【認知・基本|任意認知|認知届の提出→法的父子関係発生】

1 出生届×『父子』関係|嫡出推定
2 任意認知|基本|認知届の提出→親子関係発生
3 任意認知×特殊事情|成年・胎児=承諾が必要
4 任意認知×特殊事情|子が死亡+直系卑属が成年
5 認知の可否|嫡出推定の誤作動・近親者
6 母の認知|認知不要説|概要=自然分娩で明らか

1 出生届×『父子』関係|嫡出推定

本記事では『認知』制度の基本的事項を説明します。
認知制度は法律上の『父子』関係を発生させるものです。
『父子関係の発生』の現実のプロセスとしては『出所届』が多いです。
そこでまずは『出生届による父子関係発生』という方法についてまとめます。

<出生届×『父子』関係|嫡出推定>

あ 嫡出推定あり

出生届を提出した時点で『嫡出推定』に該当する場合
→法的な『父子関係』が成立する
詳しくはこちら|嫡出子・嫡出推定|基本|差別的ニュアンス・再婚禁止期間・準正

い 嫡出推定なし

ア 出生届 出生届を提出した時点で『嫡出推定』に該当しない場合
→法的な『父子関係』は成立しない
イ 認知 認知により法的な父子関係が認められる(後述)

いわゆる『婚外子』は『認知』しないと父・子は法律上の親子になりません。
『生物学的な親子=DNAの承継』と『法律上の親子関係』は別なのです。

2 任意認知|基本|認知届の提出→親子関係発生

認知は『任意認知』と『強制認知』に分けられます。
『任意認知』が原則的な方法です。
任意認知の基本的事項をまとめます。

<任意認知|基本>

あ 任意認知|方法

『父』が役所に認知届を提出する

い 法的父子関係

認知届が役所で受理される
→戸籍に『父』が記載される
=法律上の親子関係が認められる
※民法779条,784条

う 認知届|法的性質

認知届の提出により法律関係が『発生』する
→『創設的届出』に分類される
詳しくはこちら|創設的届出/報告的届出|役所への届出の分類|提出義務・罰則

3 任意認知×特殊事情|成年・胎児=承諾が必要

特殊事情がある場合,ストレートに認知届の提出ができなくなります。
一定の方の『承諾』が必要となることもあるのです。
認知しようとする子が『成年・胎児』である場合のルールをまとめます。

<任意認知×特殊事情|成年・胎児>

あ 子が成年

子の承諾
※民法782条

い 子が胎児|胎児認知

母の承諾
※民法783条1項

『認知』により影響を受ける者に『認知を拒否する』選択肢を与えているのです。

4 任意認知×特殊事情|子が死亡+直系卑属が成年

認知のために『承諾』が必要なケースは前述のもの以外にもあります。

<任意認知×特殊事情|子が死亡+直系卑属が成年>

あ 前提事情

次のすべてに該当する
ア 子が既に死亡しているイ 子の直系卑属が生存している 子や孫のことである
ウ 直系卑属が成年である

い 必要な条件

直系卑属の承諾
※民法783条2項

5 認知の可否|嫡出推定の誤作動・近親者

ストレートに認知ができなくなる状況は前述のもの以外にもあります。
嫡出推定が『真実の父以外の人』に該当してしまう場合がその1つです。
詳しくはこちら|嫡出推定・誤作動・基本|推定が『及ぶ/及ばない』
さらに一定の近親者については認知を否定する考えもあります。
しかし今のところ,公的見解として否定するものはありません。
詳しくはこちら|認知の可否|認知×近親者|近親婚禁止との関係|妻の連れ子・長女・姪

6 母の認知|認知不要説|概要=自然分娩で明らか

『母』の認知,については,いくつか学説があります。
最高裁は『認知不要説』を採用しています。

<母の認知|認知不要説|概要>

条文上は『母』も認知できると規定されている
しかし判例で母は認知不要と判断されている
※民法779条
詳しくはこちら|代理母の場合『卵子提供者』は戸籍上の『母』になれない→特別養子縁組を利用

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