1 時効完成+援用→債務が消滅する|不確定効果説
2 消滅時効の起算点は『請求できる時』
3 債権の種類によっては『短期消滅時効』が適用される
4 『貸金』の消滅時効期間は2種類ある
5 消滅時効期間を延長する合意は無効
6 消滅時効は時効中断によりカウンターリセットとなる
7 判決等により『消滅時効期間』が10年に延長する
8 『準消費貸借』により,時効期間の『延長』が可能
9 債務者の破産により,保証人への請求権の消滅時効に影響が及ぶ

1 時効完成+援用→債務が消滅する|不確定効果説

『消滅時効』によって,債務が消滅します。
ここで『債務が消滅する』という法律的なプロセスはちょっと複雑です。

<消滅時効による債務消滅|効果発生プロセス>

あ 債務が消滅する条件

時効完成+援用→遡及的に債務が消滅する

い 時効完成

一定の期間が経過すること

う 援用

消滅時効を利用する趣旨の意思表示(通知)
※民法144条,145条

要するに,一定の期間が経過して,さらに『援用の通知』がなされて初めて『債務消滅』という結果が生じます。
法律的な性質についていろいろな見解があります。
『不確定効果説』が通説とされています。
いずれにしても,以上の結論(内容)に違いはありません。

実際には『時効完成』のルールが複雑です。
これを中心に説明を続けます。

2 消滅時効の起算点は『請求できる時』

(1)消滅時効の起算点

消滅時効は,一定の時間経過によって権利が消滅する制度です。
債権回収の場合には,消滅時効完成を防ぐような債権管理が重要になります。
時効期間については,次に説明します(後記『3』)。
まずは『起算点』について説明します。
時効期間を算定するスタート時点のことです。

賃金の消滅時効起算点>

請求できる時(日)
※民法166条1項

(2)救済的な解釈による消滅時効の起算点

消滅時効について,救済的な方向の解釈は少なくありません。
典型の1つとして,いわゆる過払金請求の消滅時効の起算点,が挙げられます。

<継続的取引|消滅時効の起算点>

あ 消滅時効の起算点

『継続的取引の終了時』

い 理由

借り入れ,返済の繰り返しを,一体とした『継続的取引』と考える
※民法167条,703条,704条
※最高裁平成21年3月3日
※最高裁平成21年3月6日
※最高裁平成21年7月17日

つまり,極力債権(過払金)が消滅しないという方向性の解釈がなされた,ということです。

<過払金に関する消滅時効の起算点>

継続的取引の終了時
→通常は最終取引の日,です。

3 債権の種類によっては『短期消滅時効』が適用される

消滅時効には多くの種類があります。
さまざまな消滅時効についてまとめます。
なお,貸金というカテゴリはされにその態様によって扱いが異なります(後記『4』)。

<消滅時効の種類;一般的>

あ 民法上の一般的債権
種類 消滅時効期間 条文 趣旨
一般的民事債権 10年間 民法167条
確定判決等により確定した債権 10年間 民法174条の2 元々10年未満(短期消滅時効)でも延長される
い 商事債権

5年間(商法522条)

う 短期消滅時効

次に掲載するとおり

<短期消滅時効>

あ 5年間

追認できる時からの取消権(民法126条)
定期給付債権(民法169条)
 例;賃料,地代,扶養料,養育費,利息,年金,恩給,NHK受信料(※1)
 ※1 最高裁平成26年9月5日
財産管理に関する親子間の債権(民法832条)
相続回復請求権(民法884条)
金銭給付目的の普通地方公共団体の権利(地方自治法236条)
労働者の退職手当(労働基準法115条後段)

い 3年間

医師・助産師・薬剤師の医療・助産・調剤に関する債権(民法170条1号)
技師・棟梁・請負人の工事に関する債権(民法170条2号)
弁護士・弁護士法人・公証人の職務に関して受け取った書類についての義務に対する権利(民法171条)
※弁護士の懲戒責任(弁護士法63条)
不法行為に基づく損害賠償請求権(民法724条後段,製造物責任法5条)
為替手形の所持人から引受人に対する請求権(手形法70条1項)
約束手形の所持人から振出人に対する請求権(手形法77条1項8号,78条1項参照)

