1 研究論文の疑義に関する調査報告書;抜粋
2 不服申立に関する審査報告書;抜粋
3 小保方氏コメント
4 若山氏コメント
5 笹井芳樹副センター長コメント;抜粋
6 丹羽仁史プロジェクトリーダーコメント
7 当初のSTAP現象の輝かしい発表;抜粋
8 関連コラム,情報

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1 研究論文の疑義に関する調査報告書;抜粋

<→研究論文の疑義に関する調査報告書
平成26年3月31日
研究論文の疑義に関する調査委員会
(1-2)論文1:Figure 1i の電気泳動像においてレーン 3 が挿入されているよう に見える点。
【※p4;評価(見解)】
当時の小保方氏には、このような行為が禁止されているという認識が十分になかった、また、このようなデータをその真正さを損なうことなく提示する方法についてNature誌が指定していることを認知していなかったともうかがえる点がある。
【↑この部分は不服申立に関する審査報告書(p12)で変更されています。】
研究者を錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈へ誘導することを、直接の目的として行ったものではないとしても、そのような危険性について認識しながらなされた行為であると評価せざるを得ない。T細胞受容体遺伝子再構成バンドを綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断した。
改ざんされた画像は、小保方氏が行った実験データを元に、同氏が作成したものであり、笹井、若山、丹羽の三氏は、この実験及び画像データ作成に関与していない。三氏は、小保方氏から、論文投稿前に、すでに改ざんされた画像をその事実を知らされないまま示されており、この改ざんは容易に見抜くことができるものではなかったことなどから、三氏については、研究不正はなかったと判断される。
【↑この部分のうち笹井氏に関する記述は不服申立に関する審査報告書(p12)で変更されたと思われます。】

(1-5)笹井、小保方両氏から、以下の修正すべき点が見つかったとの申し出を受け、この点についても調査した。論文1:Figure2d,2eにおいて画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点。
【※p7】
評価(見解)
小保方氏が学位論文の画像に酷似するものを論文1に使用したものと判断した。
データの管理が極めてずさんに行われていたことがうかがえ、由来の不確実なデータを科学的な検証と追跡ができない状態のまま投稿論文に使用した可能性もある。しかしながら、この2つの論文では実験条件が異なる。酸処理という極めて汎用性の高い方法を開発したという主張がこの論文1の中核的なメッセージであり、図の作成にあたり、この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたい。また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取った跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。このデータはSTAP細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものであると言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研究不正と判断した。
小保方氏は、客員研究員として若山研在籍時、またその後もチームリーダーとしてテラトーマ作製の実験を行っており、若山氏は、所属する研究室の主宰者として、またこのような実験を指導する立場でともに研究を行っていた者として、これらのデータの正当性、正確性、管理について注意を払うことが求められていた。笹井氏についても、本論文執筆を実質的に指導する立場にあり、データの正当性と正確性を自ら確認することが求められていた。もとより、両氏は、捏造に関与したものではなく、データの正当性等について注意を払わなかったという過失によりこのような捏造を許すこととなったものであるが、置かれた立場からしても、研究不正という事態を招いたことの責任は重大であると考える。丹羽氏は、論文作成の遅い段階でこの研究に参加したものであり、画像データの抽出等には関与しておらず、不正は認められなかった。
なお、上述のとおり、画像の取り違えに関する笹井氏らの当初の説明には、不十分なものがあった。このような行為は委員会の調査に支障をきたす恐れがあり、真摯な対応が求められるところである。

