賃貸住宅管理業の登録義務|200戸以上は登録が必要・無登録営業は罰則

1 賃貸住宅管理業の登録義務|200戸以上は登録が必要・無登録営業は罰則

賃貸住宅のオーナーから委託を受けて、建物の点検や修繕を手配し、家賃や敷金を預かって管理する——こうした事業は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が設けた登録制度の対象です。対象になる事業者は、国土交通大臣の登録を受けて営むことになります。

もっとも、管理を受託していれば必ず登録が要るわけではありません。どういう業務の組み合わせが対象になるのか、どの規模から義務になるのかは、同法と国土交通省令が決めています。

本記事では、登録が義務になる範囲(対象の事業・賃貸住宅の範囲・規模の線)と、登録の有効期間・手続・費用、登録が拒否される場合、そして登録を受けないで営んだときの扱いを説明します。

登録を受けた事業者が負う業務上の義務、違反したときの監督と罰則、そしてサブリースの規制は、それぞれ別の記事で説明しています。

賃貸住宅管理業者の業務上の義務|業務管理者・書面交付・分別管理・定期報告

賃貸住宅管理業者に対する監督と罰則|業務改善命令・登録の取消し・業務停止

サブリースの規制|特定転貸事業者の誇大広告・不当勧誘の禁止と書面交付

2 結論——200戸以上の管理受託は登録が義務・無登録営業は刑罰

本記事の結論を先にまとめます。いずれの行も、後述の各節で条文を挙げて説明します。

登録が義務になる範囲と、登録を受けないで営んだときの扱い

(ア)賃貸住宅管理業=賃貸人から委託を受けて、賃貸住宅の維持保全を行う業務、またはこれと併せて家賃・敷金等の金銭管理を行う業務を行う事業(法2条2項)(イ)維持保全を伴わない金銭管理だけの受託は賃貸住宅管理業に当たらない=2号は1号と併せて行うものに限られる(法2条2項2号)(ウ)旅館業法の許可施設・国家戦略特別区域法の認定施設・住宅宿泊事業の用に供されている住宅は「賃貸住宅」から外れる(法2条1項ただし書・規則1条)(エ)登録は義務。ただし管理する賃貸住宅の戸数が200戸未満なら登録は要らない(法3条1項・規則3条)(オ)登録制度が施行されたのは令和3年6月15日(規則附則1条)(カ)登録の有効期間は5年。更新申請は有効期間満了日の90日前から30日前までに行う(法3条2項・規則4条)(キ)費用=新規登録は登録免許税9万円、更新は手数料18,700円(電子申請は18,000円)(登録免許税法別表第一第百五十一号の二・施行令1条)(ク)登録の拒否事由は11号あり、財産的基礎を欠く者と、業務管理者を確実に選任すると認められない者が含まれる(法6条1項10号・11号)(ケ)登録を受けないで営むと1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。併科されることもある(法41条1号)(コ)国及び地方公共団体には適用しない(法37条)

3 登録が義務になる範囲=対象の事業・賃貸住宅の範囲・戸数の3つ

登録が義務になるかどうかは、3つを順に当てはめて決まります。受託している業務の組み合わせ、管理している建物が「賃貸住宅」に当たるか、そして戸数です。以下、この順に条文を見ていきます。

(1)賃貸住宅管理業=維持保全と、これと併せて行う金銭管理(法2条2項)

まず、どういう事業が登録制度の対象になるのかを条文で確かめます。法2条2項は、賃貸住宅管理業を、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて次の業務を行う事業と定めています。

1号が維持保全です。住宅の居室とその他の部分について、点検・清掃その他の維持を行い、必要な修繕を行う業務で、賃貸人のために維持保全に係る契約の締結の媒介・取次ぎ・代理を行う業務も含まれます。

2号が家賃・敷金・共益費その他の金銭の管理です。ただし括弧の中で「前号に掲げる業務と併せて行うものに限る」と絞られています。したがって、金銭の管理だけを受託していても賃貸住宅管理業にはなりません。逆に、維持保全だけを受託していれば1号で対象になります。

「委託を受けて」という要件も効きます。自ら貸主となって第三者に転貸する事業は委託を受けたものではないので、この定義には入りません。そちらは同法の別の章が規制しており、別の記事で説明しています。

