1 共有減価|一般的理論・割引率
2 共有減価|一般|算定例
3 全面的価格賠償×共有減価
4 競売減価・一般
5 全面的価格賠償×競売減価
6 共有減価・競売減価×分割協議

1 共有減価|一般的理論・割引率

全面的価格賠償では賠償金の算定が必要になります。
詳しくはこちら|全面的価格賠償|賠償額=適正価値|算定|基本・鑑定
ところで不動産の一般的な評価では『共有減価』というものがあります。
賠償額算定で共有減価を適用するかどうかという問題があります。
その前に,共有減価の一般的な事項を整理します。

<共有減価|一般的理論・割引率>

あ 共有持分の特殊性

100%所有権=単独所有と比べて制約が非常に大きい
潜在的なリスク・負担も大きい

い 共有減価|基本

共有持分の評価は一般的に低くなる
不動産鑑定評価基準において『共有減価』と呼ばれる
共有であるためのディスカウントという意味である

う 共有減価|相場

一般的な共有減価割合・割引率
→20〜30%程度が目安である

2 共有減価|一般|算定例

一般的な共有減価が適用される具体例を紹介します。

<共有減価|一般|算定例>

あ 前提条件

所有権価格=1億円
対象の持分割合=50%
共有減価=30%

い 持分評価額算定

持分の評価額
=1億円 × 50% × 70% =3500万円

通常は共有持分は非常に低い金額でしか売却できません。
評価額でも現実に合わせてディスカウントして計算するのです。

3 全面的価格賠償×共有減価

全面的価格賠償では共有減価の適用が問題となります。
この解釈をまとめます。

<全面的価格賠償×共有減価(※2)>

あ 全面的価格賠償の特徴

全面的価格賠償の結果について
→『共有』を脱する=単独所有になる
→『共有』による制約・不都合はなくなる

い 全面的価格賠償×共有減価

全面的価額賠償の賠償金算定において
→一般的に共有減価を適用しない
※東京地裁平成25年7月19日
※東京地裁平成17年10月19日

う 参考|共有減価の適用場面

共有減価が適用されるのは次の取引である
対象取引=共有者以外が共有持分を取得する

4 競売減価・一般

共有減価とは別に『競売減価』という計算方法があります。
全面的価格賠償の計算でも競売減価の問題があります。
その前に,一般的な競売減価の内容をまとめます。

<競売減価・一般>

あ 競売の特殊性(※1)

一般的な取引と比べて大きな制約・リスクがある
ア 事前に得られる情報が限られている
イ 内見が容易ではない
ウ 引渡が確実ではない
エ 権利の負担の有無が不明確である
オ 瑕疵担保責任に制限がある
※民法570条ただし書き

い 競売減価|理論

競売は一般的な取引と比べて評価が下がる
=売却金額が低くなる傾向がある
このディスカウントを『競売減価』と呼ぶ

う 競売減価|相場

一般的な競売減価・割引率
→30%程度が目安である

5 全面的価格賠償×競売減価

全面的価格賠償では競売減価の適用が問題になります。
この解釈をまとめます。

<全面的価格賠償×競売減価(※3)>

あ 換価分割との比較

仮に換価分割となった場合
→競売で売却することになる
→一般的取引よりも大幅に売却金額が下がる
→『競売減価』を適用すべき状態である

い 全面的価格賠償×競売減価

実質的に共有者間の取引である
→『競売の特殊性』(上記※1)に該当しない
→一般的に『競売減価』を適用しない
※東京地裁平成17年10月19日

6 共有減価・競売減価×分割協議

以上の減価の処理方法はあくまでも判決の場合の理論です。
協議で合意に至る場合はこのようなルールはありません。
もちろん以上の理論を参考にすることはよくあります。
しかし他の事情の方が大きな影響を及ぼすことが多いです。

<共有減価・競売減価×分割協議>

あ 訴訟・判決

裁判所が判断する場合
→上記※2,※3のように算定する

い 協議

共有者間で分割協議を行う場合
共有減価・競売減価の適用の有無について
→決まりはない
当事者の意向により定まる