【p9】
3まとめ
2つの点について小保方氏に研究不正行為があったという結論に達した。研究不正は科学の本質を歪め、研究という行為そのものだけでなく研究者コミュニティーに対する一般社会からの信頼を大きく損ねるものである。研究不正が禁止されるのは、研究者間の健全な情報交換による真理の探究を確保し、科学の進歩を推進するためである。小保方氏は、科学的に許容しがたいプロセスによる2枚の異なるゲルのデータの切り貼りや条件が異なる実験データの使用など、到底容認できない行為を重ねて行っている。これは研究者としての未熟さだけに帰することのできるものではない。一方、実験ノートの記述があまりにも不足しているなど、第三者が小保方氏の実験内容を正確に追跡し理解することが困難な状況が明らかとなり、この点も健全な情報交換を阻害していると判断される。このような行為やずさんなデータ管理の背景には、研究者倫理とともに科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如が存在すると判断せざるを得ない。
【※笹井氏,若山氏の評価】
他方、担当研究者(小保方氏)以外の研究者(本件共著者等)が慎重にすべての生データを検証するという、当然発揮することが予定されている研究のチェック機能が果たされていなかったと判断される。確かに、小保方氏以外の調査対象者について、研究不正は認められなかったが、若山、笹井両氏については、シニアの研究者でありながら、上述したとおり、データの正当性と正確性等について自ら確認することなく論文投稿に至っており、そのため、過失とは言え、研究不正という結果を招いたものであって、その立場や経験などからしても、その責任は重大であると考える。
【※チェック機能不全の分析】
なお、研究のチェック機能が果たされなかったことについては、小保方氏が他の機関で行った研究を若山研において客員研究員の身分で継続し、その後、自らがリーダーを勤める研究室において発展させたという研究環境の変遷や、成果とりまとめに近づいた段階に入って笹井氏と丹羽氏というそれぞれ若山氏とは独立した立場のシニア研究者がデータの補強や論文作成のために協力することになったなどの事情もあるのではないかとうかがえる面がある。
【※今後の改善の方向性】
研究所は、所内の異なるグループ間の共同研究における各自の責任の在り方や、共著者の果たすべき役割等も含めて、通常行われるべき研究のチェック機構が、なぜ機能しなかったかについて検証するとともに、研究所における実験ノートなどのデータ管理や、研究の立案から実施、成果の取りまとめと発表に至るまでのプロセスを点検し、このような研究不正の再発を防止するために必要な具体的措置を早急に執るべきである。

