1 東京地裁平成16年3月25日|既婚・ノーマル
2 東京地裁平成19年9月21日|既婚・結婚前提の出会いサイト経由
3 東京地裁平成22年1月14日|既婚・『割り切りパトロン』の主張を排斥
4 東京地裁平成22年7月5日|既婚・中絶・執着的な『避妊なし性交渉』
5 東京地裁平成17年10月28日|既婚・中絶・裁判官が『婚外子促進』
6 東京地裁平成18年8月8日|既婚・出産・ノーマル
7 東京地裁平成19年8月29日|既婚・妊娠3回→中絶2回・出産1子・ソープランドの出会い
8 東京地裁平成17年1月27日|未婚でも慰謝料認容・親を交えた協議+修復決意表明がカギ
9 東京地裁平成15年6月25日|男性が『被害者』→恋愛市場価値からの算定は機会損失ゼロ

『婚約未満』では自由恋愛=法的責任は生じない,というのが原則です。
逆に『既婚者』などの特殊事情がある場合は例外的に慰謝料が認められることもあります。
詳しくはこちら|既婚を隠した交際・恋愛は慰謝料が認められやすい|恋愛市場の公正取引
ここでは,具体的な判例をまとめてあります。

1 東京地裁平成16年3月25日|既婚・ノーマル

<東京地裁平成16年3月25日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A=既婚(妻子あり)
イ 被害者=女性B=未婚
ウ 交際期間=約2年半
エ 妊娠・出産=なし

い 裁判所の判断(結論)

慰謝料300万円

う 事案の概要

Aは妻子があることを隠してBと交際を開始した
交際中も,Aは繰り返し『婚姻の意思があるかのような言動』を取っていた

2 東京地裁平成19年9月21日|既婚・結婚前提の出会いサイト経由

<東京地裁平成19年9月21日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A
既婚・妻と3子と同居
イ 被害者=女性B
離婚歴ある独身
《女性の経歴》
22歳で結婚し,2子をもうけた
27歳で離婚し,以来,仕事をしながら子育てをしてきた
ウ 交際期間=約3年
エ 妊娠・出産=なし

い 事案の概要

未婚者専用の紹介サイトに既婚男性が『離婚済=未婚』と偽って登録
女性は(過去の夫との間の)娘も含めて『お父さん候補』として交際していた
男性が賭博開帳罪で検挙され,警察官経由で『妻子あり』がバレた

<裁判所の判断>

あ 判決(結論)

慰謝料250万円

い 婚約→認めない
う 不法行為→認める
え 判断のポイント

ア 争点
・Aが自宅住所を教えなかったこと
・Aの親族に会わせていないこと
・これらを不審だと思って問い質さなかったこと
イ 男性Aの主張
『再婚の希望』はウソ(信用性に乏しい)
ウ 裁判所の判断
Bの性格として『物事に疑いを持たず信じやすい傾向=迂闊さ』は認める
しかし逆に,Aが,このようなBの性格を『利用(悪用)』したと言える

Aの責任を否定することにはならない

<事案内容|出会い→交際スタート>

あ 未婚専用出会いサイトでの出会い

平成15年9月頃A・Bは『結婚相手を紹介するサイト』に会員登録した
サイトは『未婚者限定』であった
Aは,独身と偽ってサイトに会員登録した
Aは『妻と離婚して再婚する』という考えがあったわけではない

い デートでウソのストーリー創作

平成15年10月ころ,A・Bは会った
Bは『離婚経緯・子供のこと・再婚を希望する心情』を話した
Aは次のように説明した
《Aの説明内容(虚偽)》
・10年前に離婚し,妻が子供を引き取り,子供の学費を負担している
・年老いた両親と同居して両親の面倒をみている
・直ちに再婚する意思はない

う 交際開始

BはAの意向『直ちに再婚する意思はない』に躊躇があった
一方で『お互いを知った段階で結婚するという前提』での交際になると信じた
Aに好感を持てたので,交際を開始することにした
その後約3年間,性交渉を含む交際を継続した

<事案内容|親子で『お父さん候補』として交際→既婚発覚>

あ 女性の娘も含めた親密な交際

Bは,自分の娘に『再婚前提の交際相手』としてAを紹介した
Aは『両親の買い物』と言われて実家の買い物を一緒にしたこともあった
Bは娘と一緒に『Aにあげるサンドイッチ』を作り,車でAを送迎することもあった
Bの娘からAにプレゼントを渡すこともあった

