1 生命保険金・死亡退職金の性格|相続財産・特別受益に該当しない
2 遺留分紛争防止策×生命保険・死亡退職金|遺留分キャンセラー
3 生命保険金・死亡退職金→税務上は『相続財産=相続税の対象』となる

1 生命保険金・死亡退職金の性格|相続財産・特別受益に該当しない

『生命保険金』や『死亡退職金』は複雑で特殊な性格があります。

<生命保険金・死亡退職金の特殊な性格>

あ 経済的な評価

『経済的』には被相続人の財産=遺産,と言える

い 民法上の解釈

『民法上』は『相続財産』とは扱われない
『特別受益・遺留分算定基礎財産』に原則的に該当しない
※最高裁昭和40年2月2日
※最高裁昭和48年6月29日

う 税法上の解釈

みなし相続財産となる(後記)

詳しい解釈論は別記事で説明しています。
詳しくはこちら|死亡退職金の相続財産と特別受益の該当性(基本・判断の傾向)

2 遺留分紛争防止策×生命保険・死亡退職金|遺留分キャンセラー

生命保険金・死亡退職金は上記のような特殊な法的性格があります。
この特徴が『遺留分侵害・遺留分の紛争』を防ぐことにつながります。

<遺留分紛争防止策×生命保険・死亡退職金|例>

あ 事例

生前にAが生命保険に加入した
保険料はAが2000万円を一括して支払った
Aが亡くなった
相続人Bが2000万円を『生命保険金』として受け取った
相続人BはAが従業していた会社から1000万円の『死亡退職金』を受給した

い 法的解釈論の方向性

生命保険金・死亡退職金は『相続財産・特別受益』に該当しない
→遺留分減殺請求の対象外となる

もちろん,個別的な事情で解釈は異なることもあります。
また解釈基準にも不明確なところがあり,再現可能性の精度が良くないです。
いずれにしても,以上のような解釈となる可能性も十分にあるのです。
この働きは『遺留分キャンセラー』とも呼べるものです。
詳しくはこちら|将来の遺留分紛争を避ける生前の工夫;遺留分キャンセラー
保険会社もこの効果をアピールして営業することもあるようです。

3 生命保険金・死亡退職金→税務上は『相続財産=相続税の対象』となる

税務上は『相続税キャンセラー』は許されません。

<生命保険金・死亡退職金×税務上の解釈>

あ 実質面=経済的視点

種類 実質的対価性
死亡保険金 被相続人が保険料を負担していた
死亡退職金 被相続人が勤務していた

い みなし相続財産

いずれも『みなし相続財産』として課税対象となる

う 控除の対象

一定の控除の対象となる
→一般的に節税対策として位置付けられる
詳しくはこちら|相続税の節税|控除額適用財産|生命保険金・死亡退職金・旅人の扉判決