1 遺留分減殺請求権は形成権であり意思表示で効力が発生する
2 遺留分減殺請求の効果の基本的な内容
3 課税では遺留分減殺を新たな取引として扱わない(概要)

1 遺留分減殺請求権は形成権であり意思表示で効力が発生する

本記事では,遺留分減殺請求権の法的性質と効果の基本的内容や効力発生時点について説明します。
まず,法的性質としては形成権として分類されます。
意思表示の時点で効力が発生するということになります。

<遺留分減殺請求権の法的性質と効力発生時点>

あ 法的性質

遺留分減殺請求権について
形成権である

い 基本的効力(物権説)

遺留分減殺請求権の行使により
→当然に減殺の効果が生じる

う 効力発生時点

遺留分減殺請求の意思表示の時点において
=通知の到着時点
→確定的な効果が生じる
※民法1031条
※最高裁昭和51年8月30日
※最高裁昭和41年7月14日

え 遡及効なし(参考)

遺産分割などのような遡及効はない
詳しくはこちら|遺産分割・相続放棄・信託受益権放棄・遺留分・税務の遡及効のまとめ

2 遺留分減殺請求の効果の基本的な内容

遺留分減殺請求権は形成権です(前記)。
このことから,権利の行使(意思表示)の時点で所有権が確定的に移転することになります。

<遺留分減殺請求の効果の基本的な内容>

あ 遺贈・贈与の失効

減殺の対象となる遺贈・贈与について
→遺留分を侵害する限度において当然に失効する

い 財産の帰属(移転)

財産(所有権)の一定割合が請求者に帰属(移転)する
確定的に移転する
※最高裁昭和51年8月30日
※最高裁平成8年1月26日

遺留分減殺請求の効果をさらに具体的な内容は別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|遺留分減殺請求によって減殺(返還)される財産とその順序

3 課税では遺留分減殺を新たな取引として扱わない(概要)

遺留分減殺請求の効果は,相続の後に発生します(前記)。
つまり,遺産による財産の移転とは別に,遺留分減殺請求による財産の移転があるといえます。
そうすると,2つの財産の移転について課税されるように思えます。
しかし,実質的には全体として1つの相続といえます。
そこで,税務上は遺留分減殺請求の結果を前提として相続税が課税されます。
既に相続税申告をしていれば,更正の請求や修正申告をすることになります。
ただし実務では相続人の間で納税の負担を調整して,これらの税務手続を回避することも多いです。
詳しくはこちら|遺留分減殺請求により税務手続が必要だが当事者間の調整で省略できる