い 浮気もあったが乗り越えてきた

BはAとの交際中にも,同一の結婚相手紹介サイトに再度会員登録したことがあった
そして,B以外の女性と性的関係を持つに至ることもあった
そのたびにA・Bは険悪になったがAが懐柔する形で関係を修復していた

う Aは自宅を隠し,親族紹介も避けていた

AはBに自宅(住所)を教えることを拒否していた
AはBに自分の親族・家族を紹介することはなかった
Bはこのことを不審に思ったが,Aに問い質すことはなかった

え 『既婚』発覚

Aは『高校野球の試合結果を賭ける』賭博を企画・主催した
これにBも同席した
この賭博が警察に検挙された
警察官を介して,Bは『Aが既婚者・妻子と同居』ということを聞いた
Bはショックを受け,Aとの交際と絶った

3 東京地裁平成22年1月14日|既婚・『割り切りパトロン』の主張を排斥

<東京地裁平成22年1月14日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A
既婚(妻子あり)だった・会社経営
イ 被害者=女性B
未婚・銀座の高級クラブの日給制キャスト(ホステス)
ウ 交際期間=約5年間
エ 妊娠・中絶=なし

い 事案の概要

既婚を隠して,会社経営者の男性が高級クラブのホステスと交際を始めた
『未婚』『結婚する予定』を特に強調したことはなかった
女性が過去に『交際相手が既婚を分かったので別れた』という話をしていた
ファミリー仕様の新築建物の図面を見せられ,結婚生活の夢を持った

<裁判所の判断>

あ 判決(結論)

慰謝料250万円

い 婚約→認めない
う 不法行為→認める

BがAとの婚姻を夢見て交際を続けてきた期間は5年以上の長期間にも及ぶ
『5年間騙されて性交渉を与え続けたこと』が今後のBの人生に大きな悪影響を及ぼす

え 判断のポイント|結婚への期待

ア 同棲ではない
双方が別に住居を有しながら,お互いに行き来して宿泊することもあるような関係
イ 婚姻の申入がない
AがBに対して婚姻を申し入れたことはない
ウ 第三者への紹介がない
Bは,Aを婚約者として両親・自身の経営する会社の関係者に紹介していない
エ 建物図面の交付(ファミリー仕様)
同居→結婚,を想定・期待させる

お 判断のポイント|『割り切った交際』かどうか

争点=ホステスとパトロンの割り切った交際(違法性なし)かどうか
ア 『割り切りパトロン』を肯定する事情
知り合った当時,Bはホステスとして稼働していた
Bは,食事や旅行に誘われてAに同行した
Aは,Bのマンションの家賃などの負担をしていた
Bは,他に多数の宝飾品などを受け取っていた
Bは全体として相当な経済的な利益を享受していた
BはAとの交際以前に,別の大手会社の社長=既婚男性,と交際していたことがある
イ 『割り切りパトロン』を否定する事情
ファミリー仕様の建物図面を渡した
過去の大手会社社長との交際は『既婚』と知らなかった
『既婚(妻子あり)と知った後に別れた』とAに説明したことがあった
ウ 争点についての裁判所の判断
結論=違法性あり
理由;
・過去の大手会社社長との交際→別れた,という経緯がある
・Aは『既婚であることをBに告げたら交際が終わる』と思っていた
・そのためにAは敢えて隠していた
・『何ら実りの得られない不毛な関係というべき』
・Bが受けた精神的苦痛は『経済的な利益の享受』との対価性はない

<事案内容|出会い→経済的余裕のある交際>

あ 出会い・きっかけ

平成13年春頃,銀座の高級クラブでA・Bは知り合い,交際を始めた
交際中の当初2年間は,少なくとも月に2,3回程度は外食・週末には旅行に行っていた

い 婚姻の話なしだがマイホームの期待高まる

Aは,交際中,Bに対して婚姻を求めることはなかった
平成13年12月,Aは自身が経営する会社名義で六本木に宅地を購入した
3階建ての建物の図面を設計・作成を依頼した
この図面をAがBに渡した
図面の建物は,1階に和室や居間,2階にファミリールームや主寝室を備えるものであった
Bは豪華な結婚生活を夢見た

