1 子供と親の面会交流の理論
2 裁判所による面会交流に関する処分の法的根拠
3 実体的請求権説
4 手続的請求権説(適正措置請求権説)
5 法的権利性否定説

1 子供と親の面会交流の理論

子供と親の面会交流の実施方法を裁判所が定める手続があります。
詳しくはこちら|子供と親の面会交流の手続(調停・審判のプロセスと禁止する状況)
今では当たり前の手続ですが,実は裁判所が定めることができるかどうかについては,平成12年の最高裁判例で見解が統一されました。
また,面会交流を求めることは権利といえるかどうか,という解釈については確立した統一的見解はありません。
本記事では,このような面会交流の理論面について説明します。

2 裁判所による面会交流に関する処分の法的根拠

民法の条文には,離婚が成立した時の子の監護に関する事項を裁判所が定めるという規定があります。そこで監護に関する処分の1つとして,裁判所が面会交流の実施方法を定めることができます。
一方,離婚が成立していない時については民法上に規定がないのです。
最高裁は,離婚が成立していない時にも監護に関する処分の規定が類推適用されると判断しました。
これで,離婚前の別居の段階でも,裁判所に面会交流の調停や審判を申し立てることができる理論が確立したのです。

<裁判所による面会交流に関する処分の法的根拠>

あ 面会交流に関する処分の可否

婚姻関係が破綻して父母が別居状態にあるケースについて
子と同居していない親と子の面会交流につき父母の間で協議が調わないときor協議をすることができない場合
→家庭裁判所は面会交流について相当な処分を命じることができる
※民法766条類推
※最高裁平成12年5月1日

い 離婚との関係

離婚成立の前と後で特に違う扱いもなされていない
→離婚前(単なる別居中)と離婚後の両方で裁判所に申し立てることができる

3 実体的請求権説

次に,面会交流を求めることの法的性質を説明します。大きく3つの見解があります。
まず,面会交流を求めること実体上の請求権であると考える見解です。請求権であることを認めるわけですが,さらに,誰の請求権なのか,また,この請求権の根拠は何かということについては複数の見解に分かれます。

<実体的請求権説>

あ 見解の内容

実体法上の請求権の一種とする見解
さらに,見解は細かく『い』のように分かれている

い 見解の細かい分類

ア 親子という身分関係から当然に認められる自然的な権利である
イ 監護に関連する権利である
ウ 親として有する固有の自然権であるとともに,具体的には監護に関連する権利である
エ 親権・監護権の一権能である
オ 子の権利である
カ 親の権利(及び義務)であると同時に子の権利である
※『新版注釈民法(22)』有斐閣p138

4 手続的請求権説(適正措置請求権説)

面会交流を,実体法上の請求権ではなく,裁判所に実施方法を定めることを求める権利であるという見解もあります。
平成12年の最高裁は,この見解を示しています。

<手続的請求権説(適正措置請求権説)>

あ 見解の内容

子の監護のために裁判所に適正な措置を求める権利とする見解

い 判例

最高裁はこの見解を採用した
※最高裁平成12年5月1日
※『新版注釈民法(22)』有斐閣p138

5 法的権利性否定説

最後に,面会交流を求めることは権利として認めない見解もあります。
ただしこの見解も,裁判所が面会交流の実施方法を定めることができるということは認めています。

<法的権利性否定説>

あ 見解の内容

正式な権利として認めない見解

い 裁判所による手続との関係

この見解も,面会交流の手続によって面会交流を実現することは認めている
※『新版注釈民法(22)』有斐閣p138

本記事では,子供と親の面会交流の理論について説明しました。
このような理論自体で,直接具体的な事案の結果が決まるということはありません。
しかし,熾烈な対立がある状況では,細かい理論的な主張が,それぞれの当事者の主張の優劣に影響を及ぼすことがあります。状況によっては結果に違いが出てくることもあります。
実際に子供との面会についての問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。