2 不服申立に関する審査報告書;抜粋

<→不服申立てに関する審査の結果の報告
【p6;Science査読者からの異ゲル由来のレーンにはライン引くべき,との指摘】
ウなお、審査の過程で、以下の事実が認められた。
(ア)不服申立て者は、2012年4月にNature誌に投稿した2012年論文について、同誌から掲載を拒否された後の同年7月、2012年論文にT細胞受容体再構成を示すための電気泳動写真(SupplementalFigure6)などを加えた上、類似した内容の論文をScience誌に投稿したところ、同誌査読者から、『Moreoverthisfigurehasbeenreconstructed.Itisnormalpracticetoinsertthinwhitelinesbetweenlanestakenfromdifferentgels(lanes3and6aresplicedin).AlsoIfindtheleadingedgeoftheGLbandsuspiciouslysharpin#2-#5.』と指摘されている。ここでいうレーン3は、論文1のFigure1iで見られたレーン3と同一のものと推測することも可能であるが、そうでないとしても、2012年8月の段階で、すでにレーン3の両側に線を加える等して、異なるゲルに由来するレーン3を区別しなければならないことなど真正なデータの提示が求められていたことは認識していたと認めるのが相当である。
不服申立て者は、上記Science誌の査読者のコメントについて、精査しておらずその具体的内容についての認識はない、Science論文は論文1と論旨が異なっていたので検討したことはない、Science論文は今回問題となっている論文1とは関係がなく(論旨自体が異なる)、『再調査を行うか否かの審査』に関係しないと考えられ、リジェクトされた未公開論文であるので提出は控える旨、説明する。
しかしながら、Science論文は、論文1とほぼ同旨であり、特に、2012年論文にはなかったT細胞受容体の再構成バンドを根拠に、Tリンパ球を酸処理することにより多能性を持つ細胞にリプログラム可能であるとする主張が述べられている点において論文1と同じである。また、不服申立て者は、2012年12月の時点で、自らScience論文の改定論文に相当すると思われる論文を準備しており、そのファイル名はrevised-1211とされるところ、その内容がScience論文をもとにしていることは明らかである。加えて、リジェクトされた未公開論文であることにおいて、2012年論文もScience論文も同じであるが、前者については委員会へ提出され、後者については上述のとおり、提出を控えるとしている。申立て者の説明によれば、Science論文はその説明を裏付ける資料となると考えられることからすれば、本来、速やかに提出すべきものであると考えられる。提出しないとすることは、弁明の機会を自ら放棄したものと言わざるを得ない。さらに、revised-1211のファイルについても、委員会が入手していたものと不服申立て者が保有するものとの相違点の確認のため、委員会が保有するものを不服申立て者へ送付した上、不服申立て者の保有するものの提出を求めたが、提出されていない。
以上の事実等からすれば、この改稿にあたり、査読者からのコメントに全く目を通していなかったなどの説明に合理性を認めることはできないところである。
(イ)上記(ア)に記述した指摘を受けた場合、Nature誌に投稿しようとするときには、Nature誌が指定しているゲル等のイメージの取扱い規定を確認して、その規定に従って、異なるゲルに由来するレーン1、2ならびにレーン4、5とレーン3を区別するなどの措置を執ることが求められる。しかるに、不服申立て者は、指摘された後のわずか7ヵ月後の2013年3月に、Nature誌のイメージの取扱い等に関する規定を確認しないまま、本件データについて、論文1のFigure1iとしてNature誌に投稿している。論文1の投稿時にNature誌の規定を知らなかったとしても、悪意があったことは明らかである。
【p12;発覚後の隠蔽意図
ア学位論文の画像データを使ったことを自ら発見し報告していることについて笹井氏は、2月20日、不服申立て者も同席したヒアリングにおいて、本件画像データは、骨髄由来細胞と脾臓由来細胞による各実験の単なる取り違えである旨、説明した。
両氏は連名で、同日及び3月1日付けの書面において、いずれも、脾臓由来ではなく骨髄由来の細胞を使ったことはミスである旨、述べていたが、実験条件に違いがあることは全く述べていなかった。その後の調査により、本件画像データが、学位論文に由来するものであって、機械的ストレスによる実験で得られたものであることなどが判明した
不服申立て者が、実験条件が異なるデータを使用したことについて初めて説明したのは、3月23日のヒアリング時であった。それまでの間の3月19日、不服申立て者は、委員に対して対面での説明をしている。
この説明は、資料等の確認のため、発生・再生科学総合研究センター(CDB)を訪れた委員に対して、同氏から学位論文について説明したいとの申出があったことにより行われたものである。
同氏は、冒頭に学位論文に関して説明をしている。
しかし、専ら、今回の画像データの取り違えに関する学位論文の審査者とのやり取りや学位論文の今後の取扱いに関する大学関係者とのやり取りに関するものにとどまり、実験条件が異なる画像データが使用された経緯に関する説明はなかった(なお、委員会では、同月23日に予定していたヒアリングでデータの取り違えの経緯について説明を求めることとしていたため、19日には、この点について説明を求めていない。)。
不服申立て者は、笹井氏から、学位論文の画像データを使用した経緯について委員会に対して説明するように言われていた。
これらの状況は、2月20日の説明等に付加して異なる実験条件下で得られた学位論文の画像データを使用したことについて自ら話すつもりがなかったことを示すものである。
この当時、インターネット上等で論文1について疑義があるとの指摘がなされており、早晩、画像データの取り違えについても指摘がなされるであろうことは十分予想されたところである(現に、その後、インターネット上等で指摘がなされている。)。
指摘がなされる前に報告をしたことは認められるとしても、不服申立て者は、異なる実験条件下で得られたデータであることを知りながら、もしくは、その可能性があることを認識していたのにこれを明らかにせず、これを単なる取り違えであると説明していたと言わざるを得ない。
【p20;Science論文提出要請】
エ4月27日、委員会は、代理人に対し、不服申立て者からヒアリングの申出があれば行う用意がある、その場合、4月28日または29日となる、ヒアリングを行う場合には質問をしたい点があるので、関係の資料を送付する旨を伝えた上、Cell投稿論文、Science論文及びScienceからの通知(エディター・査読者のコメントを含む。)等を送付し、その確認及びその提出を求めた。質問に係る箇所も特定していた。
これに対し、同日、不服申立て者から、・文書や質問事項の特定がなければ、ヒアリングに応じることはできない・ヒアリングは、不服申立て者の体調からして1週間程度の猶予が必要である・委員会が必要であるとするのであれば、不服申立て者の体調について、医師の診断
書を提出する旨の回答があった。
【p20;Science論文提出拒否】
カ5月1日に、不服申立て者から、エ記載の文書中、Scienceからの通知(エディター・査読者のコメントを含む。)に対する説明文書が送付され、Science誌への投稿論文の提出は控えるとの回答があった。その詳細は、前述したとおりである。不服申立て者の説明によれば、当該論文はその説明を裏付ける資料となると考えられることからすれば、速やかに提出すべきものであると考えられる。不服申立て者は弁明の機会を自ら放棄したものであると解される。
キ5月4日、不服申立て者から、補充書(2)が提出された。補充書(2)では、代理人が不服申立て者から聞き取った結果をもとにしたと考えられる主張(約4ページ)がなされている。2011年3月から2013年4月までの間における、不服申立て者の所属、Oct4+細胞、テラトーマ、論文の考え方、画像等に関して月毎に記載した時系列表も作成されているほか、不服申立て者の陳述書(5ページ弱)等が付属書類として含まれていた(検討結果は、前述したとおりである。)。
クその他、ヒアリングの要請、実験ノートやエ記載の残余の資料の確認・提出、法律専門家の意見の提出について、いずれもなされておらず、診断書の提出もない。

