1 賠償金|支払確保措置
2 賠償金|期限付与・分割払い・登記移転
3 賠償金|解除条件付き

1 賠償金|支払確保措置

価格賠償では賠償金の支払が前提となります。
支払能力が要件の1つとなっています。
詳しくはこちら|全面的価格賠償|要件|特段の事情=相当性+実質的公平性
これに関して『支払確保措置』の必要性が指摘されています。
いくつかの解釈論があります。
まずは基本的事項を整理します。

<賠償金|支払確保措置>

あ 基本

取得者の支払能力に関して
支払確保措置を判決の中に含める見解がある
→しかし法的・理論的にはハードルが高い

い 支払確保措置|例

ア 賠償金支払と持分移転登記の引換給付
イ 支払期限を徒過した場合の失効
ウ 担保の提供
例;抵当権の設定
エ 賠償金支払を先履行とする
※『最高裁判所判例解説平成8年度(下)民事篇』財団法人法曹会p892〜894

2 賠償金|期限付与・分割払い・登記移転

裁判例で支払確保措置を判断したものがあります。

<賠償金|期限付与・分割払い・登記移転>

あ 公平性

判決確定により即時に持分が移転する
賠償金支払も即時であることが公平である
この点,支払能力が前提として要件となっている
→配慮済みである

い 期限付与・分割払い→否定

賠償金支払について
→期限付与・分割払いはできない

う 履行確保手段→登記肯定

履行確保の手段を講じることができる
例;移転登記を命じること
※大阪高裁平成11年4月23日

登記移転の給付条項は一般的となっています。
期限付与・分割払いは通常否定されます。

3 賠償金|解除条件付き

賠償金支払に『解除条件を付ける』というアイデアもあります。
実際にこれを採用した裁判例もあります。

<価格賠償金|解除条件付き>

あ 公平性

仮に共有物取得者が賠償金を支払わない場合
→他の共有者の利益が著しく害される
→判決内容として『い』のような条件を付けた

い 解除条件付き判決内容

ア 所有権×賠償金支払
共有物をAの単独所有とする
条件=判決確定日から6か月以内に賠償金を支払うこと
イ 移転登記
単独所有権取得を条件として持分移転登記を命じた
ウ 予備的換価分割
6か月以内に賠償金が支払われない場合
→換価分割とする
※札幌地裁平成11年7月29日

解除条件を付けることはあまり一般的ではありません。
裁判官の判断にぶれが大きいです。
再現可能性はそれほど高くはないと言えます。