い 賃貸マンションの費用負担・居住関係

A・Bは,B居住の賃貸マンションで過ごすことが多かった
平成15年〜平成19年2月の家賃はAが負担していた

う 女性のマンションでの『同居』はなかった

Aは千葉県市川市において,妻子らとともに居住していた
Aは自身の経営する会社の代表取締役として平日の日中はスケジュールが詰まっていた
AがB居住のマンションを平日に訪れるのことは少なかった

え 『男性のマンション』での『同居』はなかった

『Aのマンション』にBが来ることはあったがわずかであった
AはBに『Aのマンション』の鍵・セキュリティカード』を渡したことはなかった
『Aのマンション』のガス使用料は,夏冬通して1000円〜2000円前後で推移していた
(通常の一人暮らしよりも低い)
これはAが『Bと過ごすため専用の箱』として用意したものであった(『ラブホテル代わり』←判決文の表現)

<事案内容|経済事情悪化→ウソ発覚>

あ 結婚債権の獲得見込みの逸失利益

BはAと知り合った頃,1歳年下の男性Cと交際していた
平成14年12月にホステスを辞めた
この頃,Cとの交際もやめた
《保険的結婚債権》
1年半以上,BはAとともにCをキープしていた状態であった

い ホステス退職後は収入が低い

ホステス退職後,Bは,趣味のフラワーアレンジメントを仕事とするべく活動した
当然,マーケットは甘くなく,確実な収入を得るには至っていない

う 交際終了→その後『虚偽』が発覚

男性は生年月日を偽っていた
『年』は,16歳のサバ読みであった
『月日』は,家族の誕生祝いとのバッティングを避けるためであった

4 東京地裁平成22年7月5日|既婚・中絶・執着的な『避妊なし性交渉』

<東京地裁平成22年7月5日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A
既婚・当時37歳・会社員
イ 被害者=女性B
当時33歳・TV局勤務・婚姻歴なし
ウ 交際期間=数か月
エ 妊娠・出産=妊娠→中絶

い 事案の概要

既婚男性が『独身』と偽ってお見合いパーティーに参加した
男性は強引に避妊なしの性交渉を要求した
女性は『結婚前提』と理解して応じた
比較的短期間で妊娠した→中絶した

<裁判所の判断>

あ 判決(結論)

慰謝料250万円+弁護士費用25万円

い 婚約→認めない
う 不法行為→認める

Bに著しい屈辱感を与え,人格権を侵害することは明らかである

え 判断のポイント

ア 未婚でも違法性を認める特殊性
未婚なので→原則=『自由恋愛の範囲内』(違法性なし)である
《例外的な『違法性』の理由となる特殊事情》
Aが強引に避妊なしの性交渉を行った
妊娠発覚後,接触自体を回避した
→妊娠は想定内+Bにとって『Aの責任回避』は想定外
→産みたいのに産めない状態
イ 女性Bの落ち度の評価(否定)
『独身者限定』のパーティーで出会ったので『結婚前提』という期待があるのが当然
避妊なしの性交渉を強引に迫られて,この期待が強くなることは責められない

<事案内容|出会い→避妊なし性交渉強要>

あ 出会い・きっかけ

平成21年2月,業者主催のお見合いパーティーでA・Bは知り合った
パーティー参加条件は『20歳以上の独身者』に限定されていた

い 初デートで強引な交際開始

A・Bは後日2人で会い,食事を共にした
AはBに交際を申し込んだ
Bが『もう少しゆっくり決めたい』と言った
Aは即答を迫った
『付き合うか付き合わないかの微妙な関係でいるのは嫌だ』
『自分は,もう好きになったから,すぐ付き合いたい』
『そして,先のこともなるべく早く考えたい』
Bは,これを聞いて,『結婚を前提とした交際』と理解した
Aはホテルに誘ったが,Bは断った
結局Bの自宅へ一緒に行くこととなった
Aは性交渉を求めた
Bは避妊具を付けることを求めた
Aはこれを拒否した上,半ば強引に性交渉に至った
Bとしても,強烈に拒否すると嫌われてチャンスを逃すという考えがあった

