1 道交法・道路運送車両法|『自動車』の定義
2 『自動車』に該当する場合→事実上飛行できなくなる
3 禁止行為|『物件を道路に置く』→該当しない
4 禁止行為|『物件を投げor発射する』→該当する可能性
5 禁止行為|交通の危険・妨害・公安委員会指定行為→指定なし
6 『道路使用許可』の制度
7 道路使用許可|公安委員会の規則に『ロボット』が入っている
8 道路使用許可|対象行為に該当→『許可さえ取れば適法』となる
9 道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ

本記事では,ドローンを公道の上空を飛行させる場合に道交法との抵触を説明します。

1 道交法・道路運送車両法|『自動車』の定義

まずは『自動車』に該当するかどうか,という問題があります。
『道交法』だけではなく『道路運送車両法』でも『自動車』という定義があります。
まとめて整理します。

<道交法・道路運送車両法の『自動車』定義>

あ 道交法の『自動車』|抜粋

原動機を用い,かつ,レール又は架線によらないで運転する
※道交法2条1項9号

い 道路運送車両法の『自動車』|抜粋

原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの
※道路運送車両法2条2項

2 『自動車』に該当する場合→事実上飛行できなくなる

これらに該当する場合『車検』や『交通ルール』が適用になります。
ドローンは車検の基準を満たさないので登録できません。
また『車線(レーン)を通行する』などの『レガシー自動車』のルールを守って飛行するのは非現実的です。
『車』『陸上(を移動)』という文言の解釈によって『道路上空の飛行』ができるかどうかが決まります。
道交法で『車』については『そり・牛馬』を含めると規定されています。

<道交法2条1項11号抜粋|軽車両の定義>

・・・レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)

このことから『車』は『移動する物体』を広く含むという解釈もあります。
一方『明記してあるものだけ含める=明記ないものは含まない』という解釈も生じます。
いずれにしても,法解釈が不明確です。
この点,刑事罰に関わる規定なので『類推解釈』で『違法範囲』を拡げることは好ましくありません。
いずれにしても,別のルールによる『決め手』があります(後述)。

3 禁止行為|『物件を道路に置く』→該当しない

道交法では道路における『禁止行為』が規定されています。
ドローンと抵触する可能性のある規定をピックアップします。

<道交法76条3項→該当可能性ほぼゼロ>

あ 条文

『交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない』

い 解釈論

『道路に置く』なので物理的に路面に接触,と解釈されるだろう
→ドローンは該当しないと思われる

4 禁止行為|『物件を投げor発射する』→該当する可能性

<道交法76条4項4号→該当可能性少しあり>

あ 条文

『石,ガラスびん,金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ,又は発射すること』

い 解釈論

ア 肯定する解釈
ドローンは『不備・ミスにより路上に落下→自動車や歩行者と衝突』というリスクがある
→『人・車両損傷のおそれ』と言える
イ 否定する解釈
『投げ』『発射』はいずれも『飛行中はコントロールされない』を意味する
→ドローンは『コントロールされた飛行』なので該当しない

5 禁止行為|交通の危険・妨害・公安委員会指定行為→指定なし

<道交法76条4項7号→該当可能性ほぼゼロ>

あ 道交法の条文

『道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為』
↓東京都の場合

い 東京都道路交通規則17条

該当するものはない

結局『4項4号』だけが該当可能性がある,という状態です。
これに該当した場合は『禁止行為違反』となります。

<『禁止行為』違反への罰則>

法定刑=罰金5万円以下
※道交法120条1項9号

ただし,別規定による『違反の解消』があります(後述)。

6 『道路使用許可』の制度

道交法では『道路使用許可』という制度があります。

<道路使用許可の制度;77条>

『要許可行為』は『所轄警察署長の許可』が必要

ここまでは単純です。
『要許可行為』のうち,該当する候補は1つだけあります。
解釈論がいくつかありますので,まとめました。

7 道路使用許可|公安委員会の規則に『ロボット』が入っている

<道交法77条1項4号→該当可能性あり>

あ 道交法の条文;許可が必要な行為

『道路において祭礼行事をし,又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為(略)で,公安委員会が(略)必要と認めて定めたもの』
↓東京都の場合

い 東京都道路交通規則18条(9)

『道路において,ロボットの移動を伴う実証実験又は人の移動の用に供するロボットの実証実験をすること』

う 不安定な解釈論
『道路』 →地上数メートルだけorもう少し上空を含むか
『ロボット』 →定義が記載されていない(後述)
『実験』 →『実用』の場合は含むのか

『ロボット』だけはちょっといくつか意味・解釈があります。

<『ロボット』を辞書で引いてみた>

ロボット【robot】
1.電気・磁気などを動力源とし,精巧な機械装置によって人間に似た動作をする人形。人造人間。
2.目的の作業・操作をコンピューターの制御で自動的に行う機械や装置。人間の姿に似るものに限らない。自動機械。『産業―』
3.自分の意志でなく、他人に操られて動く人間。傀儡(かいらい)。『軍部の―である大統領』
※デジタル大辞泉

道路交通規則における『ロボット』はこの『1』=アンドロイド,ではなく,広義の『2』と思われます。
『3』はさすがに,自主性のない人間が道路を歩くだけで許可が必要になるので不合理な解釈でしょう。
結論として『実験』である以上は該当する可能性がある,ということになります。

8 道路使用許可|対象行為に該当→『許可さえ取れば適法』となる

これは『要許可行為』なので『該当する』となった場合は『許可を得れば適法』ということです。
あとは警察の判断として『許可』がなされれば,他の『違法可能性(グレー問題)』は事実上クリアできましょう。
『許可を受けた』場合は通常『自動車』扱いではないことが前提となります。
『信号・走行車線』などの規制対象外です。
とは言っても許可の条件が細かく定められますので『わがまま運転』ができるわけではありません。

道交法の『道路』についての一般的な事項は別記事にて説明しています。
関連コンテンツ|道交法の『道路』の解釈・使用許可|私有地でも無免許運転となることがある

9 道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ

公道上空をドローンが飛行することについては『道路使用許可』が決め手になります。

<道交法×公道上空のドローン飛行|まとめ>

あ 『実験』

警察の許可を得れば飛行できる

い 『実用』

許可対象ではない
→『自動車』認定リスク・『禁止行為』該当リスクがある(前述)

<参考情報>

週刊ダイヤモンド 15年2月14日p94〜