う 2年間

弁護士,弁護士法人,公証人の職務に関する債権(民法172条)
生産者,卸売または小売商人の売掛代金債権(民法173条1号1)
居職人,製造人の仕事に関する債権(民法173条2号)
学芸,技能の教育者の教育,衣食,寄宿に関する債権(民法173条3号)
詐害行為取消権(民法426条)
労働者の賃金(退職手当を除く),災害補償その他の請求権(労働基準法115条前段)

え 1年間

月又はこれより短い期間で定めた使用人の給料(民法174条1号)
労力者(大工,左官等),演芸人の賃金ならびにその供給した物の代価(民法174条2号)
運送費(民法174条3号)
ホテルや旅館の宿泊料,キャバクラや料理店などの飲食料(民法174条4号)
貸衣装など動産の損料(民法174条5号)
売主の担保責任(民法566条)
遺留分減殺請求権(民法1042条)
運送取扱人の責任(商法566条1項)
陸上運送人の責任(商法589条,566条1項準用)
海上運送人の責任(商法766条,566条1項準用,国際海上物品運送法14条1)
船舶所有者の傭船者,荷送人,荷受人に対する債権(商法765条)
為替手形の所持人から裏書人や振出人に対する請求権(手形法70条)
約束手形の所持人から裏書人に対する請求権(手形法77条1項8号)
支払保証をした支払人に対する小切手上の請求権(小切手法58条)
鉄道の運賃償還請求権(鉄道営業法14条)

お 6か月

約束手形・為替手形の裏書人から他の裏書人や振出人に対する遡求権または請求権(手形法70条3項)
小切手所持人・裏書人から他の裏書人・振出人その他の債務者に対する遡求権(小切手法51条)

<短期消滅時効の不合理性と廃止方針>

あ 短期消滅時効の起源

旧民法はフランス法を元にして作られた
パリの慣習やルイ12世の勅令も元になっている

い 不合理性

旧民法の制定時に日本の取引慣習はあまり考慮されていない
→短期消滅時効の合理性には問題がある
※川島武宣『注釈民法(5)総則(5)』有斐閣1967年p332,333

う 廃止方針

平成29年の民法改正において
短期消滅時効の規定が廃止される予定である

4 『貸金』の消滅時効期間は2種類ある

貸金の返還請求権の消滅時効は2種類あります。
民法上の一般的な時効期間10年か,商事債権としての時効期間5年です。

まずは,基本的な分類を示します。

<貸金の返還請求権;消滅時効;5年or10年>

借主,貸主のいずれかが商人に該当する 商事時効 5年
借主,貸主のいずれも商人に該当しない 民法上の時効 10年

<商人該当性>

あ 非事業主

→商人に該当しない

い 事業主

→商人に該当する
一般的に株式会社は営利目的とされているので,事業主→商人に該当,となります。

う 分類を間違えやすい例

(あ)銀行
→商人に該当する
(い)信用金庫
→商人に該当しない
最高裁昭和63年10月18日
(う)住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
→商人に該当しない
(え)(信用)保証協会
→商人に該当しない
最高裁昭和60年2月12日
《信用保証協会の求償権の消滅時効期間》
原則→10年
例外→5年
 条件=主債務者(保証委託者)が事業者
 ↑最高裁昭和42年10月6日

5 消滅時効期間を延長する合意は無効

消滅時効が短い債権について,最初から時効期間を長くしておく,というニーズがあります。
取引先との基本契約書で長めの時効期間の条項を入れておく,という発想です。
しかし,時効期間を設定する(延長する)条項は無効です。
時効の利益を事前に放棄することはできません(民法146条)。
時効期間を延長するということは,債務者にとっての時効の利益を少なくする方向ということになります。
そこで,これも時効の利益の放棄に準ずるものとして無効とされます。
当事者がどんなに納得しても法律が介入して無効となるのです。
このような規定を強行法規と呼んでいます。

6 消滅時効は時効中断によりカウンターリセットとなる

(1)消滅時効の中断事由と効果

消滅時効の進行を止める方法がいくつかあります(民法147条)。
時効の中断と呼んでいます。

<消滅時効の中断事由>

あ 請求(民法147条1号)