う 避妊の断固拒否

数日後,2人はデートし,一緒に食事→カラオケ→B自宅と移動した
移動中のコンビニでBがAに避妊具購入を要請した
Aは『絶対に避妊しない』ことを明言し,断った
避妊せずに性交渉をした
約1週間後BはAを自宅に招いて夕飯を共にした
その後,性交渉をした
この時も避妊なしであった
Bとしては『Aが避妊しないということは結婚を前提としている』と考えていた

<事案内容|妊娠→責任放棄→中絶>

あ 妊娠発覚

約1か月後,Bは生理が遅れていたので妊娠を疑った
妊娠検査薬で調べたところ,陽性(妊娠)の反応が出た
BはAにこれを告げた
Aは『病院で検査をしなければ分からない』だけの答えであった
翌日Bは医師の診察を受け,妊娠と診断された

い 逃げ腰の始まり

この時点でAは『Bを避ける対応』になっていた
ようやく数日後に2人は会った
BはAから『産んで欲しい』と言われることを期待していた
Aは『難しいね』と,出産に否定的なコメントをするのみであった

う 中絶

数日後A,Bは2人でクリニックに行き,Bは人工妊娠中絶をした
その費用はAが負担した

え 本格的責任放棄

BはAに(Aが負担していない)検査費用・手術費の支払を求めた
Aは『独身者どうしで付き合って中絶しても,慰謝料とか払う必要ない』と吐き捨てた
Bは奈落の底に落とされた

お 弁護士による戸籍調査

Bが依頼した弁護士がAの戸籍を調査した
『Aが既婚者である』ことが発覚した
Aはさらに大きな衝撃を受けた

5 東京地裁平成17年10月28日|既婚・中絶・裁判官が『婚外子促進』

まだまだ日本では『婚外子は産めない→中絶』と考える傾向が強いです。
この裁判官はこれを批判するニュアンスがあります。
最高裁を含めて『婚外子』についてポジティブな価値観が進行しています。
詳しくはこちら|非嫡出子の相続分を半分とする規定→法律婚優遇・子供差別は不合理→違憲・無効
いわゆる『結婚宗教』に警鐘を鳴らすものと言えましょう。

<東京地裁平成17年10月28日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A=既婚
イ 被害者=女性B=未婚
ウ 妊娠・出産=妊娠→中絶

い 裁判所の判断(結論)

ゼロ(請求棄却)
ただし,事前に任意に500万円の支払がなされている

う 事案の概要

AはBとの交際開始時に既婚であることを隠した
既婚が発覚後も交際は継続した
Bが妊娠した
Aは『子供の認知はする』『経済的には迷惑をかけない』と言った
Aは,Bの両親に対しても自分の意向を説明した
ところがBは周囲から猛反対を受けた(結婚宗教)
Bは最終的に,『子供を下ろす(中絶する)』ことを決断した
Bは深い心的外傷を受け,拒食症や不眠症に罹患した
Aは,慰謝料・解決金の趣旨でBに500万円を支払った

え ポイント・裁判所の指摘

『既婚者との交際』についてはBも途中から了解していた
中絶については女性の決断である
『婚外子として出産・育てる道』もあった,Aもそれを望んでいた

6 東京地裁平成18年8月8日|既婚・出産・ノーマル

<東京地裁平成18年8月8日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A
既婚(妻子あり)
イ 被害者=女性B
未婚
ウ 妊娠・出産=妊娠→出産

い 裁判所の判断(結論)

慰謝料100万円+出産に要した費用約60万円

う 事案の概要

交際開始時にはAは独身であると偽っていた
既婚発覚後,Aは『夫婦が険悪・離婚する予定』と説明
その後も交際を継続した
実際には『離婚実現』は想定していない+実現可能性が低いものだった
子供の出産後,Aは認知を拒み続けた
最後は強制認知(裁判)が認められている

7 東京地裁平成19年8月29日|既婚・妊娠3回→中絶2回・出産1子・ソープランドの出会い

<東京地裁平成19年8月29日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A
既婚・パチンコ店経営(静岡在住)
イ 被害者=女性B
ソープランド勤務(嬢)
ウ 交際期間=約11年
エ 被害女性の逸失『期間』=25歳〜36歳
オ 妊娠・出産=妊娠3回→中絶2回+出産1回

い 事案の概要

ソープランドのキャスト(嬢)と入浴客という出会い
女性は結婚の希望を持てないと諦めていた
男性が強力に『結婚』を強調・説得し,交際を継続した

<裁判所の判断>

あ 判決

慰謝料500万円(+弁護士費用50万円)

