1 債務者の破産による保証人への請求権の消滅時効への影響
2 債務者破産の保証債務への影響のまとめ
3 配当事案における影響(※1)
4 廃止事案で債権届出なしのケースにおける影響(※2)
5 廃止事案で債権届出ありのケースにおける影響(※3)

1 債務者の破産による保証人への請求権の消滅時効への影響

金銭の貸し借りで(連帯)保証人が付くことがあります。理論的には,貸金(金銭消費貸借)の契約とは別に保証契約が存在することになります。
借主つまり(主)債務者が破産をして免責されると,貸主(債権者)は保証人に請求するしかなくなります。この意味では債務者の破産が保証人に影響しないといえます。
詳しくはこちら|破産による免責|免責不許可事由・裁量免責|保証人への影響・特定債権者の除外
しかし,消滅時効に関しては債務者の破産が保証人に影響します。
本記事では,債務者の破産が保証人にどのように影響するかを説明します。

2 債務者破産の保証債務への影響のまとめ

債務者の破産によって,まずは主債務(の債権)の消滅時効の中断が生じます(前述)。
その結果,保証債務(の債権)の消滅時効にも影響があります。
破産手続が配当事案か廃止事案か,また,債権届出の有無によって影響が生じるかどうかが違います。まずは全体を表にまとめます。

<主債務者の破産における保証債務への影響>

債権届出の有無 補足説明 時効中断の有無 消滅時効の新たな起算点 消滅時効の期間
配当事案 後記※1 破産手続終結決定時 10年間
廃止事案 後記※2 変更なし
廃止事案 後記※3 廃止決定確定時 (10年間)

3 配当事案における影響(※1)

破産者に,配当できるだけの財産が残っていたケースです。
この場合,配当の前提として,破産管財人が破産債権者表を作成します。管財人は一定の調査をして,裏付けの確認をしつつ破産債権者表を作成します。
そして,破産債権者表が作成され,確定した場合,その内容は確定判決と同一の効力を持ちます(破産法124条3項)。
確定判決と同一なので,消滅時効の期間は10年間となります(民法174条の2第1項)。
通常,企業間の取引での消滅時効は1~5年(短期消滅時効や商事時効)です。そのため,結果的に延長されたことになります。
また,消滅時効のカウントがリスタートするのは,破産手続終結決定から,となります。

4 廃止事案で債権届出なしのケースにおける影響(※2)

細かく分けると,異時廃止と同時廃止があります。
いずれも,配当するだけの財産が残っていない場合に取られる手続きです。
破産者の債権債務の清算が終了する前に破産手続きを終了する,という意味です。
この場合は,通常,破産管財人による債権の調査,というのは行われません。
結局,確定判決と同一の効力というものも生じません。
結論として,従前の時効期間(主に1~5年)は変わらないままです。

5 廃止事案で債権届出ありのケースにおける影響(※3)

債権者として破産手続上債権届出をした場合は,結露としては消滅時効が中断します。
まず,債権届出は破産手続参加と扱われます(民法152条,破産法111条)。
なお,他の手続でも同様の規定があります(民事再生法94条,会社更生法135条)。
そして,破産手続参加は民法147条の請求として扱われるので,これによって中断の効力が認められるのです(最高裁昭和47年3月21日,民法152条参照)。
そして,消滅時効期間がリスタートするのは,廃止決定確定時と考えられています。

本記事では債務者の破産による保証人の消滅時効への影響を説明しました。
実際には個別的な特殊事情によって消滅時効の判断が違ってくることもあります。
実際に消滅時効に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。