1 婚姻していない男女交際の種類と法的責任
2 婚姻以外の男女交際の関係の種類の大きな分類
3 婚姻の意思があるが婚姻してない関係の種類
4 事実婚を選択する(法律婚を避ける)理由
5 一般的な男女交際に生じる法的責任

1 婚姻していない男女交際の種類と法的扱い

結婚(婚姻)している男女は,夫婦としていろいろな法律的な拘束(責任)を受けます。
一方,婚姻していない男女交際については,法律的な拘束力や責任が発生することは通常ありません。
しかし,婚約や内縁(事実婚)が成立した状態である場合は,いろいろな法律的な責任が発生します。
本記事では,婚姻していない男女交際のうち,法律的な拘束が生じるものの種類と,それぞれの法的扱いを全体的に説明します。

2 婚姻以外の男女交際の関係の種類の大きな分類

婚姻していない男女交際を法律的な視点で分類すると,多くの種類に分かれます。
まずは,婚姻の意思があるかないかで2つに分けられます。
基本的に,法律的な拘束力(責任)が生じるのは婚姻の意思がある関係性のみです。

<婚姻以外の男女交際の関係の種類の大きな分類>

あ 婚姻の意思あり

婚姻の意思がある
しかし婚姻届を提出していない(=婚姻していない)
→一定の法的拘束がある
婚約・内縁(事実婚)に分類される(後記※1)

い 婚姻の意思なし

婚姻の意思がない男女の交際(性的関係)
例=一般的な男女交際・愛人・妾・不倫・売買春
→法的拘束はない
特殊事情により例外的に法的拘束が生じることがある(後記※2)

3 婚姻の意思があるが婚姻してない関係の種類

婚姻の意思がある男女交際には,(婚姻していない段階であっても)法律的な拘束力が発生します。
種類としては,大きく婚約内縁に分けられます。
事実婚という関係性は,内縁に含まれます。

<婚姻の意思があるが婚姻してない関係の種類(※1)>

あ 婚約

将来,婚姻しようとする合意のある関係
『婚姻予約・婚姻の予約』と呼ぶこともある
詳しくはこちら|婚約(婚姻予約)の基礎的な理論と解釈の歴史(法的責任の種類・内容)

い 内縁

婚姻の意思をもって事実上の夫婦共同生活を営んでいる関係
詳しくはこちら|内縁|基本|婚姻に準じた扱い・内縁認定基準|パートナーシップ関係

う 事実婚

事実上の夫婦共同生活をしている
当事者の主体的な意思で,婚姻の届出をしない
内縁(う)に含まれる
1980年台後半から,社会的に広がってきた
※梶村太市ほか編『夫婦の法律相談 新・法律相談シリーズ』有斐閣2004年p15

4 事実婚を選択する(法律婚を避ける)理由

事実婚という関係性は,当事者が意図的に法律婚を避けているものです。
法律婚を避ける理由・目的にはいろいろなものがあります。

<事実婚を選択する(法律婚を避ける)理由>

あ 具体的な理由の例

夫婦別姓の実践
家意識や嫁扱いへの抵抗
戸籍を通じて家族関係を把握・管理されることへの疑問
婚姻制度の中にある性別役割分業構造や婚外子差別への反対
※梶村太市ほか編『夫婦の法律相談 新・法律相談シリーズ』有斐閣2004年p15

い 法律婚の不合理性との関係

法律婚(結婚制度)自体が不合理性をもっている
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性(婚費地獄・結婚債権・貞操義務の不公平・夫婦同姓など)
法律婚の不合理性を回避する方法の1つが内縁(事実婚)である
詳しくはこちら|結婚制度の不合理性を回避する方法の全体像(婚外子・夫婦財産契約など)

5 一般的な男女交際に生じる法的責任

婚姻の意思がない男女の交際については,原則的に法律的な拘束力は生じません。
つまり,国家が介入することはないのです。
しかし,(当然ですが)特殊な事情がある場合は別です。
妊娠や出産の負担を男女(父と母)で分担するという責任や騙して性的関係をもったケースにおける慰謝料の賠償責任が典型例です。

<一般的な男女交際に生じる法的責任(※2)>

あ 詐欺的要素なし

妊娠中絶・出産の責任や生活費の清算の義務が生じることがある
詳しくはこちら|交際破棄では法的責任は生じないが妊娠・出産の責任や生活費の清算はある

い 詐欺的要素あり

既婚者が性的関係を実現するために『ア・イ』の手法を用いた場合
→不法な貞操侵害となる
ア 既婚を隠した
『独身だ』とウソをついた
詳しくはこちら|既婚を隠した交際・恋愛は慰謝料が認められやすい|恋愛市場の公正取引
イ 離婚するというウソ宣言
『今の妻とは離婚する,君と結婚するつもりだ』とウソをついた
詳しくはこちら|既婚と知って交際した者からの慰謝料請求は事情によって認められる

本記事では,婚姻(結婚)していない男女の交際に関して法的責任が生じるケースとして,婚約・内縁・事実婚などの種類について説明しました。
実際には,どれに該当するのかがはっきりしないケースもよくあります。
男女交際に伴う責任の問題や悩みに直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。