ア 裁判上の請求(民法149条)
イ 支払督促(民法150条)
ウ 『訴え提起前の和解』『調停』の申立・任意出頭(151条)
エ 破産手続参加(152条)
以上のように,請求書を送付する,という意味ではなく,裁判で請求する,つまり提訴のことです。
口頭や書面での『請求する』という通知は『催告』として別の扱いとなります。
別項目|時効完成を避ける緊急時は『催告』で6か月延長できる

い 差押え,仮差押,仮処分(民法147条2号)

民事執行や民事保全手続のことです。

う 承認(民法147条1号)

債務者が債務を負っていることを認めるというアクションです。
実務上は債務確認書とか弁済計画書とかのタイトルで債務者が調印した書面が使われます。
また,一部の弁済,というのも承認に含まれます。弁済という行為自体が債務を認めているという態度にほかならないからです。

<消滅時効中断の効果>

あ 起算点

中断時点に新たに設定される

い 時効期間

変化なし

(3)時効中断後の新たな起算点

消滅時効の中断により中断時点新たな時効期間の起算点となります。
一方,『消滅時効期間』は,従来と同じ期間です。

例えば,工事代金の場合,当初より時効期間が3年間です。
分割払いであれば,各回の支払が承認となり,中断されます。
そこで,起算点は承認の時点,となります。
つまり,新たな消滅時効完成時点は,最後の支払日から3年ということになります。

7 判決等により『消滅時効期間』が10年に延長する

(1)確定判決により時効期間が10年に延長される

元々,5年やそれ以下の短期の消滅時効期間が設定されている債権があります。
一般的な時効中断があっても,時効期間は変わりません。
しかし,判決確定があると,時効期間は一律10年となります(民法174条の2第1項)。

次のような判決に準じるものについても同様とされています。

<判決同様に時効期間が10年に延長されるイベント>

裁判上の和解 民法174条の2第1項後段
認諾,放棄 コンメンタール民法総則,我妻榮・有泉亨
支払督促 最判昭53年1月23日の理由中の判断
破産での債権表への記載(※2) 最判平成7年3月23日
会社更生での債権表への記載(※2) 最判昭53年11月20日

※2 破産管財人・裁判所により債権調査が行われたことが前提となっている(後述)

(2)公正証書では時効期間が10年に延長は適用されない

公正証書(執行証書)は,判決と同視される扱いがあります。
別項目;債務名義には多くの種類がある
しかし,時効期間の延長に関しては,判決と同視されません(東京高裁昭和56年9月29日;判例1)。
既判力という効力がない点で,判決と同視できない,というのが理由です。

8 『準消費貸借』により,時効期間の『延長』が可能

最初の契約の時点で時効期間を自由に決めるということはできません(前記『5』)。
しかし,既に発生している債権については,結果的に期間を長くするが可能です。

例えば,工事代金の消滅時効期間は3年です(民法170条)。
この代金について滞納した状態において,この代金を金銭消費貸借にチェンジすることができます。
これを準消費貸借と呼んでいます(民法588条)。

<準消費貸借の契約内容の条項例>

残代金について,金銭消費貸借の目的とする。
そして,以下のとおり支払う。
(分割などの支払方法;略)

要するに,金銭の貸し借りとなるのです。
そうすると,一般的な債権となります。
消滅時効期間は,商事債権であれば5年,それ以外であれば10年となります(商法522条,民法167条)。
建築工事請負契約であれば,通常事業者間なので,商事債権となり5年となります。

9 債務者の破産により,保証人への請求権の消滅時効に影響が及ぶ

(1)主債務者破産の保証債務への影響のまとめ

例えば,債務者(取引先)が破産した場合,保証人がいる場合,保証人に請求することになります。
関連コンテンツ|主債務者が破産→保証人への請求は止められない
『債務者』のことを,保証人と区別するために『主債務者』と言うことがあります。

主債務者の破産によって『主債務の消滅時効の中断』が生じます(前述)。
その結果,保証債務の消滅時効にも影響があります。
次に整理します。

<主債務者の破産における保証債務への影響>

債権届出の有無 後記説明 時効中断の有無 消滅時効の新たな起算点 消滅時効の期間
配当事案 (2) 破産手続終結決定時 10年間
廃止事案 (3) 変更なし
廃止事案 (4) 廃止決定確定時 (10年間)