3 小保方氏コメント

<→小保方晴子研究ユニットリーダーコメント
平成26年4月1日
『調査報告書に対するコメント』
調査委員会の調査報告書(3月31日付け)を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱ いです。特に,研究不正と認定された2点については,理化学研究所の規程で『研究不正』の対 象外となる『悪意のない間違い』であるにもかかわらず,改ざん,ねつ造と決めつけられたこと は,とても承服できません。近日中に,理化学研究所に不服申立をします。
このままでは,あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず,到底容認 できません。
(1-2) レーン3の挿入について
Figure1i から得られる結果は,元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わ りません。そもそも,改ざんをするメリットは何もなく,改ざんの意図を持って,Figure1i を 作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えから Figure1i を掲 載したにすぎません。
(1-5) 画像取り違えについて 私は,論文1に掲載した画像が,酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲
載したもので,単純なミスであり,不正の目的も悪意もありませんでした。 真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって,画像
データをねつ造する必要はありません。 そもそも,この画像取り違えについては,外部から一切指摘のない時点で,私が自ら点検する
中でミスを発見し,ネイチャーと調査委員会に報告したものです。
なお,上記2点を含め,論文中の不適切な記載と画像については,すでにすべて訂正を行い, 平成26年3月9日,執筆者全員から,ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。
以上

4 若山氏コメント

<→若山照彦山梨大学教授コメント/理研客員主管研究員コメント
平成26年4月1日
研究論文の疑義に関する調査報告書について
本日、理化学研究所が発表した調査報告書に対し、私は当時の研究室の主宰
者として、データの正当性、正確性を見抜けなかったことに自責の念を覚えて
おります。
今回の調査報告書の内容を真摯に受け止め、今後このようなことが起こらな いよう徹底したデータの正当性、正確性の管理に努めます。

5 笹井芳樹副センター長コメント;抜粋

<→笹井芳樹副センター長コメント
平成26年4月1日
私は、これらの論文においては、既に作成された図表データを元に、文章を書き上げ る面で他の共著者に教授・助言をする役割を主に担っており、今回問題となりました図表 データの過誤は論文発表前に全く認識せずにおりました。このことには忸怩たる思いでご ざいますが、これらは自らの研究室以外で既に実験され、まとめられていた図表データで あり、他の実験結果との整合性が高いものであったため、画像の取り違えやデータの処理 上の不適切な過程について気付き、それを事前に正すことには限界がありました。そのた め、報告書では、私個人の関与については研究不正を認められないとのご判断を受けまし た。

