1 共有物に関する負担|対外的効果|基本
2 具体例|マンション管理費→不可分
3 具体例|山林の監守費用→不可分
4 賃料債務の不可分性(概要)
5 共有物×固定資産税|連帯納付責任|概要
6 固定資産税×代表者指定届
1 共有物に関する負担|対外的効果|基本
『共有物に関する負担』は一定のルールがあります。
詳しくはこちら|共有物に関する負担の基本(具体例・求償・特定承継人への承継)
このルールは『共有者の間』で適用されるものです。
共有者以外の人との間ではこの規定は適用されません。
このような対外的効果について説明します。
まずは基本的事項をまとめます。
<共有物に関する負担|対外的効果|基本>
共有物の負担について
共有者以外の者との関係について
→『負担割合』は適用されない
多数当事者の債権債務の規定が適用される
2 具体例|マンション管理費→不可分
前記の対外的効果の具体例をいくつか順に紹介します。
<具体例|マンション管理費→不可分>
管理費の請求者との関係において
『マンション管理費に対応するサービス』は分断できない
→共有者は管理費について不可分債務を負う
※東京高裁平成20年5月28日
※東京地裁平成22年11月30日
3 具体例|山林の監守費用→不可分
<具体例|山林の監守費用→不可分>
山林の監守費用について
→土地共有者は監守人に対して不可分債務を負う
※大判昭和7年6月8日
4 賃料債務の不可分性(概要)
<賃料債務の不可分性(概要)>
借地上の建物が共有である
土地賃借人は共有者全員である
→貸すという債務は不可分である
→対価である賃料債務も不可分である
※民法430条,432条
※大判昭和7年6月8日
※大判大正11年11月24日
詳しくはこちら|複数の賃借人(共同賃借人)の金銭債権・債務の可分性(賃料債務・損害金債務)
5 共有物×固定資産税|連帯納付責任|概要
固定資産税は共有物に関する負担の代表例です。
固定資産税に関する対外的効果を説明します。
民法の解釈ではなく税法における規定が優先的に適用されます。
<共有物×固定資産税|連帯納付責任|概要>
あ 連帯納付責任
共有物に課税される固定資産税について
→共有者それぞれが全額の支払義務を負う
持分割合には関係ない
※国税通則法9条
※地方税法10条の2
詳しくはこちら|税務上の連帯納付責任の基本(相続税・贈与税・固定資産税)
い 支払いによる債務消滅
共有者のうち1名が全額を支払った場合
→他の共有者の支払義務も消滅する
6 固定資産税×代表者指定届
代表者指定という税務手続があります。
共有不動産の固定資産税に関するものです。
<固定資産税×代表者指定届>
あ 代表者指定制度
連帯納付義務者の代表者の指定について
→届出を役所に提出する制度がある
→固定資産税の納付書の送付先・宛名が指定できる
い 連帯納付責任→無関係
納税義務には影響がない
『代表者』以外の義務者が請求・差押を受けることがある