【著作権侵害の録音・録画データのダウンロードは著作権法違反となりうる】

1 著作権侵害のデータのダウンロードによる著作権侵害
2 著作権を侵害するデータのダウンロードの規定
3 著作権侵害の自動公衆送信の意味
4 デジタル方式の録音or録画の複製の意味
5 著作権侵害の事実を知っていたという意味

1 著作権侵害のデータのダウンロードによる著作権侵害

著作物を複製することは典型的な著作権侵害です。
詳しくはこちら|複製権の内容と複製権侵害の判断基準
しかし,複製については,私的使用目的であれば例外として適法になります。
詳しくはこちら|著作権の『利用制限の例外』|私的複製・補償金|自炊代行違法判決の不合理性
さらに,私的使用目的であっても,違法にインターネット上にアップロードされたものをダウンロードすることは(例外の例外として)違法となります。
本記事では,このような違法となる複製について説明します。

2 著作権を侵害するデータのダウンロードの規定

著作権を侵害するデータをダウンロード(複製)することが違法(著作権の制限の例外)とする規定を整理します。

<著作権を侵害するデータのダウンロードの規定>

あ 私的使用のための複製の例外

『い』のすべてに該当する場合
→私的使用のための複製の例外となる
=著作権侵害となる

い 違法となる要件

ア 著作権を侵害する自動公衆送信を受信した(後記※1イ デジタル方式の録音or録画を複製した(後記※2ウ 著作権侵害の事実を知りながら行った(後記※3 ※著作権法30条1項3号

3 著作権侵害の自動公衆送信の意味

私的使用のための複製の例外となる要件の1つは著作権を侵害する自動公衆送信の受信です(前記)。
違法にアップロードされたものが典型です。
それ以外の著作権を侵害するものも含みます。

<著作権侵害の自動公衆送信の意味(※1)

あ 受信した内容のうち該当するもの

『著作権を侵害する』情報が対象である
典型例=複製権や公衆送信権侵害
翻案権や2次的著作物の利用に関する原著作者の権利侵害も含む
※著作権法27条,28条

い 受信した内容のうち該当しないもの

著作者人格権侵害は含まない
※半田正夫ほか編『著作権法コンメンタール2 第2版』勁草書房2015年p168

4 デジタル方式の録音or録画の複製の意味

私的使用のための複製の例外となる要件の1つはデジタル方式の録音・録画の複製です(前記)。
音楽や(著作物にあたる)音声や動画がこれに該当します。
静止画は含みません。

<デジタル方式の録音or録画の複製の意味(※2)

あ 複製の対象物

録音・録画に限定されている
典型例=音楽の著作物・映画の著作物

い 『録音』の定義

音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
※著作権法2条1項13号

う デジタル方式の録音の典型例

ア 音楽イ 音声 言語の著作物を口述によって音声化したデータ
例=朗読会の録音データ・オーディオブック

え 『録画』の定義

影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。
※著作権法2条1項14号

お デジタル方式の録画の例

映画の著作物性を有するゲームソフトも対象となり得る
※半田正夫ほか編『著作権法コンメンタール2 第2版』勁草書房2015年p169

か 該当しない行為

情報を『物に固定』しない行為について
例=ストリーミング
→該当しない
※著作権法47条の8参照;電子計算機における著作物の利用に伴う複製

5 著作権侵害の事実を知っていたという意味

私的使用のための複製の例外となる要件の1つは著作権侵害の事実を知っていたとういうものです(前記)。
典型例は違法にアップロードされたものであると知っていたようなケースです。

<著作権侵害の事実を知っていたという意味(※3)

『著作権侵害の事実を知りながら行った』とは
著作権を侵害するデータであることを知っていることである
※半田正夫ほか編『著作権法コンメンタール2 第2版』勁草書房2015年p169,170

本記事では,著作権侵害のデータをダウンロードすることによって著作権法違反となる規定について説明しました。
実際には,個別的事情によって違う扱いとなることもあります。
実際の著作権に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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