【建物賃貸借の相当賃料(継続賃料)算定の基本(特徴と総合方式)】

1 建物賃貸借の相当賃料(継続賃料)算定の基本(特徴と総合方式)
2 建物賃貸借の相当賃料算定の特徴
3 総合方式の採用
4 建物賃貸借の相当賃料の4つの算定手法(概要)

1 建物賃貸借の相当賃料(継続賃料)算定の基本(特徴と総合方式)

建物賃貸借の賃料が不相当となっている場合には,増額や減額を請求できます。賃料の増減額請求では,相当な(適正な)賃料の金額を算定して,増減額を認めるかどうか,認める場合には新たな改定賃料をいくらにするのか,ということを判断します。
主に借地の場合の相当賃料(改定賃料)の算定の手法については,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|改定賃料算定手法の種類全体(主要4手法+簡易的手法)
本記事では,建物賃貸借のケースでの相当賃料の算定の基本的事項を説明します。

2 建物賃貸借の相当賃料算定の特徴

建物賃貸借についての相当賃料の算定は,算式のように誰が算定しても同じ結果になる,というものではありません。類型的に借地の場合よりも,ブレが大きいのです。

<建物賃貸借の相当賃料算定の特徴>

建物賃貸借における相当賃料(継続賃料)算定の実践的手法は
借地の場合にもまして複雑であり裁量的要素を含み客観性の希薄なものである
※藤田耕三ほか編『不動産訴訟の実務 7訂版』新日本法規出版2010年p765

3 総合方式の採用

建物賃貸借の相当賃料の算定では(借地の場合と同じく),総合方式が用いられます。主要な4つの算定手法を組み合わせるということです。

<総合方式の採用>

あ 総合方式の採用

総合方式によることが実務の大勢である
利回り方式,スライド方式,賃貸事例比較方式,差額配分方式を用いる
いずれかの算定方式を本則とするわけではない
※藤田耕三ほか編『不動産訴訟の実務 7訂版』新日本法規出版2010年p765,766

い 借地の相当賃料(参考)

借地における相当賃料の算定においても『あ』と同様である
詳しくはこちら|改定賃料算定の総合方式(一般的な比重配分の傾向や目安)

4 建物賃貸借の相当賃料の4つの算定手法(概要)

建物賃貸借の相当賃料の主な算定手法は4つがあります。それぞれの内容については別の記事で説明しています。
利回り法は,従前の賃料を不動産の価値の変動に合わせて変動させるというものです。
詳しくはこちら|建物賃貸借の相当賃料算定における利回り法
スライド法は,従来の賃料を(主に)物価の変動に合わせて変動させるというものです。
詳しくはこちら|建物賃貸借の相当賃料算定におけるスライド法
差額配分法は,新規賃料現在の賃料の間のどこかを相当賃料とする方法です。
賃貸事例比較法は,近隣の類似の賃貸借契約の賃料を参考として相当賃料を決めるという方法です。
詳しくはこちら|建物賃貸借の相当賃料算定における差額配分法と賃貸事例比較法

本記事では建物賃貸借の相当賃料の算定の基本的事項を説明しました。
実際には,個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってきます。
実際に建物賃貸借の賃料の金額に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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