【上告・最高裁の審理の基本(法律審・書面審理・結論のバリエーション・審理期間)】

1 最高裁の審理|共通事項|法律審・書面審理

一般的に『上告』は最高裁で審理されます。
詳しくはこちら|上告|申立・流れ|上告提起・上告受理申立|上告事由・上告受理事由
最高裁の審理の特色をまとめます。

最高裁の審理の特色

あ 審理の性格|事実の審理なし

ア 最高裁の性格 最高裁は『法律審』である
=『事実の審理』をしない
イ 『事実の審理』|内容 証拠の評価・判断→事実認定

い 審理の方法|書面審理

最高裁の審理は通常『書面審理』である
ただし例外的な『口頭弁論』もあり得る(後記)

2 最高裁の審理|上告受理申立の案件

『上告受理申立』の審理の概要をまとめます。

最高裁の審理|上告受理申立の案件

あ 審理対象

『上告受理事由』の有無

い 『上告受理事由』を認めない場合

上告不受理を決定する

う 『上告受理事由』を認める場合

上告受理決定を行う
→その後の審理は『上告提起』と同様となる
※民事訴訟法318条1項

3 最高裁の審理|上告提起の案件

『上告提起』の後の審理の概要をまとめます。

最高裁の審理|上告提起の案件

あ 審理対象

上告事由を審理する

い 上告事由が認められない場合|基本

上告を棄却する
『口頭弁論を経ない=書面審理だけ』が一般的である
※民事訴訟法319条

う 上告事由が認められない場合|事実主張どまり

実質的に『事実認定の主張』にとどまる場合
→上告棄却の決定を行う
実務上非常に多く出現するパターンである
※民事訴訟法317条2項

え 慎重な審理を行う場合

最高裁の裁量で『当事者の意見を聴く』こともできる
→『口頭弁論』を開く
実務上、高裁の判断が覆ることにつながることが多い

お 上告事由を認める場合

最高裁の出す結論にはいくつかのバリエーションがある(後記)

4 最高裁の判断|上告事由を認めるバリエーション

最高裁が『上告事由を認める』場合の判断結果のバリエーションをまとめます。

最高裁の判断|上告事由を認めるバリエーション

あ 破棄差戻し

原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す
これが原則的方法である
※民事訴訟法325条1項、2項

い 破棄自判

最高裁自身が結論を特定する=裁判を行う
最高裁の『法律審』という性格に反する=例外である
※民事訴訟法325条3項

破棄差戻となった場合、元の審級(下級審)の審理に戻ります。この審理では、破棄理由に拘束力があります。
詳しくはこちら|上級審の破棄判決の下級審への拘束力(裁判所法4条)

5 上告審の審理期間|慎重な審理に入らない限り数か月程度

実務における上告審の審理期間の傾向をまとめます。

上告審の審理期間

あ 上告受理→不受理決定

書面審理だけ
→3か月以内が多い
最も多いパターンである

い 原判決破棄

6か月以上が多い

ニュースになるような『慎重な審理→判例変更』は長期間します。
逆に、大部分は書面審理だけで数か月で終了する、ということが多いです。

本記事では、上告審(最高裁)の審理の特徴などの基本的事項について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に高等裁判所の判決への不服申立(上告申立や上告受理申立など)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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