【婚外子として子供を持つ家族(事実婚・内縁など)の普及と社会の変化】

1 婚外子として子供をもつ家族の普及と社会の変化
2 婚外子として子供を持つ方法(事実婚・内縁)
3 結婚と出産の分離の普及による社会的効果
4 時代の変化と『子供を持つ形態』のマッチング
5 『子供を持つ形態』に関する文化的・社会的な反発
6 婚姻しなくても法的な拘束が生じることがある

1 婚外子として子供をもつ家族の普及と社会の変化

子供をもって家族となる形態は結婚(法律婚)であるという発想が一般的でした。
しかし,法律婚にはいろいろと不合理なことがあります。
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性(婚費地獄・結婚債権・貞操義務の不公平・夫婦同姓など)
結婚による不合理を避けるために,結婚せずに,例えば事実婚や内縁という関係の状態で子供をもつ(出産する)という方法を選択する方が増えつつあります。
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性を回避する方法の全体像(婚外子・夫婦財産契約など)
本記事では,婚外子として子を持つことの普及と,社会の変化との関係について説明します。

2 婚外子として子供を持つ方法(事実婚・内縁)

『結婚』は本来手段に過ぎません。
『目的』は『素敵なパートナーと愛し合う2人の子供を持つこと』です。
この目的は,結婚(法律婚)以外の手段で達成できます。
結婚せずに同居・出産するという方法です。
要するに『婚外子を持つ』ということです。両親の関係は例えば事実婚・内縁というものになります。
結婚出産は,セットとされがちですが,この2つを分離するのです。
両親がどのような契約(結婚)であろうと,『親子の絆』は変わりません。
扶養・相続権という重要な権利について,婚外子と嫡出子の差別はありません。
詳しくはこちら|嫡出子・嫡出推定|基本|差別的ニュアンス・再婚禁止期間・準正
裁判所も全面的に『婚外子』応援キャンペーン実施中です。
相続権を差別する民法の規定がありましたが,平成26年の最高裁判例で違憲として無効とされました(最高裁平成25年9月4日)。
詳しくはこちら|非嫡出子の相続分を半分とする規定→法律婚優遇・子供差別は不合理→違憲・無効
『婚外子』を嫌って中絶した女性に批判的な評価を下したケースもあります(東京地裁平成17年10月28日)。
詳しくはこちら|婚約未満の交際×法的責任|既婚を隠した交際など|いろいろな判例
現在では『嫡出子・非嫡出子』という用語自体への批判が強くなっています。

3 結婚と出産の分離の普及による社会的効果

婚外子という選択によって,結婚と出産を分離すると,社会的なプラスの効果につながります。

<結婚と出産の分離の普及による社会的効果>

あ 直接的効果

『若い時期に出産→その後就業』が促進される

い 発展的な効果

ア 少子化解消イ 不妊治療の負担(費用・身体)軽減・抑制ウ 女性の社会進出・労働力増加

このように結婚と出産の分離にはプラスの効果がたくさんあるのです。

4 時代の変化と『子供を持つ形態』のマッチング

事実婚(内縁)の状態で子供(婚外子)をもつ,という選択は,時代の流れとともに増えてきました。
つまり,子供を持つ形態(家族の形態)が,時代による社会的な状況とともに変わってきたということです。

<時代の変化と『子供を持つ形態』のマッチング>

時期(状況) 説明 整合する制度
高度成長期 どんな事業も拡大する+家電性能低 終身雇用・解雇規制・年功序列・女性の社会進出なし・寿退職後の『結婚+専業主婦+出産』
現在 産業成熟・グローバル化・家電高性能化 雇用の流動化・女性の社会進出普及・出産後の就業・恋愛の流動化

5 『子供を持つ形態』に関する文化的・社会的な反発

時代は変化していても,結婚・夫婦・出産というテーマに対する社会の見解・価値観の変化は一定の『遅れ』がみられます。

<『子供を持つ形態』に関する文化的・社会的な反発>

あ 文化的・社会的反発の例

『結婚しないで出産』(婚外子)
『若い女性が出産』
『父母(夫婦)の年齢差』

い 今後の変化

社会の価値観は,10年単位でみると『急速』に変化する可能性が大きい

歴史を振り返ると分かりやすいです。
3〜40年前は『女性が働くのはあり得ない(レア)』という時代だったのです。
この趣旨の判断が含まれる『女性が働くことは想定外判決』があります。
別項目|『美貌算定期間』『収入基底状態』の時代変化の理由(仮説)
また実際に,意識的に法律婚を避けて事実婚を選択する方は増えている傾向があります。
詳しくはこちら|婚姻していない男女交際の種類(婚約・内縁・事実婚)と法的責任の全体像

6 婚姻しなくても法的な拘束が生じることがある

婚姻しない関係であれば,当然,婚姻としての規定は適用されません。
しかし,具体的状況に応じて法的な義務・拘束が適用される(生じる)ことがあります。
詳しくはこちら|婚約破棄の慰謝料は30〜300万円が相場だが事情によって大きく異なる
詳しくはこちら|内縁関係に適用される制度と適用されない制度(法律婚の優遇)

本記事では,婚外子として子供を持つ(出産する)形態の『家族』の普及や社会の変化との関係について説明しました。
実際の法律的な扱いは,個別的な事情によって大きく異なることもあります。
実際に婚外子や結婚していない男女の関係に関する問題や悩みに直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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