【遺言による財産の承継の種類=相続分・遺産分割方法の指定・遺贈・信託】
1 遺言による財産の承継の種類・分類
遺言に記載する内容はいくつかに分類できます。
詳しくはこちら|遺言の記載事項の種類・分類(基本)
その中で『財産の承継』に関するものについて、本記事で説明します。
最初に、財産の承継に関する遺言の記載事項の種類をまとめておきます。
2 相続分の指定
財産の承継に関する遺言事項の1つに相続分の指定があります。この内容をまとめます。
相続分の指定(※1)
あ 内容
相続人ごとの相続分の『割合』を指定するもの
法定遺言事項の1つである
※民法902条
い 法的性質・遺産分割の要否
相続財産は遺産共有となる
→遺産分割が必要である(後述)
3 遺産分割方法の指定
財産の承継に関する遺言事項の1つに遺産分割方法の指定があります。この内容をまとめます。
遺産分割方法の指定(※2)
あ 内容
誰に何を承継させるかを具体的に指定するもの
典型的な遺言事項である
法定遺言事項の1つである
※民法908条
い 条項例
『・・・相続させる』(後記※5)
う 法的性質・遺産分割の要否
相続財産は確定的に移転する
→遺産分割は不要である(後述)
4 遺贈
財産の承継に関する遺言事項の1つに遺贈があります。この内容をまとめます。
遺贈(※3)
あ 内容
相続人以外に財産を承継させるもの
法定遺言事項の1つである
※民法964条
い 法的性質・遺産分割の要否
ア 特定遺贈・全部包括遺贈相続財産は確定的に移転する
→遺産分割は不要である(後述)
イ 割合的包括遺贈相続財産は遺産共有となる
→遺産分割は必要である(後述)
※最高裁平成8年1月26日
5 信託
財産の承継に関する遺言事項の1つに信託があります。遺言信託を呼ばれるものです。この内容をまとめます。
信託(※4)
あ 内容
遺言の中に信託の設定を記載しておくこと
『遺言信託』と呼ぶ
民法には規定がない
信託法で規定されている
※信託法3条2号
い 遺言代用信託との違い
『遺言代用信託』とは別のものである
6 相続させる遺言(概要)
実際の遺言で『相続させる』という言葉が使われることが多いです。ありふれた表現ですが、以前は法的な解釈が統一されていませんでした。
相続させる遺言(概要)(※5)
詳しい内容については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|『相続させる』遺言(特定財産承継遺言)の法的性質や遺産の譲渡との優劣
7 遺言内容と遺産分割の要否(概要)
遺言の内容によって、遺産分割が必要か不要かが変わってきます。この判断は複雑なところがあります。概要だけまとめます。
遺言内容と遺産分割の要否(概要;※6)
上記の『遺産分割の要否』は原則的なものである
例外的な法的扱いがなされることもある
さらに、税務上の扱いが異なることもある
詳しくはこちら|遺言と異なる内容の遺産分割(民法上の扱い・課税)
8 包括承継/特定承継という分類(概要)
相続による財産の承継について『包括承継/特定承継』という分類方法もあります。遺言に限らない、相続によって生じる財産の承継の一般的な分類です。遺言事項によって承継方法の分類も変わります。概要だけまとめます。
包括承継/特定承継という分類(概要)
相続による財産の承継の分類方法について
『包括承継/特定承継』という分類方法もある
この分類によって対抗要件・登記の法的扱いなどが違ってくる
遺言の内容によって『包括承継/特定承継』が決まることがある
詳しくはこちら|包括/特定承継の違い|対抗要件・登記申請・借地権・農地・株式・相続放棄
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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