い 婚約→認めない

重婚を認めることになるので『婚約』は認めない

う 不法行為→認める

人格権侵害の継続的不法行為を構成する

え 判断のポイント

Bは独身であり,いずれAと婚姻できるものと信じていた
『20代後半から30代にかけての女性としての貴重な時期』をAのために捧げた
Bは2度の中絶手術を受けた
Bは子供を出産した
Aは月額5万円の扶養料の支払について合意している
Bは今後,働きながらAとの間の子供を養育していかなければならない
交際期間中,Bは,Aから,月額50万円程度の生活費の支給を継続的に受けていた

<事案内容|交際から既婚発覚危機まで>

あ きっかけ・出会い

平成3年頃,ソープランド店で入浴サービスを介してA・Bは知り合った
約1年後,店外での交際開始

い 女性は『結婚』を期待できないので避けるようになった

Aは既婚者であることを話していなかった
Bは『普通の彼女として交際』していた
Bは自身の職業から結婚の話しを避けていた
途中でBは,身を引こうと思って自分からの連絡を避けるようになった

う 男性から交際継続を申し出た

AはBに葛西臨海公園で『自分が女性を守るから安心してついてきてほしい』と言った

え 男性が『結婚を考えている』発言+指輪プレゼント

平成5年,女性の26歳の誕生日に,日付と男性・女性のイニシャル刻印のある指輪をプレゼントした
次のように言った。
『結婚を真剣に考えているから,働いている店を辞めてほしい』
『すぐには一緒になれない。2,3年後くらいになる』
『それまで東京に生活の拠点を置いてほしい』
『今後の生活の面倒(家賃+生活費)はおれがみるから』

お 女性はソープランドから退職

Bは『Aと結婚するにふさわしい人間になろう』と考えた
ソープランドを退職した

か 女性が『結婚承諾』発言

Bは決心を固め,『結婚を承諾する』と返答した

か 経済的協力+業務の協力

AからBに対して生活費+静岡までの交通費として月約50万円が渡されるようになった
Bが静岡に行った時にはA経営のパチンコ店の雑務を手伝った

き 苗字の共通使用

ホテル予約・チェックインの際,BはAの苗字を使っていた
AはBにこのように指示をしていた

く 『男性の家族』発覚危機|意図的疑惑

AがBに,デートの写真を渡した
その中に『Aの家族の写真』が紛れ込んでいた
Aは次のように説明した。
『男の子は,清水に住んでいる兄の子供だ』
『女性は,兄の親しい友人だ』
その後Bが『以前紹介してもらったAの友人』にこのことを質問した
Aの友人は何も言わず,考え過ぎだという感じで笑っているだけであった

<事案内容|3回の妊娠>

あ 妊娠発覚1回目→中絶

当初Bはピルを常用していた
ソープランドを退職した後は服用をやめていた
平成6年12月頃,BはAの子を妊娠した
BはAに『結婚+出産』の希望を伝えた
Aは次のように説明して出産に賛成しなかった
『きちんと家族に紹介していないし,結婚前にできちゃった婚はよくない』
『もう少し環境が整って,ちゃんと子供を産めるようになってから産もう』
Bは悩んだ末に,中絶した

い 妊娠2回目→中絶

平成7年,Bは2度目の妊娠をした
Bは『結婚+出産』の希望をAに伝えた
Aはこれを拒否した
『もう少し待ってくれ。今回もおろしてほしい』
Bは中絶した

う 男性は結婚を否定せず引き伸ばすのみ

その後もAは結婚を引き伸ばす説明を繰り返した
『ちゃんと考えているから,もうちょっと待ってくれ』
『もうあと2,3年待ってほしい』

え 不妊の心配

Bは,その後数年妊娠しなかった
中絶・加齢→不妊,という心配が生じた
AはBに気遣うテイで排卵日を中心に性交渉をするようになった
Bは不妊症の検査+治療を行った
次にAも不妊症の検査を行う予定となっていた

