1 相続財産管理人の選任申立に要する費用
2 申立時に要する費用
3 官報公告費用の予納金
4 管理人報酬を含む管理費用の予納金
5 申立のための弁護士費用は別である

1 相続財産管理人の選任申立に要する費用

相続人が存在しないと思われるなどの一定の事情があると,家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。
いろいろな具体例がありますが,典型例は,被相続人の債権者が家庭裁判所に選任請求(申立)をするというものです。
債権回収のために相続財産管理人を選任するというものです。
詳しくはこちら|相続債権者による相続財産管理人の選任手続と換価・配当の流れ
債権者に限らず,相続財産管理人の選任を申立てるには,一定の費用が必要となります。
本記事では,相続財産管理人の選任の申立に必要な費用について説明します。

2 申立時に要する費用

まず,相続財産管理人の選任の申立をする時点,つまり最初から必要となる事務的な費用があります。
申立書に収入印紙として貼付する手数料と,申立書と一緒に裁判所に提出する郵券(郵便切手)です。

<申立時に要する費用>

あ 申立手数料

800円
※民事訴訟費用法3条1項,別表第1・15

い 予納郵券

800円程度
裁判所によって扱いが異なる
手続終了時に使っていなかった残りが返還される
※水野賢一著『相続人不存在の実務と書式 第2版』民事法研究会2013年p56

3 官報公告費用の予納金

申立そのものではなく,その後の手続で,官報公告費用が確実に必要となります。
裁判所によって納める必要があるかどうか,と納めるタイミングが異なります。

<官報公告費用の予納金>

あ 官報公告費用の金額

3670円

い 予納時期

東京家庭裁判所では申立の時点で必要となる
裁判所によっては相続財産管理人選任後に予納の必要を判断することもある
※財産管理実務研究会編『不在者・相続人不存在財産管理の実務 新訂版』新日本法規出版2005年p127,128

4 管理人報酬を含む管理費用の予納金

以上の費用は事務的なものであり,高額なものではありません。
実際に大きな金額になりがちなのは管理費用の予納金です。
相続財産管理人の報酬を含む管理費用は,理論的には相続財産から支払われます。
しかし実際には,預貯金がなく,また,不動産も売却できなければ現金がない状態となります。
そこで予め申立人が一定の金銭を建て替える必要があり,これを予納金と呼んでいます。
最終的に相続財産が現金化されれば,予納金(相当の金銭)は返還されることになります。
十分な現金ができないために予納金が返還されないということもあります。

<管理人報酬を含む管理費用の予納金>

あ 相続財産からの支出(前提)

『ア・イ』のような管理費用について
→相続財産から支出する
ア 相続財産管理人の報酬
※民法953条,29条2項
イ 管理・清算の業務遂行に要する費用

い 予納の必要性

相続財産の内容として
相続財産管理人の報酬を含む管理費用の支出が見込めない場合
例=預貯金がないor少ない
→管理費用の予納が必要となる

う 予納金の金額

原則として100万円としている
※東京家庭裁判所の運用
※水野賢一著『相続人不存在の実務と書式 第2版』民事法研究会2013年p56
※野々山哲郎ほか編『相続人不存在・不在者財産管理事件処理マニュアル』新日本法規出版2012年p26
※財産管理実務研究会編『不在者・相続人不存在財産管理の実務 新訂版』新日本法規出版2005年p127,128

5 申立のための弁護士費用は別である

以上は,相続財産管理人の選任の申立に必須の,いわば法定費用です。
これ以外に,この手続の代理や書面作成などのサポートのサービスの費用は別途必要になります。
具体的には弁護士に支払う申立の代理の報酬(着手金や手数料)のことです。
この持ち出し費用は,相続財産から払われるというものではありません。