1 侵害者が共有者|妨害排除請求
2 侵害者が共有者|確認訴訟
3 侵害者が共有者|後順位登記の抹消請求
4 通常共同訴訟の判決による執行における同意書(概要)

1 侵害者が共有者|妨害排除請求

共有物が侵害されている場合,各共有者は単独で妨害排除請求訴訟や,確認訴訟を提起できます。
詳しくはこちら|共有者から第三者への妨害排除請求(返還請求・抹消登記請求・第三者異議訴訟)
詳しくはこちら|共同訴訟形態|共有物に関する確認訴訟|対第三者・対共有者同士
これらとは逆に共有者が侵害するというケースもあります。
この場合の妨害排除請求についてまとめます。

<侵害者が共有者|妨害排除請求>

あ 共有建物による不法占有

土地をAが所有している
土地上に占有権原のない建物がある
建物はB・Cが共有している
共同相続によりこの状態になっている

い 土地所有者の対応

Aは建物収去土地明渡請求訴訟を提起した
土地所有権に基づく妨害排除請求の1つである

う 共同訴訟形態

固有必要的共同訴訟ではない
→AはB・Cのいずれかor両方を被告として提訴できる
※最高裁昭和43年5月28日
※最高裁昭和43年3月15日

2 侵害者が共有者|確認訴訟

侵害者が共有者である場合の確認訴訟もあり得ます。
このケースの共同訴訟形態をまとめます。

<侵害者が共有者|確認訴訟>

あ 不正な家屋台帳

家屋台帳において建物がB・Cの共有となっていた
真実の所有者はAであった

い 確認訴訟提起

Aが確認訴訟を提起した

う 共同訴訟形態

必要的共同訴訟ではない
→B・Cのいずれかor両方を被告とすることができる
※最高裁昭和34年7月3日

3 侵害者が共有者|後順位登記の抹消請求

登記上『侵害』の状態が生じるケースもあります。
侵害している登記が『共有の登記』というような状況です。
これについての共同訴訟形態をまとめます。

<侵害者が共有者|後順位登記の抹消請求>

あ 先順位|仮登記

Aが所有権の仮登記を行った

い 後順位|通常の登記

B・Cが所有権移転登記を行った
B・Cは共有者として登記された

う 仮登記の効果

仮登記は『順位保全』の効果がある
→AはB・Cに対して登記の抹消を請求できる

え 共同訴訟形態

AがB・Cに登記抹消請求訴訟を提起する場合
→登記の性質上『合一確定』が必要である
→必要的共同訴訟である
※最高裁昭和38年3月12日

4 通常共同訴訟の判決による執行における同意書(概要)

通常共同訴訟である場合,例えば侵害している者のうち一部を被告に含めないということが可能です。このようなケースで抹消登記請求を認める判決が言い渡されて確定すると,執行の段階で問題が生じます。要するに判決(債務名義)に基づいて原告が単独で登記申請をする時に,被告から除外されていた登記義務者がどのように関与するか,という問題です。
結論としては,被告となっていなかった登記義務者の同意書を用いることになります。これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|共同訴訟形態|基本|必要的共同訴訟or通常共同訴訟

本記事では,登記上の侵害をしている者が共有者(複数)であるケースにおける,(妨害排除の)共同訴訟形態について説明しました。
実際には,個別的な事情によって判断が異なることもあります。
実際に共有が関係する不正な登記の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。