1 共同賃借人(賃借権の準共有)の賃料増減額に関する管理・変更の分類と当事者
2 準共有賃借権における賃料減額請求の分類
3 賃料増額請求の相手方
4 賃料増減額請求に関する共同訴訟形態(概要)
5 賃貸人が複数であるケースにおける賃料増減額請求(参考)

1 共同賃借人(賃借権の準共有)の賃料増減額に関する管理・変更の分類と当事者

賃貸借契約において,賃借人が複数であるケースがあります。共同賃借人が賃借権を準共有している状態といえます。
一般的に,(準)共有物に関する各種行為は管理行為や変更行為に分類されます。
詳しくはこちら|共有物の賃貸借に関する各種行為の管理行為・変更行為の分類(全体)
本記事では,賃借人が複数であるケースでの賃料の増減額(変更)に関わるものについて,管理行為,変更行為の分類と,誰が誰に対して行うか(当事者)について説明します。

2 準共有賃借権における賃料減額請求の分類

賃料が減額されると,賃借人にとっては有利です。そこで,賃料減額請求をすることは,(準)共有物の保存に分類されます。

<準共有賃借権における賃料減額請求の分類>

(賃借人が複数である賃貸借において)
減額請求については、共有物の保存に属するものと考え,賃借人の一部からの請求も認められるものと解される
※田山輝明ほか編『新基本法コンメンタール 借地借家法』日本評論社2014年p66

3 賃料増額請求の相手方

賃貸人から賃料の増額を請求する場合は,複数の賃借人の全員に対して意思表示(通知)をする必要があります。これとは別に,賃料請求の方は賃借人のうち1人だけに請求できます。似ているけど法的扱いは異なりますので注意を要します。

<賃料増額請求の相手方>

あ 増額請求の相手方

(賃借人が複数である賃貸借において)
賃貸人は賃借人の全員に対して増額の意思表示をする必要がある

い 相対的な効力

賃借人の一部だけに対する意思表示について
→意思表示を受けた者との関係においても効力を生じない
※民法430条
※最高裁昭和50年10月2日(借地について)
※最高裁昭和54年1月19日(借地について)

う 賃料債務の不可分性(参考)

賃貸人は,共同賃借人のうち1人に全額の賃料を請求できる
詳しくはこちら|複数の賃借人(共同賃借人)の金銭債権・債務の可分性(賃料債務・損害金債務)

4 賃料増減額請求に関する共同訴訟形態(概要)

賃借人が複数いるケースにおける,賃料の増減額請求に関する訴訟は,類似必要的共同訴訟と考えられています。つまり,共同賃借人の全員が当事者になることが必須というわけではありません。

<賃料増減額請求に関する共同訴訟形態(概要)>

増減額請求権の行使を前提とする訴訟について
→類似必要的共同訴訟となる見解が一般的である
詳しくはこちら|共有物と共同訴訟形態(損害賠償・境界確定・登記請求・賃料増減額)

5 賃貸人が複数であるケースにおける賃料増減額請求(参考)

賃貸借契約の賃貸人が複数いるケースもあります。具体的には,共有不動産を対象とする賃貸借です。このような賃貸借でも,賃料増減額請求についての問題があります。本記事で説明したのと逆のパターンです。これについては,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|共有物の賃貸借の賃料増減額に関する管理行為・変更行為の分類

本記事では,賃借人が複数である(賃借権の準共有)における賃料の増減額に関する変更行為,管理行為の分類と当事者について説明しました。
実際には,具体的・個別的な事情によって違う法的な分類となることもあります。
実際に,賃借人が複数である賃貸借に関わる問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。