【遠方の裁判所に係属|交通費・日当・出席しない制度・依頼する弁護士】

1 裁判所の管轄・移送→遠方の裁判所に係属することがある

裁判所の管轄については細かい規定があります。
詳しくはこちら|家事事件の管轄のまとめ(調停・審判・訴訟での違いと優先管轄)
仮に近くの裁判所に係属した後でも『移送』されることがあります。
詳しくはこちら|家事事件・移送申立|係属裁判所が変更する制度|基準・典型例
遠方の裁判所に係属してしまった場合の付随的な問題について説明します。

2 遠方の裁判所に係属×交通費・日当|相手に請求できない

相手方が遠方(相手方からは近い)の裁判所に調停等が係属すると出席が不便になります。
一方、相手方は時間、費用ともに負担がほとんどありません。

この負担の差について不公平だという発想もあります。
交通費や日当を相手方に請求したいという気持ちを持たられる方もいるようです。
しかし、法律の適用による結果的な『差』です。
違法性があるわけでもありません。
相手方に何らかの請求をできるわけではありません。

言わば、親族関係なり結婚という契約に内在するリスク、という位置付けになります。

ただし、極端な事情があれば例外的な扱いもあり得ます。
例えば、意図的に、嫌がらせのためだけに無駄に遠い場所に引っ越した、などという悪質な場合です。

3 オンライン参加・書面受諾和解・調停に代わる審判によるリアル出席回避

遠方の裁判所に係属した場合、不便なこともあります。実際に出席するために、過大に時間や費用を要します。
弁護士に依頼した場合、日当や交通費の実費として当事者が負担することになりましょう。この点、弁護士(や当事者)が裁判のために実際に裁判所に行くことを避けられる制度があります。
制度を適切に利用すれば余計なコストを大きく抑えることができます。実際に、1度も裁判所に出張せずに調停成立=解決実現、というケースも多くあります。
詳しくはこちら|電話会議システム|電話で裁判に参加できる|離婚・離縁成立だけはNG
詳しくはこちら|書面受諾和解・調停|期日に出席せずに和解成立・電話会議システムにリプレイスされ気味

この点、離婚と離縁を成立させる期日についてはこれらの出席を避ける制度が使えない傾向があります。そこで、調停に代わる審判を活用により出席を避ける方法も有用です。
詳しくはこちら|離婚(離縁)調停におけるリモート参加・調停に代わる審判の活用

4 遠方の裁判所に係属した場合の依頼する弁護士の選択

依頼する弁護士の所在地は、法律上特に規定はありません。
この点、一般的には、お住まいや勤務先の近くの弁護士が良いと思います。出廷については、確かに、係属する裁判所の近くの弁護士が便利です。出張があると、日当や交通費の負担も増えます。
しかし、電話会議システムの利用により、ほとんど直接趣く必要がない、となることも多いです。
むしろ、重要なのは、依頼者と弁護士の打ち合わせです。ご依頼者に近い弁護士の方が、打ち合わせがやりやすいです。
このような方針を念頭に置いて、弁護士に依頼すると良いでしょう。

本記事では、遠方の裁判所に裁判が係属した場合の対応について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に遠方の裁判所に裁判が係属したケースに関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

弁護士法人 みずほ中央法律事務所 弁護士・司法書士 三平聡史

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