サブリースの規制|特定転貸事業者の誇大広告・不当勧誘の禁止と書面交付

法2条2項=維持保全と、これと併せて行う金銭管理が「管理業務」

この法律において「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、次に掲げる業務(以下「管理業務」という。)を行う事業をいう。
一 当該委託に係る賃貸住宅の維持保全(住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うことをいう。以下同じ。)を行う業務(賃貸住宅の賃貸人のために当該維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を含む。)
二 当該賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務(前号に掲げる業務と併せて行うものに限る。)

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律2条2項

(2)「賃貸住宅」から外れる住宅(法2条1項・規則1条)=旅館業・民泊の用途

対象になるのは「賃貸住宅」の管理です。法2条1項は賃貸住宅を「賃貸の用に供する住宅」と定め、ただし書で人の生活の本拠として使用する目的以外の目的に供されていると認められるものを除いています。

その除外を具体化しているのが規則1条で、3つが挙げられています。旅館業法3条1項の許可に係る施設である住宅、国家戦略特別区域法13条1項の認定に係る施設で認定事業の用に供されているもの、住宅宿泊事業法3条1項の届出に係る住宅で住宅宿泊事業の用に供されているものです。

いずれも建物としては住宅でも、宿泊のために使われているものです。これらの管理を受託しても、賃貸住宅管理業の登録の対象にはなりません。

法2条1項=賃貸の用に供する住宅。生活の本拠以外の用途は省令で除外

この法律において「賃貸住宅」とは、賃貸の用に供する住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう。次項第一号において同じ。)をいう。ただし、人の生活の本拠として使用する目的以外の目的に供されていると認められるものとして国土交通省令で定めるものを除く。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律2条1項

規則1条=旅館業の許可施設・特区の認定施設・住宅宿泊事業の用途は除外

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年法律第六十号。以下「法」という。)第二条第一項の人の生活の本拠として使用する目的以外の目的に供されていると認められる住宅として国土交通省令で定めるものは、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条第一項の規定による許可に係る施設である住宅
二 国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第十三条第一項の規定による認定に係る施設である住宅のうち、認定事業(同条第五項に規定する認定事業をいう。)の用に供されているもの
三 住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)第三条第一項の規定による届出に係る住宅のうち、住宅宿泊事業(同法第二条第三項に規定する住宅宿泊事業をいう。)の用に供されているもの

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則1条

(3)登録義務と規模の除外(法3条1項・規則3条)→200戸未満は登録不要

法3条1項は、賃貸住宅管理業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならないと定めます。許可ではなく登録ですが、受けなければ営めないという意味では参入の規制です。

ただし書が規模による除外を置いており、事業の規模が「当該事業に係る賃貸住宅の戸数その他の事項を勘案して国土交通省令で定める規模未満であるとき」は登録が要りません。その規模を定めているのが規則3条で、賃貸住宅管理業に係る賃貸住宅の戸数が200戸であるとされています。

つまり、管理する賃貸住宅が200戸未満であれば登録を受けずに営めますが、200戸以上になれば登録が義務になります。除外されている間も、登録をして賃貸住宅管理業者になることはできます。

法3条1項=登録を受けなければならない。規模が省令の基準未満なら不要

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。ただし、その事業の規模が、当該事業に係る賃貸住宅の戸数その他の事項を勘案して国土交通省令で定める規模未満であるときは、この限りでない。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律3条1項

規則3条=その規模は賃貸住宅の戸数が200戸であること

法第三条第一項の国土交通省令で定める規模は、賃貸住宅管理業に係る賃貸住宅の戸数が二百戸であることとする。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則3条

4 登録制度が始まったのは令和3年6月15日

同法の施行日は一律ではありません。法附則1条は本体の施行日を政令に委ね、そのうえで2号で第1章・第3章・第4章などを先に施行すると定めています。登録制度を置いているのは第2章なので、本体の施行日が登録義務の起点になります。

その日付は、同法の施行の日に合わせて施行された規則の附則が示しています。令和3年6月15日です。

規則附則1条=同法の施行の日は令和3年6月15日

この省令は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(次条において「法」という。)の施行の日(令和三年六月十五日)から施行する。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則附則(令和三年国土交通省令第三十四号)1条

