1 最高裁の審理|共通事項|法律審・書面審理
2 最高裁の審理|上告受理申立の案件
3 最高裁の審理|上告提起の案件
4 最高裁の判断|上告事由を認めるバリエーション
5 上告審×審理期間|慎重な審理に入らない限り数か月程度
1 最高裁の審理|共通事項|法律審・書面審理
一般的に『上告』は最高裁で審理されます。
(別記事『申立・流れ』;リンクは末尾に表示)
最高裁の審理の特色をまとめます。
<最高裁の審理|共通事項>
あ 審理の性格|事実の審理なし
ア 最高裁の性格
最高裁は『法律審』である
=『事実の審理』をしない
イ 『事実の審理』|内容
証拠の評価・判断→事実認定
い 審理の方法|書面審理
最高裁の審理は通常『書面審理』である
ただし例外的な『口頭弁論』もあり得る(後記)
2 最高裁の審理|上告受理申立の案件
『上告受理申立』の審理の概要をまとめます。
<最高裁の審理|上告受理申立の案件>
あ 審理対象
『上告受理事由』の有無
い 『上告受理事由』を認めない場合
上告不受理を決定する
う 『上告受理事由』を認める場合
上告受理決定を行う
→その後の審理は『上告提起』と同様となる
※民事訴訟法318条1項
3 最高裁の審理|上告提起の案件
『上告提起』の後の審理の概要をまとめます。
<最高裁の審理|上告提起の案件>
あ 審理対象
上告事由を審理する
い 上告事由が認められない場合|基本
上告を棄却する
『口頭弁論を経ない=書面審理だけ』が一般的である
※民事訴訟法319条
う 上告事由が認められない場合|事実主張どまり
実質的に『事実認定の主張』にとどまる場合
→上告棄却の決定を行う
実務上非常に多く出現するパターンである
※民事訴訟法317条2項
え 慎重な審理を行う場合
最高裁の裁量で『当事者の意見を聴く』こともできる
→『口頭弁論』を開く
実務上,高裁の判断が覆ることにつながることが多い
お 上告事由を認める場合
最高裁の出す結論にはいくつかのバリエーションがある(後記)
4 最高裁の判断|上告事由を認めるバリエーション
最高裁が『上告事由を認める』場合の判断結果のバリエーションをまとめます。
<最高裁の判断|上告事由を認めるバリエーション>
あ 破棄差戻し
原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す
これが原則的方法である
※民事訴訟法325条1項,2項
い 破棄自判
最高裁自身が結論を特定する=裁判を行う
最高裁の『法律審』という性格に反する=例外である
※民事訴訟法325条3項
5 上告審×審理期間|慎重な審理に入らない限り数か月程度
実務における上告審の審理期間の傾向をまとめます。
<上告審×審理期間>
あ 上告受理→不受理決定
書面審理だけ
→3か月以内が多い
最も多いパターンである
い 原判決破棄
6か月以上が多い
ニュースになるような『慎重な審理→判例変更』は長期間します。
逆に,大部分は書面審理だけで数か月で終了する,ということが多いです。