6 丹羽仁史プロジェクトリーダーコメント

<→丹羽仁史プロジェクトリーダーコメント
平成26年4月1日
STAP 現象に関する私共の論文の不備について調査委員会よりご指摘を頂い ていることを真摯に受け止め、そのような事態に至ったことついて心よりお詫 び申し上げます。
STAP 現象につきましては、今後、理研において予断なく検証実験を進めて参 ります。また、多方面の研究者の皆様との議論を深め、その再現に資する実験 手法の知見等も発信して参りますので、研究者コミュニティーにおかれまして は、STAP 現象の科学的な検証に何卒ご理解とご協力の程をお願い申し上げます。
2014年4月1日 独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター

7 当初のSTAP現象の輝かしい発表;抜粋

<→体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見
2014年1月29日
独立行政法人理化学研究所
体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見
-細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導-
今後の期待
今回の研究で、細胞外からの刺激だけで体細胞を未分化な細胞へと初期化させるSTAPを発見しました(図8)。
これは、これまでの細胞分化や動物発生に関する常識を覆すものです。
STAP現象の発見は、細胞の分化制御に関する全く新しい原理の存在を明らかにするものであり、幅広い生物学・医学において、細胞分化の概念を大きく変革させることが考えられます。
分化した体細胞は、これまで、運命付けされた分化状態が固定され、初期化することは自然には起き得ないと考えられてきました。
しかし、STAPの発見は、体細胞の中に『分化した動物の体細胞にも、運命付けされた分化状態の記憶を消去して多能性や胎盤形成能を有する未分化状態に回帰させるメカニズムが存在すること』、また『外部刺激による強い細胞ストレス下でそのスイッチが入ること』を明らかにし、細胞の初期化に関する新しい概念を生み出しました。

また、今回の研究成果は、多様な幹細胞技術の開発に繋がることが期待されます。
それは単に遺伝子導入なしに多能性幹細胞が作成できるということに留まりません。
STAPは全く新しい原理に基づくものであり、例えば、iPS細胞の樹立とは違い、STAPによる初期化は非常に迅速に起こります。
iPS細胞では多能性細胞のコロニーの形成に2~3週間を要しますが、STAPの場合2日以内にOct4が発現し、3日目には複数の多能性マーカーが発現していることが確認されています。
また、効率も非常に高く、生存細胞の3分の1~2分の1程度がSTAP細胞に変化しています。

一方で、こうした効率の高さは、STAP細胞技術の一面を表しているにすぎません。
共同研究グループは、STAPという新原理のさらなる解明を通して、これまでに存在しなかった画期的な細胞の操作技術の開発を目指します。
それは、『細胞の分化状態の記憶を自在に消去したり、書き換えたりする』ことを可能にする次世代の細胞操作技術であり、再生医学以外にも老化やがん、免疫などの幅広い研究に画期的な方法論を提供します(図8)。
さらに、今回の発見で明らかになった体細胞自身の持つ内在的な初期化メカニズムの存在は、試験管内のみならず、生体内でも細胞の若返りや分化の初期化などの転換ができる可能性をも示唆します。
理研の研究グループでは、STAP細胞技術のヒト細胞への適用を検討するとともに、STAPによる初期化メカニズムの原理解明を目指し、強力に研究を推進していきます。

8 関連コラム,情報

<→別コラム;STAP現象疑惑のフローと今後の展開のまとめ
<→別コラム;『悪意』『捏造』『改ざん』の合目的的解釈(STAP論文問題)
<→別項目;研究不正→実験者,共著者の懲戒解雇の有効性
<→別項目;研究不正における共著者の責任割合→相互の損害賠償請求
<→別項目;理系弁護士が理研vs小保方さんの対立を超簡単に(STAP論争)
<→理系弁護士による『悪意』の説明(STAP論争);私の異議!
↑※ちょっと分析が深い≒難解,です。
<→別項目;博士号等の認定における論文内容の判断は司法審査の対象外とされる
<→別項目;専門的職種は有期労働契約の上限が『5年』と長めになる
<→別項目;食用,実験用の動物の扱いは環境省で基準が定められている
↑※『実験の信頼性』とは別の観点から『1番大きいマウス』表記は法の個体識別要請に反します。