1 宿泊施設についての建築基準法の規制(全体)
2 用途の規制(確認申請の種類)
3 旅館・ホテルへの用途変更の確認申請
4 用途変更の確認申請と他の規制との関係
5 旅館・ホテルの仕様に関する規制(概要)
6 旧耐震基準と宿泊サービスの関係

1 宿泊施設についての建築基準法の規制(全体)

建築基準法では宿泊施設についての規制があります。
規制の全体的な内容を整理します。

<宿泊施設についての建築基準法の規制(全体)>

あ 宿泊施設についての建築基準法の規制

一定の宿泊施設についてはいくつかの規制がある
主な規制は『い・う』である

い 用途地域制限

ゾーニングとも呼ばれる
建築できるエリアが定められている
詳しくはこちら|宿泊サービス×用途地域制限=ゾーニング|特別用途地区・文教地区

う 仕様規制

耐火性能・採光・換気など(※1)

2 用途の規制(確認申請の種類)

建築基準法では『用途』別に規制が定められています。
実際に用途と規制への適合性をチェックする手続があります。

<用途の規制(確認申請の種類)>

あ 通常の建築確認(※2)

建築の前に確認申請をする
→行政が審査する
詳しくはこちら|建築確認|審査内容=建築基準法等の適合性|審査の流れ|建設主事・特定行政庁

い 用途変更

用途を変更する時に確認申請をする
→行政が審査する

3 旅館・ホテルへの用途変更の確認申請

既存の建物を利用して宿泊サービスを始めるケースが増えています。
この場合に『用途変更』の確認申請が必要となることがあります。

<旅館・ホテルへの用途変更の確認申請>

あ 用途変更の確認申請

一定の条件に該当すると『用途変更の確認申請』が必要となる
手続の方式は一般の建築確認申請(上記※2)と同じである

い 確認申請が必要な事情

次のいずれにも該当する場合
ア 『特殊建築物』の『用途』に変更する
『特殊建築物』には『旅館・ホテル』が含まれる
イ 変更対象の面積が100平方メートルを超える
※建築基準法87条,6条1項1号,2条2項,別表第1

う 過去の検査済証

過去の建築確認の『確認済証・検査済証』が要求される
これらを取得していない場合
→用途変更の確認がなされない

え 審査後の確認済証交付

建築主事が法律の規定に適合しているかどうかを審査・確認する
→用途変更についての『確認済証』が交付される

4 用途変更の確認申請と他の規制との関係

用途変更の確認申請は,規模が小さい場合は不要です(前記)。
ところで,用途変更の確認申請と『他の規制の適用』は別です。

<用途変更の確認申請と他の規制との関係>

あ 基本的事項

『ア〜ウ』はそれぞれ別の問題である
ア 用途変更手続
イ 他の建築基準法の規制の適用
ウ 他の法律の適用

い 用途変更と他の規制の関係の具体例

用途変更手続が不要な範囲で宿泊サービスを運用する
→仕様の規制(※1)が適用される
→違反すると罰則・行政的手続の対象となる
例;懲役or罰金や除却命令など
詳しくはこちら|建築基準法の違反(違法建築)への罰則と行政的措置

う 建築基準法と他の法律との関係の具体例

建築基準法の規制に違反している状態の施設について
→これを理由として旅館業営業の許可は拒否されない
詳しくはこちら|旅館業の営業許可基準の基本(全体・構造設備・欠格事由)

5 旅館・ホテルの仕様に関する規制(概要)

建築基準法では建物の仕様に関する規制があります。
宿泊施設に関する主要な仕様の規制についてまとめます。

<旅館・ホテルの仕様に関する規制(概要;※1)>

あ 建物の仕様に関する規制|概要

『旅館・ホテル』は不特定多数の人が利用する
→高い基準が設定されている

い 耐火or準耐火性能

一定のフロア・床面積の場合
→『耐火建築物or準耐火建築物』とする必要がある
※建築基準法6条,27条,28条,35条,35条の3,90条の3,別表第1(二)

う 採光・換気など

具体的用途・建物の形状により規制がある
※建築基準法28条

え 窓先空地(東京都)

簡易宿所について次のような規制がある

宿泊室の床面積の合計 窓先空地
100平方メートル以下 1.5メートル以上
100平方メートルを超える 2メートル以上

※建築基準法40条
※東京都安全条例37条,19条

6 旧耐震基準と宿泊サービスの関係

宿泊サービスに用いようとする建物が旧耐震基準のものであるケースもよくあります。法律的・理論的な面に限っていえば,問題はありません。
とはいっても,現実的な危険性から,補強工事が好ましいというコンディションのものも多いです。

<旧耐震基準と宿泊サービスの関係>

あ 基本的事項

旧耐震基準の建物について
現在の基準(新耐震基準)に適合しない
→違法建築の扱いにはならない
『既存不適格』と呼ぶ
詳しくはこちら|セットバック・敷地後退|既存不適格×再築

い 宿泊サービスとの関係

旧耐震基準の建物について
→用途変更の確認がなされないということはない
これを理由に宿泊サービスの提供を止めることはできない
用途変更が必要・不要に関わらない
安全性についての調査やアドバイスをすることはある
※葛飾区建築指導課ヒアリング平成29年1月