5 登録の有効期間と更新の手続・登録にかかる費用

登録は受けたままになるものではなく、期間が切れれば失効します。ここでは有効期間と更新の手続、そして新規と更新でそれぞれいくらかかるのかを見ます。

(1)登録の有効期間5年・更新申請は満了の90日前から30日前まで

登録は一度受ければ続くものではありません。法3条2項は、登録は5年ごとにその更新を受けなければ期間の経過によって効力を失うと定めています。

更新申請の時期は規則4条が定めており、現に受けている登録の有効期間の満了日の90日前から30日前までの間に申請書を提出することになります。

申請したのに満了日までに処分がされないこともあります。その場合は従前の登録が処分がされるまで効力を持ち続け、更新されたときの有効期間は従前の満了日の翌日から起算されます(法3条3項・4項)。手続が遅れたことで業務が止まらないようにする定めです。

法3条2項=5年ごとに更新を受けなければ効力を失う

前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律3条2項

規則4条=更新申請は有効期間満了日の90日前から30日前まで

法第三条第二項の登録の更新を受けようとする者は、その者が現に受けている登録の有効期間の満了の日の九十日前から三十日前までの間に法第四条第一項の申請書(以下「登録申請書」という。)を国土交通大臣に提出しなければならない。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則4条

(2)登録の費用=新規は登録免許税9万円・更新手数料は18,700円

登録には費用がかかります。新規の登録は登録免許税の課税対象で、登録免許税法の別表第一が賃貸住宅管理業者の登録を挙げ、登録件数一件につき9万円としています。更新の登録は除かれています。

更新については、法3条5項が実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めるものとしており、施行令1条がその額を18,700円と定めています。電子情報処理組織を使用して申請する場合は18,000円です。

登録免許税法別表第一=賃貸住宅管理業者の新規登録は一件につき9万円

百五十一の二 賃貸住宅管理業者の登録
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年法律第六十号)第三条第一項(登録)の賃貸住宅管理業者の登録(更新の登録を除く。) 登録件数 一件につき九万円

※登録免許税法別表第一第百五十一号の二

施行令1条=更新の手数料は18,700円・電子申請は18,000円

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下「法」という。)第三条第五項の政令で定める額は、一万八千七百円(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して法第三条第二項の登録の更新の申請をする場合にあっては、一万八千円)とする。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令1条

6 登録の拒否事由は11号(法6条1項)=財産的基礎と業務管理者の選任見込み

申請すれば必ず登録されるわけではありません。法6条1項は、申請者が各号のいずれかに該当するとき、または申請書や添付書類に重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録を拒否しなければならないと定めています。裁量ではなく義務的な拒否です。

各号には、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、登録を取り消されて5年を経過しない者、拘禁刑以上の刑や同法の規定による罰金の刑に処せられて5年を経過しない者、暴力団員などが並びます。

実務で効きやすいのは最後の2つです。10号は賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる省令の基準に適合する財産的基礎を有しない者を、11号は営業所または事務所ごとに業務管理者を確実に選任すると認められない者を拒否事由にしています。人と財産の裏づけがないままでは登録されない仕組みです。

法6条1項=各号に該当すれば登録を拒否しなければならない

国土交通大臣は、第三条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は第四条第一項の申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 心身の故障により賃貸住宅管理業を的確に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 第二十三条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合にあっては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
四 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第九号において「暴力団員等」という。)
六 賃貸住宅管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として国土交通省令で定めるもの
七 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの
八 法人であって、その役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
九 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十 賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
十一 営業所又は事務所ごとに第十二条の規定による業務管理者を確実に選任すると認められない者

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律6条1項

7 無登録営業→1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法41条1号)

登録を受けないで賃貸住宅管理業を営んだ場合、法41条1号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられ、併科されることもあります。同条は不正の手段による登録と名義貸しも同じ重さで並べており、同法の罰則のなかで最も重い段です。

規模による除外に当たる事業者には登録義務がないので、この罰則も当たりません。戸数が200戸以上になった時点で登録が必要になることを踏まえておく必要があります。

法41条=無登録営業・不正登録・名義貸しは1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して、賃貸住宅管理業を営んだとき。
二 不正の手段により第三条第一項の登録を受けたとき。
三 第十一条の規定に違反して、他人に賃貸住宅管理業を営ませたとき。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律41条

8 国と地方公共団体には適用がない(法37条)

法37条は、同法の規定は国及び地方公共団体には適用しないと定めています。公営住宅の管理を国や地方公共団体が自ら行う場合には、登録制度も業務上の義務も当たりません。国や地方公共団体から委託を受けた民間の事業者が自分の事業として管理を行う場合は、その事業者について同法が当たります。

法37条=国及び地方公共団体には適用しない

この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。

※賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律37条

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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