水面から150m以上の空域 国土交通大臣への通報
航空路で地表or水面から250m以上の空域 国土交通大臣への通報

※航空法施行規則209条の3,209条の4

(2)『模型航空機』の規制|まとめ

以上の『禁止空域』に該当しない場合は,許可通報(届出・通知と同趣旨)がなくても飛行OKとなります。

<『模型航空機』を許認可なく飛行させられる空域>

航空路 地表or水面から150メートル未満の空域
航空路 地表or水面から250メートル未満の空域

4 道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ

道交法では『公道上空のドローン飛行』の規制がやや曖昧です。
これについては別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|ドローン×道交法|公道上空の禁止行為・道路使用許可|ロボット実証実験
一般的な解釈論の結論をまとめておきます。

<道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ>

あ 『実験』

警察の許可を得れば飛行できる

い 『実用』

許可対象ではない
→『自動車』認定リスク・『禁止行為』該当リスクがある

5 ドローン×公園での使用|強引な『違反』解釈に要注意

(1)東京都|『管理に支障がある行為』→該当したらNG

ドローンを飛ばせるのは私有地内か公園,というのがありがちな発想です。
公園については,地方自治体が管理権者です。
平成27年4月の官邸事件以来『公園でのドローン飛行を禁止する』動きが目立ちます。
代表例として東京都の動きをまとめます。

<東京都|都立公園条例による使用制限|支障がある行為>

あ 対象範囲=『都立公園』

『都立』の公園・緑地
※都立公園条例2条2項,3項

い 行為の制限|条文

『都市公園の管理に支障がある行為』をしてはならない
※都立公園条例16条10号

う 条文解釈

ドローンの飛行は『都市公園の管理に支障がある行為』に該当する
※平成27年4月28日公園課長から各公園への通知;各社報道

え 罰則|法定刑

過料5万円以下
※都立公園条例25条

お 知事の許可による適法化

適用対象ではない
※都立公園条例16条本文

これは既存の条例の解釈として『禁止』を実現しようとするものです。
刑事罰を伴うルールの解釈としてはラフな感じがします。
仮に刑事裁判となったら『該当しない』と裁判所が判断する可能性もあるでしょう。
それを見越してか,東京都は『過料の適用はしない』という方針をコメントしています(各社報道)。
また次に説明する『撮影』の規制とは違って,『管理に支障がある行為』は『許可制度』の対象外です。
例外なく『飛行禁止』という結論になってしまいます。
この点でも解釈として合理性を欠くと思われます。

(2)東京都|『業としての撮影』→許可を受ければOK

東京都の都立公園条例の別の禁止行為として『撮影』に関するものがあります。

<東京都|都立公園条例による使用制限|撮影>

あ 行為の制限|条文

『業としての写真撮影その他営業行為』をしてはならない

い 知事の許可による適法化

知事の許可を得れば行っても良い

う 典型例

番組・雑誌などのコンテンツ制作における撮影
※対象範囲・罰則は上記と同様
※都立公園条例16条7号

ドローンも撮影の機能がある場合は『撮影』に該当する可能性があります。
『業として』の判断は突き詰めると曖昧な部分があります。
詳しくはこちら|業法一般|『業』=反復継続意思+事業遂行レベル|不特定多数は1事情
いずれにしても『撮影』としての規制であれば『許可』を得て実施することが可能です。

6 ドローン×電波法|『微弱無線局=免許不要』が多いが輸入製品に注意

ドローンは通常,操縦や撮影した画像の『通信機能』を持っています。
無線通信では『電波』を使います。
そうすると,電波法で『免許』が必要となるのが原則です。
実際には多くのドローンは『微弱無線局』として例外的に『免許不要』となっています。
しかし海外製品には『微弱無線局』の範囲を逸脱しているものもあります。
気付かないで『電波法違反』となってしまっているケースも散見されます。
これについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|電波の利用→免許が必要|微弱無線局は不要|ドローン|海外製品に注意

7 法解釈には限界がある|刑罰法規×類推解釈禁止の原則

新たなテクノロジーについては『従前の法律が想定している範囲』での対応ができないことが多いのです。
ここで,既存の法律の規制=刑事罰の適用には慎重さが要求されます。
刑事罰=犯罪,については『不意打ち』を避けることが要請されます。
そこで『類推解釈』をしない原則があります(憲法31条,最判昭和30年3月1日)。
できるだけ条文の文言に忠実に解釈する,ということになります。
一方,刑罰法規でも,一定の『拡張解釈』は認められています(大判昭和15年8月22日)。
結局は,『解釈の方法論』自体がキッチリしていないとも言えます。

8 法解釈の限界→法改正・法整備が望まれる|ネオ・ラッダイト

結局,法改正などの立法によって社会の動きに合わせたルールを設定・整備すべきなのです。
逆に言えば,ドローンの普及は道交法制定時に想定していなかったことなのです。
『テクノロジーの進化に法整備が追い付いていない』というよくある現象の1つです。
法整備の不備のツケを新テクノロジー開発者に押し付けるのは複数の意味で良くないです。
詳しくはこちら|マーケットの既得権者が全体最適妨害|元祖ラッダイト→ネオ・ラッダイト

9 法整備は日本・世界で進められている|マーケットメカニズム

ドローンを中心に,新テクノロジーの運用に関する法整備は世界中で進められています。
法整備=規制の設定内容,次第で,大きな経済効果が生じます。
『法整備の競争』という,マーケットメカニズムのような様子も見えます。
これについては別記事にまとめました。
詳しくはこちら|無人ドローン・ロボットに関する法整備|日本政府のロボット新戦略・U.S.A.ほか

<参考情報>

『週刊ダイヤモンド2015年2月14日』p94〜