(2)配当事案

破産者に,配当できるだけの財産が残っていたケースです。
この場合,配当の前提として,破産管財人が破産債権者表を作成します。
当然,一定の調査をして,裏付けの確認等をしつつ破産債権者表を作成します。
そして,破産債権者表が作成され,確定した場合,その内容は確定判決と同一の効力を持ちます(破産法124条3項)。
確定判決と同一なので,消滅時効の期間は10年間となります(民法174条の2第1項)。
通常,企業間の取引での消滅時効は1~5年(短期消滅時効や商事時効)です。
延長されたことになります。
また,消滅時効のカウントがリスタートするのは,破産手続終結決定から,となります。

(3)廃止事案で債権届出なし

細かく分けると,異時廃止と同時廃止があります。
いずれも,配当するだけの財産が残っていない場合に取られる手続きです。
破産者の債権債務の清算が終了する前に破産手続きを終了する,という意味です。
この場合は,通常,破産管財人による債権の調査,というのは行われません。
結局,確定判決と同一の効力というものも生じません。
結論として,従前の時効期間(主に1~5年)は変わらないままです。

(4)廃止事案で債権届出あり

ただし,債権者として破産手続上債権届出をした場合は,次のような解釈により,消滅時効が中断します。
債権届出は破産手続参加と扱われます(民法152条,破産法111条)。
(なお,他の手続きでも同様の規定があります(民事再生法94条,会社更生法135条))
そして,破産手続参加は民法147条の請求として扱われるので,これによって中断の効力が認められるのです(最高裁昭和47年3月21日,民法152条参照)。
そして,消滅時効期間がリスタートするのは,廃止決定確定時と考えられています。

条文

[民法]
(時効の中断事由)
第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

(裁判上の請求)
第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。
(支払督促)
第百五十条  支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
(和解及び調停の申立て)
第百五十一条  和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法 (平成二十三年法律第五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。
(破産手続参加等)
第百五十二条  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2(略)

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
(三年の短期消滅時効)
第百七十条  次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一  医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二  工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権
第百七十一条  弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。
(二年の短期消滅時効)
第百七十二条  弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しないときは、消滅する。
2  前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。
第百七十三条  次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三  学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権
(一年の短期消滅時効)
第百七十四条  次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
一  月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二  自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三  運送賃に係る債権
四  旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五  動産の損料に係る債権
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二  確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2  前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。

(準消費貸借)
第五百八十八条  消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

(不当利得の返還義務)
第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条  悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

[商法]
(商事消滅時効)
第522条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

[破産法]
(破産債権の届出)
第百十一条 破産手続に参加しようとする破産債権者は、第三十一条第一項第一号又は第三項の規定により定められた破産債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。
一  各破産債権の額及び原因
(略)

(異議等のない破産債権の確定)
第百二十四条 第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
2  裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
3  第一項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。

判例・参考情報

(判例1)
[東京高等裁判所 昭和56年9月29日]
控訴人は、本件金員貸付については公正証書が作成され、該公正証書上、被控訴人らによって右貸借による債権が確認され、かつ、その債務につき執行認諾の意思表示がなされているから、民法一七四条ノ二第一項の規定により、その消滅時効期間は一〇年に延長されるものであると主張し、控訴人主張のような公正証書が存在することは当事者間に争いがない。しかし、このような公正証書上の権利については、いわゆる執行力があっても既判力がないから、民法一七四条ノ二第一項に規定する確定判決と同一の効力を有するものにより確定したる権利には該当しないと解するのが相当であるかる、右規定の適用はない。したがって、控訴人の右主張は、採用することができない。

(判例2)
[平成21年 3月 3日 最高裁第三小法廷 平20(受)543号 不当利得返還請求事件]
 前記のような過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金は同債務に充当されることになるのであって,借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。
 なお,借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから相当でない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
 したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁参照)。

(判例3)
[平成21年 3月 6日 最高裁第二小法廷 平20(受)1170号 不当利得返還請求事件]
 前記のような過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,これにより過払金返還請求権の行使が妨げられていると解するのが相当である。
 借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
 したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁参照)。

(判例4)
[平成21年 7月17日 最高裁第二小法廷 平20(受)2016号 不当利得返還請求事件]
過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号247頁,最高裁平成20年(受)第543号同21年3月3日第三小法廷判決・裁判所時報1479号1頁,最高裁平成20年(受)第1170号同21年3月6日第二小法廷判決・裁判所時報1479号3頁参照)。