1 占有の認定|具体例|民事・刑事
2 『占有』概念|基本
3 占有|認定|対象物によるバラエティ
4 賃貸駐車場の『占有』
5 駐車場×占有判断|判例

1 占有の認定|具体例|民事・刑事

『占有』の認定・判断が問題となるケースは多いです。
民事・刑事の法的問題とつながるのです。
まずは,影響のある法的問題についてまとめます。

<占有の認定|具体例|民事・刑事>

あ 留置権の成立

『占有』が成立要件の1つである

い 建物の『退去』

いろいろな法的な扱いに影響する
例;損害金発生・立ち入りの可否など

う 取得時効

『占有』が要件の1つである

え 隔地者間の意思表示

相手の『支配領域内』への到達により意思表示が完結する
→『占有』概念に近い

お 窃盗罪・不動産侵奪罪

動産・不動産の『占有』が要件の1つである

2 『占有』概念|基本

『占有』の内容については,法律上明確な規定はありません。
具体的な判断の元になるのは基本的な考え方です。
『占有』という概念の基本的事項をまとめます。

<『占有』概念|基本>

あ 基本的概念

物がある者の事実的支配内にあると社会通念上認められる客観的関係があればよい
動産であってもこれを手で把持している必要はない
※舟橋諄一『物権法 法律学全集(18)物権法』有斐閣p279
※末川博『物権法』日本評論新社p188

い 『認識』は不要

具体的な物について認識している必要はない
→例;郵便受けに配達された郵便物でも『占有』あり
※『判例民法2 物権』第一法規出版p101〜

3 占有|認定|対象物によるバラエティ

占有の認定は,対象物によって特有の基準があります。
ここでは対象物の種類と判断の概要をまとめます。

<占有|認定|対象物によるバラエティ>

あ 土地の一部

1筆の土地の一部についても成立する
※大連判大正13年10月7日

い 建物

細かい判断基準・要素がある
詳しくはこちら|建物明渡×実力行使|基本・違法性判断|自力救済or自救行為

う 壁面

建物の壁面を広告用に利用している
→壁面を占有しているとはいえない
※最判昭和59年1月27日

え 動物をゲット

動物の獲得・捕獲が『占有』となることがある
特有の判断基準がある
詳しくはこちら|動物の占有・捕獲|判断基準|ハンター/ヒモタイプ

お 自動車駐車×土地占有

自動車の駐車が土地の占有に該当することもある
特有の判断基準がある(※3)
※『判例民法2 物権』第一法規出版p101〜
※『新版注釈民法(7)』有斐閣p17〜

建物や動物についての判断基準は別に説明しています(前記)。

4 賃貸駐車場の『占有』

土地の占有のうち『駐車場』は曖昧になりがちです。
これについて,判例の基準をまとめます。

<賃貸駐車場の『占有』>

あ 前提事情

土地を駐車場として賃貸している
例;月極駐車場
賃借人が自己所有の自動車を駐車している

い 占有判断|原則

契約期間中は賃借人に『占有』がある

う 占有判断|例外

次の事情があると『占有』が否定される可能性が高い
ア 契約満了の後
例;解除した後
イ 第三者の出入りが容易な場所
物理的・心理的に容易という意味である
※『判例民法2 物権』第一法規出版p101〜
※『新版注釈民法(7)』有斐閣p17〜

5 駐車場×占有判断|判例

駐車場の占有について判例における詳しい判断内容を紹介します。
前記の判例の基準の前提となった事案です。

<駐車場×占有判断|判例>

あ 事案

『団地敷地内に黄線によって一見駐車場として区画がなされ』ている
『Aが・・・事実上これに駐車することを継続して,これを事実上の支配をしている』
団地敷地内にある以上,団地住民以外の者が自由に使用できるものでもない』

い 裁判所の判断

『一時不在者でも留守宅の家財につき所持を有するのと同様』である
『Aになおその所持があるとみて差し支えない』
※大阪高裁昭和62年1月9日