1 自動車の駐車による賃貸駐車場の占有の判断
2 賃貸駐車場の占有の判断の枠組み
3 平地の賃貸駐車場の占有を判断した裁判例

1 自動車の駐車による賃貸駐車場の占有の判断

土地の『占有』が認められるかどうかが問題となるケースがあります。同じ『占有』でも,占有訴権の要件としての占有と,取得時効の要件としての占有では判断基準が異なります。
詳しくはこちら|土地の占有(占有訴権・物権的請求権)の判断(判断基準と具体例)
詳しくはこちら|土地の占有(取得時効)の判断(判断基準と具体例)
本記事では,占有訴権の要件としての占有について,自動車を賃貸駐車場に駐車することによる占有の判断について説明します。

2 賃貸駐車場の占有の判断の枠組み

賃貸駐車場のうち決められた区画に自動車を駐車することによって,原則として占有が認められます。
ただし,契約が終了した後第三者の出入りが容易な状況である場合には占有が否定されることもあります。

<賃貸駐車場の占有の判断の枠組み>

あ 前提事情

土地を駐車場として賃貸している
例=月極駐車場
賃借人が自己所有の自動車を駐車している

い 原則的な占有判断

契約期間中は賃借人に占有がある

う 例外的な占有判断

『ア・イ』のいずれかの事情があると,占有が否定される方向に働く
ア 契約満了の後
例=解除した後
イ 第三者の出入りが容易な場所
物理的・心理的に容易という意味である
※大阪高裁昭和62年1月9日(後記※1)
※能見善久ほか編『論点体系 判例民法2 物権 第3版』第一法規2019年p117参照

3 平地の賃貸駐車場の占有を判断した裁判例

実際に,賃貸駐車場を占有しているといえるかどうかが判断された裁判例があります。
駐車する場所は黄色の線が描かれていて区分けされ,各賃借人が駐車する場所(区画)が決まっていました。
そのため,占有が認められました。
ただ,その判断の中で団地敷地内であることが考慮されています。逆に,誰でも自由に入れる場所であった場合には占有が否定されることもあると読めます。

<平地の賃貸駐車場の占有を判断した裁判例(※1)>

あ 事案

駐車場として使用することを目的とした土地賃貸借契約が成立していた
駐車場所は団地敷地内黄線によって一見駐車場として区画がなされていた
賃借人Aが駐車する区画は決まっていた

い 基本的な占有判断

(占有訴権について)
Aが駐車区画(土地)について事実上の支配をしている

う 自動車がない時間帯の考察

Aが車を運転している間は駐車区画(土地)は空地のような観を呈する
しかし,団地敷地内にある以上団地住民以外の者が自由に使用できるものでもない
一時不在者でも留守宅の家財につき所持を有する
→Aによる事実上の支配(占有)は否定されない
※大阪高裁昭和62年1月9日
※能見善久ほか編『論点体系 判例民法2 物権 第3版』第一法規2019年p117参照

本記事では,自動車を賃貸駐車場に駐車することによる(占有訴権の要件としての)占有の判断について説明しました。
実際には,細かい事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってきます。
実際に駐車場の占有の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。