お 妊娠3回目

Aの不妊症検査実施前に,Bの妊娠が発覚した
今度はAが『是非産んでほしい』と,ようやく出産に賛成した
その後もAが反対することはなかった

<事案内容|既婚の自白→婚外子出産合意→破局>

あ 不倫宣言|間接的伝達工作

平成15年9月,Bは携帯電話越しに『知らない人』から乱暴な口調で『あんたは不倫なんだよ!』と怒鳴られた
電話をかけた者は一気にまくしたてた
『A君は結婚しているんだよ』
『A君と別れてほしいんだよ』
これについてAは『知らない』としらを切った
その後Aとは連絡が取れなくなった

い 悲劇のヒロインを伝えた

BはAにメールでショックを伝えた
『Bが何も知らずに10年間静岡に行きAの婚約者気取りでいた』
『Aの友人ら皆に陰で笑われていたことが馬鹿みたいだ』

う 直接の自白

平成15年12月,ようやく静岡でBはAに会うことができた
AはBに自身の戸籍抄本を見せた
この時点でBは『Aが既婚であること』を信じざるをえないことになった
Bは奈落の底に落とされた心境となった

え 『婚外子』として産んで育てよう!と合意

AはBの出産を賛成・応援した
Aは『パパ学級』(父親になるための心得を習得する講義)の予約のためにBに日程確認の連絡をした
AはBに,出産に向けて食事のとり方をアドバイスした

お 出産

平成16年,Bは子供を出産した
その後もAは『子供の名前』を考えている状況をメールでBに伝えた

か 責任放棄=連絡途絶

しばらくするとAとの連絡が取れなくなった

き 母の窮状

Bは子供を保育園に預け,朝8時半から午後5時まで働いて生活している

<事案内容|認知についての代理人を通した交渉>

あ 代理人弁護士による戸籍調査

Bの依頼した弁護士がAの戸籍謄本を取り寄せた
《戸籍の内容》
平成3年にフィリピン国籍の女性と婚姻していた
子供が2人いた

い 認知を要請する通知書

平成16年7月,Bの代理人弁護士が,Aに対して認知を要請する交渉を開始した
Aの知人がB代理人に連絡してきたが,それ以降何も反応がなくなった
B代理人は家裁に認知調停を申し立てた
第1〜2回の期日ともにAは出席しなかった
調停は不成立となり終了した
B代理人は認知請求訴訟を提起した
第2回期日にようやくAは出席した
そして,任意認知を行うに至った

う 扶養料(養育費)請求→月額5万円だけで合意

B代理人弁護士がAに『扶養料』を請求したが一切反応がなかった
B代理人弁護士は家裁に調停を申し立てた
調停において,ようやく『月5万円』の扶養料を支払う調停が成立した

8 東京地裁平成17年1月27日|未婚でも慰謝料認容・親を交えた協議+修復決意表明がカギ

未婚の者が『婚約』していないのに交際の責任を負った,珍しい判例です。

<東京地裁平成17年1月27日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=男性A=未婚
イ 被害者=女性B=未婚
ウ 交際期間=約7年
エ 妊娠・出産=なし

い 事案の概要

男女ともに学生の時に交際を開始した
転勤で遠距離恋愛となり,男性が現地で別の彼女をつくった
両方の親を交えた話し合いを行った
ここで『修復する』約束をした
一旦は仲直りしたが,再度男性から別れを宣言した

<裁判所の判断>

あ 判決(結論)

慰謝料100万円(+弁護士費用20万円)
ただし,事前に任意に50万円が支払われている

い 婚約→認定しない

結婚披露宴や新居の選定など婚姻共同体の形成に向けての具体的行為はない
その予定もない

う 不法行為→認める

交際は『将来の結婚を前提』としてなされたと認められる
少なくとも『他の女性Cとの交際開始』までは『将来結婚する旨の意思の暗黙の合致』があった(ただし『婚約未満』)
《違法性肯定ポイント》
ア 両方の親を交えた『関係修復の話し合い・修復の決意』
イ 就職先の斡旋(実質的な利益を補助的に考慮)

