1 土壌汚染に関する公的規制(総論)
2 都道府県による汚染除去指示
3 第1種特定有害物質=揮発性有機化合物(VOC)
4 第2種特定有害物質=重金属など
5 第3種特定有害物質=農薬など

1 土壌汚染に関する公的規制(総論)

一定の有害物質が土壌に含有されている場合,土地上で生活する居住者に健康被害が生じます。
また周囲に有害物質を流出させ,被害が拡大します。
隣接地所有者・居住者から損害賠償請求を受けることがあります。
この前提として,どのような物質が有害なのかということが重要です。
有害な物質は,公的に指定されています。
これを元にして,公的な制度として,汚染除去の指示があります。
本記事では,有害物質の法的な指定と,汚染除去指示の制度について説明します。

2 都道府県による汚染除去指示

土壌汚染に対して,都道府県が汚染除去を指示する制度があります。
土地所有者には経済的な負担が生じます。

<都道府県による汚染除去指示>

あ 除去指示(基本)

『土壌の汚染』がある場合
→都道府県知事が『除去指示』を行うことができる

い 除去指示の対象者

除去指示は,原則として土地所有者に対して行う
※土壌汚染対策法7条1項

3 第1種特定有害物質=揮発性有機化合物(VOC)

人の生活・人体に悪影響を及ぼす物質は数多くあります。
公的な基準として,土壌汚染対策法により設定・指定されている『特定有害物質』があります。
大きく3つに分類できます。
以下順にまとめます。

<第1種特定有害物質=揮発性有機化合物(VOC)>

物質名 主な用途
四塩化炭素 溶剤・ドライクリーニング
1,2-ジクロロエタン 塩化ビニールなど樹脂の原料・殺虫剤
1,1-ジクロロエチレン ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂の原料・フィルム洗浄剤
シス-1,2-ジクロロエチレン 溶剤・香料
1,3-ジクロロプロペン 農薬・殺線虫剤
ジクロロメタン 金属・機械の洗浄剤・塗料剥離剤
テトラクロロエチレン ドライクリーニング・金属・繊維洗浄剤
1,1,1-トリクロロエタン 金属洗浄剤・ドライクリーニング
1,1,2-トリクロロエタン 殺虫・殺菌剤・溶剤
トリクロロエチレン 金属・繊維洗浄剤
ベンゼン 塗料・ニス・ガソリンなどの工業用溶媒・溶剤

※土壌汚染対策法2条1項,同法施行令1条

4 第2種特定有害物質=重金属など

<第2種特定有害物質=重金属など>

物質名 主な用途
カドミウム 電池・メッキ・合金・ハンダ
6価クロム 合金材料・メッキ・皮なめし・顔料・防腐剤・サビ止め
シアン アクリル樹脂・染料・殺鼠剤・メッキ
水銀 殺菌剤・防腐剤・樹脂の触媒・蛍光灯
セレン 半導体・太陽電池・コピー機の感光ドラム
バッテリー・プラスチック硬化剤・ガラス・ハンダ
砒素 半導体・ダイオード・防腐剤・顔料・花火
フッ素 アルミ精錬・ガラス加工
ほう素 うがい薬などの医薬品・研磨剤・殺虫剤

※土壌汚染対策法2条1項,同法施行令1条

5 第3種特定有害物質=農薬など

<第3種特定有害物質=農薬など>

物質名 主な用途
シマジン 除草剤
チオベンカルブ 除草剤
チウラム 硫黄殺菌剤・ゴム製造
ポリ塩化ビフェニル トランス油・コンデンサー
有機リン化合物 殺虫剤

※土壌汚染対策法2条1項,同法施行令1条