1 税務上の連帯納付責任|相続税・贈与税・固定資産税
2 税務上の連帯納付責任→民法上の事前求償権・同時履行の抗弁・相殺はNG
3 税務上の連帯納付責任→任意に担保設定・仮差押は可能

1 税務上の連帯納付責任|相続税・贈与税・固定資産税

税金については,一定の関係者同士で『連帯納付責任』を負うことになります。

<税務上の連帯納付責任>

種類 連帯納付となる者 根拠
相続税 複数の相続人 相続税法34条1項
贈与税 受贈者・贈与者 相続税法34条4項
共有物の固定資産税 共有者間 国税通則法9条,地方税法10条の2

連帯納付責任は法律上規定されていて『当事者の合意・納得』の有無は関係ありません。
非常に強力なルールです。
もちろん,一定の限度や例外もあります。

関連コンテンツ|固定資産税や管理の費用は『共有物の負担』(253条)に該当する

2 税務上の連帯納付責任→民法上の事前求償権・同時履行の抗弁・相殺はNG

民法上『保証債務(保証人)』については,事前求償権という制度があります。
この制度は納税の連帯納付責任では適用されません。
そこで『連帯納付責任として納税する前』には求償権の行使ができません。
税務上の連帯納付責任と,民法上の規定の適用関係をまとめます。

<税務上の連帯納付責任×民法の準用>

民法上の規定 事前求償権 税務への準用
『連帯債務』の規定 なし あり(※1)
『保証債務(保証人)』の規定 あり(※2) なし(※1)

※1 国税通則法8条
※2 民法460条

実際に納税する前には『求償権』がありません。
そのため『同時履行の抗弁権』とか『相殺』の主張もできません。

3 税務上の連帯納付責任→任意に担保設定・仮差押は可能

税務上の連帯納付責任について『事前求償権』は使えません(前述)。
『連帯納付』をさせられる側として,可能な保全方法をまとめます。

<連帯納付責任の保全方法>

あ 当事者間で任意に担保を設定する

抵当権や保証人の提供を受けることなど

い 仮差押

被保全債権が『履行期到来前』の場合でも
→個別事情によっては認められる

このように,限定的な方法しかありません。
詳しくはこちら|民事保全(仮差押・仮処分)の基本|種類と要件|保全の必要性

実務では,解決内容,つまり和解条項の中で『連帯納付責任による想定外』を排除しておくべきです。
詳しくはこちら|債権回収不能や債務免除→みなし贈与・貸倒処理・連帯納付義務

条文

[国税通則法]
(国税の連帯納付義務についての民法 の準用)
第八条  国税に関する法律の規定により国税を連帯して納付する義務については、民法第四百三十二条 から第四百三十四条 まで、第四百三十七条及び第四百三十九条から第四百四十四条まで(連帯債務の効力等)の規定を準用する。

[民法]
(委託を受けた保証人の事前の求償権)
第四百六十条  保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
一〜三(略)