<事案内容|出会い→破局>

あ 出会い・交際開始

平成7年夏頃,A・Bは同じ大学のアイスホッケー部で知り合い,交際が始まった

い 相互の親への紹介・就職先斡旋

お互いに『交際相手』として家族に紹介していた
Aの就職先を,Bの父が紹介して就職するに至った

う 転勤→遠距離恋愛→浮気

平成11年4月,Aは徳島に転勤になった
約2か月後,Aは現地で別の女性Cと交際を始めた

え 『別れ』を切り出す

平成12年3月,AはBに『Cとの交際』を説明し『Aとは別れたい』と告げた
Bは大きなショックを受けた
Bは不眠,過呼吸,拒食の状態となり,後にうつ病と診断された

お 両方の親も交えた話し合い

翌月,両方の親も交えて話し合いがもたれた
その結果,AはCとの交際を辞め,Bとの仲を修復する,という結論になった

か 関係修復

その後,AはBにダイヤモンドを渡し,関西旅行をするなどして円満な交際を続けた

き 再度の交際打ち切り

平成14年始め頃,Aは改めて交際をやめるとBに告げた

9 東京地裁平成15年6月25日|男性が『被害者』→恋愛市場価値からの算定は機会損失ゼロ

交際解消について『男性が女性に慰謝料を請求する』という珍しい判例です。
結論としては請求棄却となりました。

<東京地裁平成15年6月25日>

あ 当事者・全体像

ア 加害者=女性A=未婚
イ 被害者=男性B=未婚
ウ 交際期間=約6年
エ 妊娠・出産=なし

い 事案の概要

19歳の大学生同士が交際を始めた
話し合って,将来の結婚をしっかりと約束した
女性の浮気などが原因で口論・不仲になった
その後女性の心が離れていった
男性はますますその女性への依存心が強まっていった
女性はますます不快感を増した(非モテコミット)

<裁判所の判断>

あ 判決(結論)

ゼロ(請求棄却)

い 婚約→認めない

『相互に将来結婚する意思のあること』を確認した上で交際を続けていた
しかし『結婚を将来成立させようとする確実な合意』が客観的に認められない
《婚約認定要素の検討》
婚約指輪の授受→なし
結婚に向けた具体的な話や合意がない
・結婚の具体的な時期
・結納の時期・方法
・仲人の依頼の有無・人選
・挙式の時期・内容
双方の両親を引き合わせたこと→なし

う 不法行為→認めない
え 判断のポイント

未婚同士なので,『自由恋愛』=法的責任は無関係,という原則どおり
ただ,口頭ながら『しっかりした結婚の約束』はあった
そこで,不法行為は成立することが通常ならありえる状況だった
この点『被害者が男性』であることが特殊事情であった
次のように『機会損失』の算定が低くなり→無視できる→責任否定,となった

お 恋愛市場の需給からの機会損失算定
恋愛の機会を奪われた者 恋愛市場における価値 機会損失の算定
若い女性 著しく高い 非常に大きい
若い男性 (平均的に)低い 無視できる傾向

<事案内容|出会い→破局>

あ 出会い・交際開始

平成7年,A・Bがともに19歳のとき知り合い,交際を開始した

い 将来の結婚を約束

平成12年,A・Bは,将来の結婚することを口頭で約束した
結婚する『月日』は,2人の交際開始記念日と同じにすることも決めた

う 遠距離恋愛|Japan-Aus.

平成12年,Aはオーストラリアに留学した
A・Bは遠距離恋愛(交際)を継続した

え オーストラリアで同居予定→撤回→口論

平成13年3月,Aが空き巣の被害に遭った
AはBに『オーストラリアに来て一緒に暮らしてほしい』と懇願した
そこでBは,オーストラリアに転居することを決意し,準備に取り掛かった
この段階で,Aは急遽,オーストラリアの居宅を引き払い,日本に帰国した
Bは振り回されることになったので,Aと口論になった

お 女性が『現地彼氏』を激白

Aは嫌気がさし,『オーストラリアで別の日本人男性Cと同棲していた』ことを明かしてしまった

か 依存心の高まる男性;非モテコミット・スパイラル

Bは怒りながらも,Aへの依存心は解消できくなった
BはAに対し電話・手紙で繰り返し真意を尋ね,翻意を求めた
Aはこのような執拗さに,ますます不快感を増した
Aは携帯電話の番号を変える,などのブロックを施行した
Aは精神的ダメージを受けたとしてBを提訴した

本記事では,婚約内縁などの法的な保護のある状況がない,一般的な男女交際の解消に伴う法的責任(慰謝料)を判断した裁判例を紹介しました。
実際には,個々の事情や婚約や内縁の判断(評価)は,主張・立証によって大きく違ってきます。
実際に男女交際の解消の問題に直面している方は,本記事の内容だけで判断せず,弁護士の法律相談をご利用くださることをお勧めします。