1 撮影・誹謗中傷投稿に関する法的責任の種類|まとめ
2 肖像権侵害の基準概要
3 プライバシー権侵害の基準概要
4 パブリシティ権侵害の基準概要
5 名誉毀損の基準概要
6 『著作物』『商標』を撮影・投稿×著作権・商標権侵害
7 『撮影・投稿』×不正競争防止法・商標法違反や管理権侵害
8 撮影したものが『写真(静止画)』/『動画』で違法性の判断が違う
9 慰謝料相場・被害者の具体的対応

1 撮影・誹謗中傷投稿に関する法的責任の種類|まとめ

テクノロジーの進化により,鮮明な画像・動画を『撮影』することが非常に容易・身近になっています。
さらに,撮影した画像・動画を『公表』『拡散』することも非常に容易になっています。
当然,撮影に関して『被害』が生じ,法的な責任につながることも非常に多いです。
『撮影』に関する責任は,法的な分類が複雑です。
なお,誹謗中傷の投稿についても画像の有無に関わらず,これらの責任が発生することがあります。
全体像を説明します。

<撮影・誹謗中傷に関する法的問題の種類|まとめ>

↓被写体|法的問題・権利→ 肖像権 プライバシー権 バブリシティ権 名誉毀損
人物(一般人) ◯(※1)
人物(著名人)
海・山・川などの自然(風景)
物(動植物) ☓(※2)

2 肖像権侵害の基準概要

<肖像権侵害となる場合|大雑把な基準>

あ 撮影対象の人物がしっかりと特定できる
い 『風景(画像全体)がメイン』=『人物は想定外に写り込んだ』ではない
う SNSなど,拡散可能性が高いところへの投稿(公開)

肖像権は『撮影』自体で侵害されます。
拡散(公開)した場合,公開目的だった→違法性が高い,と判断されます。

詳しくはこちら|人物の撮影→公表は肖像権侵害になる

3 プライバシー権侵害の基準概要

<プライバシー権侵害の判断基準>

あ プライバシー情報

次のすべてを満たす情報
ア 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれがある
イ 一般人が公開を欲しない
ウ 一般の人々にまだ知られていない

い 公開・公表
う 不快・不安の発生

公開・公表の結果,被害者本人に実際に不快・不安の感覚が生じた

詳しくはこちら|プライバシー権のまとめ|判例の基準|定義の発展

4 パブリシティ権侵害の基準概要

<パブリシティ権侵害(違法性)判断基準>

氏名・肖像の有する顧客吸引力を利用した
顧客吸引力の利用が『もっぱらの目的』だった

詳しくはこちら|著名人の氏名や画像・動画はパブリシティ権が認められる

5 名誉毀損の基準概要

<名誉毀損の意義>

社会的評価の低下を生じさせた表現行為

詳しくはこちら|違法な表現行為|基本|損害賠償・差止・削除請求・謝罪広告・違法性阻却

以上は非常に大雑把なまとめです。
それぞれの詳細な『権利』内容はそれぞれ別に説明しています。
各リンク先をご覧ください。

6 『著作物』『商標』を撮影・投稿×著作権・商標権侵害

なお,『著作物・商標を撮影→公表(投稿)』という場合は,著作権・商標権侵害となります。
これについては,このテーマから除外します。
詳しくはこちら|著作権侵害に対する法的請求とそれ以外の解決法;基本
詳しくはこちら|商標権|登録すればトレードマークが保護される

7 『撮影・投稿』×不正競争防止法・商標法違反や管理権侵害

上記のとおり,『撮影』や『投稿』に関する法的問題は,肖像権・プライバシー権・パブリシティ権の侵害が主なものです。
一方,これらに抵触しなくても,一定の特別法に抵触することもあります。

<『撮影』が生じる特別法・刑法違反>

あ 商標法
い 不正競争防止法
う 管理権侵害
え 刑法上の犯罪

ア 名誉毀損罪(前述)
イ 信用毀損罪
ウ 業務妨害罪

商標法,不正競争防止法違反は,撮影した画像・動画の使用のしかた投稿の方法によって抵触するものです。
管理権侵害は,施設管理者が『撮影禁止』としている場合に,これに違反するものです。
撮影自体が違法となるものです。
詳しくはこちら|施設管理権侵害|店舗内撮影・料理持ち帰りは店舗が禁止できる

8 撮影したものが『写真(静止画)』/『動画』で違法性の判断が違う

『撮影』の中にも,『写真(静止画)』と『動画(映像)』があります。
さらに,新たなテクノロジーでは『立体(3D)』という撮影方法も普及しつつあります。
以下,『写真』と『動画』の比較に関して説明します。

いずれの『撮影』でも,容姿や物体の形状が記録される,という意味では同じです。
類型的に法律上の扱いが異なるというわけではありません。
ただし,写真と動画では,『情報量』が大きく違います。

<写真と動画の違い>

あ 写真

『一瞬の表情』だけ

い 動画

ア 継続的,詳細な表情
イ 表情の変化
ウ 発言(受けた発言)との関連

このように『動画』の方が圧倒的に情報量が多いです。
そうすると,『侵害の程度』が大きく異なります。
法的な判断としては,『違法性』の判断で違いが生じるのです。
要するに,撮影が肖像権・プライバシー権などの『侵害』に該当すると判断されやすくなる,ということです。
もちろん,他の要素との総合評価で,違法性の有無は判断されます。
『動画撮影イコール違法』というわけではありません。

9 慰謝料相場・被害者の具体的対応

(1)誹謗中傷×慰謝料相場

『被害』が生じた場合の法的責任は一般的に『慰謝料』となります。
慰謝料の金額相場については別記事でまとめてあります。
(別記事『慰謝料相場』;リンクは末尾に表示)

(2)被害者の具体的な対応

誹謗中傷・オンライン投稿の被害者は法的な対応を取ることができます。
具体的な手続・対応については別記事にまとめてあります。
(別記事『誹謗中傷・対応まとめ』;リンクは末尾に表示)