1 保全命令×担保金|基本
2 保全命令×担保金|算定
3 仮差押における担保金額の基準・相場
4 離婚に関する仮差押|担保金=ゼロ|具体例
5 面会強要禁止の仮処分|担保金=ゼロ|具体例

1 保全命令×担保金|基本

保全命令の際には通常『担保金』が要求されます。
まずは基本的事項をまとめます。

<保全命令×担保金|基本>

あ 基本的事項

保全命令の際に裁判所が『担保金額』を決定する

い 例外=担保なし

『担保金なし』と決定することもできる(後述)
※民事保全法14条1項

2 保全命令×担保金|算定

保全命令の際の担保金算定方法についてまとめます。

<保全命令×担保金|算定>

あ 基本的事項

申立の類型・種類と個別的事情により算定する

い 申立の類型・種類

申立の種類によって一定の相場がある(後記)

う 個別的事情

ア 疎明程度
証拠の証明力の高さ
イ 申立人の資力
ウ 相手方の不合理性
オ 保全されない場合の不利益の程度

3 仮差押における担保金額の基準・相場

仮差押における担保金額の相場をまとめます。
あくまでも,事案の種類ごとの平均的な相場です。
実際には,この表の類型以外の個別的事情も考慮されます。
そのため,この『相場』を外れることもあります。

<仮差押における担保金額の基準・相場>

目的物→
被保全債権
 ↓
動産 不動産 債権 自動車
預金給料 敷金・
保証金
預託金
供託金
その他 登録 取上げ 併用
手形金・小切手金 10〜25 10〜20 10〜25 10〜20 10〜25 10〜20 15〜25 20〜30
貸金・賃料
売買代金
その他
10〜30 10〜25 10〜30 10〜25 10〜30 15〜25 25〜30 30〜40
交通事故損害賠償 5〜20 5〜15 10〜25 5〜15 5〜20 5〜15 10〜20 15〜25
その他の損害賠償 20〜30 15〜30 25〜35 15〜30 20〜30 15〜25 20〜30 25〜35
詐害行為取消権 20〜30 15〜35 20〜40 15〜35
財産分与 10〜15 5〜15 10〜15 10〜15
離婚に伴う慰謝料 10〜20 5〜20 10〜20 10〜20

※単位; 担保額 / 目的物の価格 × 100(%)
※大阪弁護士協同組合出版委員会『平成24年版訟廷日誌』全国弁護士協同組合連合会

4 離婚に関する仮差押|担保金=ゼロ|具体例

保全における担保金はゼロと決められることもあります(前述)。
典型的なケースとして離婚に関する仮差押について紹介します。
離婚の財産分与請求権を被保全債権とする仮差押というケースです。

<離婚に関する仮差押|担保金=ゼロ|具体例>

あ 申立人の資力

申立人は専業主婦→収入がない
申立人は他に預貯金などの資産がない

い 相手方の不合理性

マイホーム購入資金は夫婦生活中の夫の給与収入
→実質的に共有(夫婦共有財産)であることが明らか
→夫は形式的に所有名義であるという理由だけで売却できてしまう
→この状態は不公平

う 保全の必要性(が特に高い)

申立人はマイホーム以外に身を寄せる場所がない

5 面会強要禁止の仮処分|担保金=ゼロ|具体例

面会強要禁止の仮処分も『担保金ゼロ』が発動することが多い類型です。

<面会強要禁止の仮処分|担保金=ゼロ|具体例>

あ 保全命令による影響

債務者が『面会できなくなる』ことの不利益は小さい
債務者の態度が悪質である場合に発令される

い 担保金の判断|傾向

債務者に損害が生じる可能性・程度は低い
→『担保金なし』で発令されることが比較的多い