1 河川の使用×法規制|河川法の『河川』の定義|川・河川敷・沼・湖
2 河川法による使用規制|主要な対象=流水・河川区域内の土地
3 河川法による使用規制|『管理上支障を及ぼすおそれのある行為』
4 東京都|河川使用の手引|ドローン飛行は想定外=禁止対象ではない
5 川の上空をドローン航路とする実用性|グローバル社会→利権争い抑制
6 海の周辺部の使用×法規制|海岸法の『海岸保全施設』の定義
7 『海岸保全施設』の禁止行為|管理者の『進入禁止指定』など
8 海の本体の使用×法規制|船舶については『航行区域』が指定される

本記事ではドローンを『川・海・その周辺』で飛行させる場合の法規制について説明します。

1 河川の使用×法規制|河川法の『河川』の定義|川・河川敷・沼・湖

公的な管理上の分類として『河川』というひとくくりにされたエリアがあります。

<『河川』の定義>

あ 『河川』の根本的定義

ア 一級河川
イ 二級河川
ウ これらの河川に係る河川管理施設

い 『河川管理施設』の定義|主要

ダム,堰,水門,堤防,護岸,床止め,樹林帯
※河川法3条

う 『河川』の定義

水系に係る公共の水流及び水面
※河川法4条

『水系』の『水面』として,行政解釈上『沼・湖』も含めて扱われています。

2 河川法による使用規制|主要な対象=流水・河川区域内の土地

『河川』については,法律上いろいろな使用の制限があります。
まずは代表的なものをまとめます。

<河川法による使用規制|主要なもの>

あ 流水の占用・利用

ア 河川の流水の占用・利用
→河川管理者の許可or登録が必要
※河川法23条,23条の2

い 河川区域内の『土地』の占用

→河川管理者の許可が必要
※河川法24条

ドローンを『河川』の上空で飛行させることについては抵触しないものです。

3 河川法による使用規制|『管理上支障を及ぼすおそれのある行為』

ドローンの飛行と関係があるとすれば次の規定くらいでしょう。

<河川法による使用規制|ドローンとの関連可能性あるもの>

あ 河川法上の規定

ア 規制対象行為
河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為
イ 『支障』の対象
河川の流水の方向,清潔,流量,幅員,深浅など
ウ 具体的規制対象・規制方法
政令or都道府県の条例で定める
※河川法29条

い 河川法施行令の禁止行為

ア 河川を損傷すること
イ 河川区域内の土地に次のものを捨てるor放置すること
・船舶その他の河川管理者が指定したもの
・土石・砂
・ごみ・ふん尿・鳥獣の死体その他の汚物又は廃物
ウ 指定区域に自動車その他の河川管理者が指定したものを入れること
《区域指定の対象》
・河川管理施設を保全するため必要な区域
・動植物の生息地又は生育地として特に保全する必要がある区域
※河川法施行令16条の4第1項

う 違反に対する罰則|法定刑

河川管理者指定物件の進入をした場合(上記『い−ウ』)
懲役3か月以下or罰金20万円以下
※河川法109条
※河川法施行令59条3号

河川管理者が『ドローンの進入禁止』区域として指定した場合『飛行不可』となります。
ただし,区域指定のためには『管理施設の保全や動植物の生育の保全に必要』ということが前提です。
全面的な進入禁止の指定はできないと考えられます。

4 東京都|河川使用の手引|ドローン飛行は想定外=禁止対象ではない

河川の『進入禁止』エリアは地方自治体が条例として定めることもできます。
この点東京都は『手引』としてルールの説明をまとめています。

<東京都|河川使用の許可に関する『手引』>

あ 河川区域内において許可等を要しない行為

ア 自由使用の場合
例示;『水泳・洗濯・魚釣り・散策・サイクリング等』

い 撮影など→『利用届』の要請

河川敷地を一時的に使用する場合
→河川管理者に相談の上『テラス護岸等一日利用届』を提出する
ア 対象の河川
建設事務所長が事務処理を行う河川
イ 対象行為の例示
・『映画・テレビドラマ・テレビCM・雑誌等の撮影』
・『写生大会・マラソン大会・大道芸・演奏会等』

外部サイト|東京都建設局河川部|許可等の手引き・事務手続き編

ドローンの飛行を一律に禁止している,ということはないようです。

5 川の上空をドローン航路とする実用性|グローバル社会→利権争い抑制

法律解釈を離れても,河川の上空は現実面でドローンの通路・航路として有力候補です。
事故=墜落時に,通行人や自動車などの『大きな被害』が生じにくいです。
逆に言えば,船が多く通行するような広い川については工夫が必要でしょう。
ドローンと船の『レーンの分離』などが考えられます。
実は川を人・物資の運搬に使うことは古典的方法です。
中世のヨーロッパや江戸時代以前の日本でも船便が普及していました。
これを『上空』に拡張するということが今後の有力候補となります。
公的ルール設定・設計では,社会の構造上,利権争いという現象が不可避です。
しかし,現代はグローバル化が進んでいます。
海外との『法規制→新テクノロジー・企業の誘引』の競争が激しいです。
よりユーザー・開発者のメリットを中心に最適化したルール設計が期待できるでしょう。

6 海の周辺部の使用×法規制|海岸法の『海岸保全施設』の定義

河川と並んで『上空の利用』の候補となるのが『海』です。
まずは『海の周辺部』についての規制を説明します。
法律上『海岸保全施設』というエリアがあります。

<『海岸保全施設』の定義>

海岸保全区域内にある堤防,突堤,護岸,胸壁,離岸堤,砂浜
その他海水の侵入又は海水による侵食を防止するための施設
※海岸法2条1項

『砂浜』=いわゆるビーチが『海岸保全施設』に該当するのです。

7 『海岸保全施設』の禁止行為|管理者の『進入禁止指定』など

海岸保全施設における禁止行為として規定されているものをまとめます。

<『海岸保全区域』における禁止行為>

あ 禁止行為

次の行為をみだりに行ってはならない
ア 海岸管理者が管理する施設又は工作物を損傷or汚損すること
イ 油などにより海岸を汚損すること
対象物=管理行為による処理が困難なものとして主務省令で定める
ウ 海岸管理者が指定したものを入れるor放置すること
指定対象の例=自動車・船舶・その他の物件
エ その他の政令指定行為
指定対象=海岸の保全に著しい支障を及ぼすおそれのある行為
※海岸法8条の2第1項

い 違反に対する罰則|法定刑

懲役6か月以下or罰金30万円以下

この中では『進入禁止指定』がドローンの飛行と関係する可能性があります。
規定上『海岸管理者』による『進入禁止物件』の指定には大きな裁量があるという体裁です。
『進入禁止物件』にドローンを指定することも,法的には可能と言えましょう。

8 海の本体の使用×法規制|船舶については『航行区域』が指定される

海周辺部ではなく『海の本体』=大海原,の使用について説明します。
これについては『船舶』の行けるエリアとしてのルールがあります。

<『船舶』における『航行区域』>

あ 船舶の『定期検査』において指定する事項

ア 航行区域(漁船については従業制限)
イ 最大搭載人員
ウ 制限汽圧及び満載吃水線の位置
※船舶安全法9条1項

い 『航行区域』の枠(範囲)

ア 平水区域
イ 沿海区域
ウ 近海区域
エ 遠洋区域
※船舶安全法施行規則5条

しかし,飛行マシーンについては想定されていません。
なお,一定の高さを超えると場所を問わず『航空法』違反になることはあります。