【『旅館業』の定義・解釈|全体|3つのカテゴリ・共通部分】

1 『旅館業』の定義|共通事項

本記事では『旅館業』に該当するかどうかの判断基準について説明します。
『旅館業』の基本的な法規制については別に説明しています。

旅館業法の規制|基本・参入規制=許可制

まずは『旅館業』の定義のうち基本的な部分をまとめます。

『旅館業』の定義|共通事項

あ 共通事項

宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

い 3つのカテゴリ

営業の形態によって3つの種類に分けられている(※1)

2 旅館業は3つに分かれる——ホテル営業と旅館営業は平成30年に統合された

『旅館業』の定義のうち『カテゴリ別』の事項についてまとめます。

この記事は以前、旅館業を「ホテル営業・旅館営業・簡易宿所営業・下宿営業」の4つに分けて説明していました。ホテル営業は洋式の構造設備を主とするもの、旅館営業は和式のもの、という区分です。この2つは旅館業法の改正(平成29年法律第84号・2018年6月15日施行)で「旅館・ホテル営業」へ統合され、洋式か和式かという区分は条文から消えました。いまの旅館業は3つです。

このうち『簡易宿所営業』については厚生労働省が具体例を示しています。
また、『下宿』営業については一般用語との違いに注意が必要です。
これらについては別に説明しています。

簡易宿所|多数人共用|基本|相部屋・個室比率|半分を超える

下宿営業|定義・解釈|一般用語との違い

『旅館業』の定義|3つのカテゴリ(上記※1)

あ 旅館・ホテル営業

『簡易宿所営業』『下宿営業』以外のもの

い 簡易宿所営業

施設=宿泊場所を『多数人で共用』する構造・設備を主とする
『下宿営業』以外のもの

う 下宿営業

1か月以上の期間を単位とする

条文

旅館業の定義と、3つの営業

この法律で「旅館業」とは、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいう。

※旅館業法2条1項

この法律で「旅館・ホテル営業」とは、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。

※旅館業法2条2項

この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。

※旅館業法2条3項

この法律で「下宿営業」とは、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。

※旅館業法2条4項

3 『旅館業』の定義|共通部分・分解

『旅館業』の定義のうち共通部分は解釈がちょっと複雑です。
要件を分解して整理します。

『旅館業』の定義|共通部分・分解

あ 『旅館業』の定義|共通部分

宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業

い 要件の分解

ア 有料(※2)イ 人の『宿泊』(※3)ウ 『営業』→反復継続の意思など(※4)

分解した要件については次に説明します。

4 有料×解釈論|基本

『有料』の解釈はこれだけでも単純ではありません。
概要をまとめます。

有料×解釈論|基本

あ 有料|辞書的解釈

サービス利用の対価が金銭で支払われること
→『対価性』があるということ

い 有料×解釈論|概要

具体的な方式によっては『対価性』が曖昧となることもある(※5)
→明確・公的な判断基準はない

う 別の法律の解釈論×国土交通省通達

道路運送法の同様の解釈についての通達がある

道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達

5 有料×広告モデル

『有料』の判断が曖昧なサービスモデルはいろいろとあります。
ここでは代表的な『広告モデル』をまとめます。

有料×広告モデル(上記※5)

あ 宿泊客の金銭負担

宿泊客が直接ホストに支払う料金はゼロ

い 代わりの条件

宿泊客が広告の閲覧やメールアドレス・LINEの登録(友達追加)などをする

う 対価の流れ

広告主が広告料をホストに支払う
オンライン上で普及している『アフィリエイト』と似ている仕組みです。
この『広告モデル』であれば、宿泊客が支払う金銭はゼロです。
一方でホストは『金銭』を受け取ります。
これが『有料』に該当するかどうかは、明確・公的な見解がありません。
これは他の『有料(有償)業務を規制する業法』で共通する未解決問題です。

6 『人を宿泊させる営業』×解釈論

定義の中で『人を宿泊させる営業』という要件があります(上記※3)。
いわゆる『宿泊サービス』の定義です。
一般的な『賃貸借』などの『場所を貸すサービス』と区切る基準となります。
これについては別に説明しています。

『旅館業』の定義・解釈|人を宿泊させる営業|基本

7 『営業』『反復継続』×解釈論

定義の中で『営業』『反復継続』という要件があります(上記※4)。
実際には、境界に曖昧なところがあります。
最近の通達も含めて断片的な解釈論がいろいろとあります。
これについては別に説明しています。

旅館業の定義|『営業』解釈論

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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