1 男女交際の解消の際の清算
2 男女交際の解消における合意書サンプル
3 金銭の清算についての理論的な説明(概要)

1 男女交際の解消の際の清算

一般的な男女の交際には法律は介入しません。
交際を破棄(解消)することによって慰謝料などの金銭的な清算の義務は生じません。
しかし,妊娠や出産の負担や交際中の生活費の負担の清算をする義務が生じることはあります。
詳しくはこちら|交際破棄では法的責任は生じないが妊娠・出産の責任や生活費の清算はある
男女交際の解消の際に話し合って清算の内容を決めても,後から言った・言わないというトラブルに発展することが多いです。
そこで,話し合いがまとまった時に決めた内容を書面にして調印しておくとよいです。
本記事では,一般的な男女交際を解消する時の清算に関する書面のサンプルを紹介します。

2 男女交際の解消における合意書サンプル

一般的な男女交際を解消する際に金銭の清算を行うケースを前提にして,取り決めを書面にするサンプルを紹介します。

<男女交際の解消における合意書サンプル>

第*条(認知)
Aは,Bの子****(平成*年*月*日生)の父がAであることを確認し,同人を認知し,認知届に署名・捺印した。
第*条(認知届の届出)
Aは,Bに認知届の届出を託し,Bはすみやかにこれを**区役所に提出することを約した。
第*条(和解金)
AはBに対し,子****の出生および男女関係の解消に伴う和解金として金***万円の支払義務があることを認め,これを平成*年*月*日までに,次の銀行預金口座に振り込む方法により支払う。
<和解金送金先の口座>
◯◯銀行 ◯◯支店 普通預金
口座番号 ◯◯◯◯◯◯◯
名義 ◯◯◯◯
第*条(親権・監護権)
子****の親権及び監護権は母Bに属することを確認する。
第*条(養育費)
1 AはBに対し,子****の養育費として,平成*年*月から子****が満20歳に達する月まで,毎月末日までに1か月金**万円を,次の銀行預金口座に振り込む方法により支払う。
<養育費送金先の口座>
◯◯銀行 ◯◯支店 普通預金
口座番号 ◯◯◯◯◯◯◯
名義 ◯◯◯◯ 
2 AまたはBは,社会経済事情の変動,A・Bの身分・地位や生活環境などの変化により,前項の養育費の金額が不相当になった場合には,増減額などを相手方に申し入れることができる。この場合,AとBは誠意を持って協議し,解決に努める。
第*条(男女関係の解消)
AとBとは,本日以降,一切の交渉(交際)を持たないことを確認し,今後,相互にいかなる方法による連絡もとらない。また,お互いの生活への干渉など一切の行為を行わないことを確認した。
ただし,子****との面会交流と養育費に関する事項についての連絡は除く(連絡できる)。

婚姻していなければ,認知しても親権者は母となります。
そこで,合意書には親権者を記載しなくても問題ありません。ただし,より明確化するために記載しておく方がベターです。

3 金銭の清算についての理論的な説明(概要)

(1)認知

交際していた2人の間の子が誕生している場合は,が認知することになります。
詳しくはこちら|認知・基本|任意認知|認知届の提出→法的父子関係発生
 (2)和解金・解決金・手切金
このサンプルでの和解金は,明確な法的な根拠はありません。
例えば交際を解消した男性が自分で身勝手であると考えた場合に,自発的に(相手を心配して)金銭を支払うというような趣旨のものです。
いわゆる手切金と呼ばれるもののことです。
法的根拠がないので,課税の対象となってしまうリスクもあります。
詳しくはこちら|交際破棄では法的責任は生じないが妊娠・出産の責任や生活費の清算はある

(3)慰謝料

婚約が成立しているとか,内縁の状態であった場合は,不当に破棄すると慰謝料の賠償責任が生じます。
詳しくはこちら|婚約破棄の慰謝料は30〜300万円が相場だが事情によって大きく異なる
詳しくはこちら|内縁|基本|婚姻に準じた扱い・内縁認定基準|パートナーシップ関係
これらに該当しなければ原則的に慰謝料は発生しません。
しかし,妊娠して中絶したという事情がある場合は,事情によって慰謝料が発生します。
詳しくはこちら|出産or中絶で『父と母』の意向が異なる→慰謝料などの法的責任
それとは別に,既婚であることを隠していたような悪質な事情があると,例外的に慰謝料の賠償責任が生じることもあります。
詳しくはこちら|既婚を隠した交際・恋愛は慰謝料が認められやすい|恋愛市場の公正取引

(4)養育費

養育費は,子の扶養義務を父と母で分担するものです。
仮に当事者で金額について合意できない場合は家庭裁判所の調停や審判を利用して決めることになります。
詳しくはこちら|養育費は算定表を使って概算額を出す

本記事では,一般的な男女交際を解消する際の金銭的な清算(支払)に関する合意書のサンプルを紹介しました。
実際には,個別的な事情に対応して,後から問題になりそうな事項をしっかりと取り決めて記録(条項)にしておく必要があります。
実際に男女交際の解消の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。