【医師の離婚|解決実績】

1 医師の離婚|妻からの仮差押+財産開示手続で約8000万円の解決金獲得
2 医師の離婚|病院兼自宅の財産分与で実家の資金援助を含めて算定
3 医師の離婚|個人資産と医療法人の資産の混在,という主張を覆した
4 医師の離婚|財産分与割合を10%まで下げることに成功
5 医師の離婚|離婚とともに医師の義父から医療法人の経営権を承継した

1 医師の離婚|妻からの仮差押+財産開示手続で約8000万円の解決金獲得

<解決事例>

あ 事案

医師の夫が病院の女性職員と不倫関係となりました。
これが発覚し,専業主婦の妻と離婚することになりました。
詳しくはこちら|医師の離婚|病院内の不倫という原因が多い
財産分与の前提として,妻は夫に財産内容を明かすよう要請しました。
夫は,責任は認めていましたが,『財産開示』については誠実に応じませんでした。

い 経緯

妻は弁護士に相談しました。
弁護士は,財産開示の方法として,『弁護士会照会』や『裁判所による調査嘱託』を説明しました。
弁護士は交渉や裁判手続をまとめて受任しました。

う 解決

当方は,唯一判明していた預金口座について,仮差押を行い,約1000万円を押さえることに成功しました。
詳しくはこちら|資産・収入が多い離婚交渉では仮差押リスクへ配慮すべき
さらに,離婚訴訟を提起し,同時に調査嘱託の申立をすみやかに行ないました。
調査嘱託の結果,夫の口座があると予測される証券会社,金融機関に対して裁判所からの照会が行なわれました。
詳しくはこちら|財産開示請求という前哨戦が熾烈になる
離婚訴訟は調停に付されました。
調停においては,第1回期日で,夫が総額約8000万円を支払う条件で離婚(調停)が成立しました。
すみやかな仮差押+強制的財産開示手続によって,夫が大きなプレッシャーを受けたことが解決を大幅に早めたのです。

2 医師の離婚|病院兼自宅の財産分与で実家の資金援助を含めて算定

<解決事例>

あ 事案

医師の夫と専業主婦の妻が離婚する方向で話し合いをしていました。
ところで,医院と自宅が1つの建物となっていて,敷地も含めて夫が所有している状態でした。
妻は,建物と敷地全体の評価額の半額を,財産分与として要求してきました。

い 経緯

夫は弁護士に相談しました。
弁護士は,『建物・土地入手の経緯,費用負担』について聴取し,購入時の資料をしっかりと把握しました。
そして『費用負担の大部分が夫の実家からの資金援助である』ということが分かりました。
弁護士は,『土地建物の大部分は財産分与の対象から外れる』という説明をしました。
詳しくはこちら|特殊性|病院・自宅の兼用の不動産×財産分与
詳しくはこちら|病院開業・運営資金としての実家の資金援助の清算
弁護士は交渉を受任しました。
夫は,『とにかく早く終わらせたい』という強い意向がありました。
そこで,交渉で強硬な態度を見せて,妻側に,『長引かせても有利にならない』と思わせる方向性を取ることにしました。

う 解決

当方は,医院・自宅兼用建物の建築や敷地購入資金の具体的流れが分かる預貯金の取引履歴などの資料をしっかりと揃えました。
その上で,相手方に資料を開示しつつ,土地・建物がほぼ夫婦共有財産には該当しないということを書面にまとめて送付しました。
なお,この通知では『交渉が決裂したらすみやかに調停・訴訟を申し立てる』という警告も明記しました。
妻にも弁護士が付いていましたが,比較的早く,双方は歩み寄り,交渉により離婚が成立しました。
土地・建物は,評価額が約2億円でしたが,これについての財産分与としては1000万円に抑えることができました。
詳しくはこちら|夫婦・男女問題×立場・評判への配慮
詳しくはこちら|離婚問題の解決スピード重視→交渉で終息させる

3 医師の離婚|個人資産と医療法人の資産の混在,という主張を覆した

<解決事例>

あ 事案

医師の夫と専業主婦の妻の仲が約10年間の婚姻期間中,徐々に険悪となっていきました。
不貞,暴力などの決定的なものはありませんでしたが,お互いに,期待現実にズレがあったことが原因です。
詳しくはこちら|相互に期待が大きいため,期待はずれと感じることが多い
そして,離婚の話し合いをする状態になりました。
妻は,『夫から医療法人に出資し,一方で理事報酬を低くしている→夫個人名義の資産を医療法人に退避させている』という理由から,『医療法人の財産も財産分与の対象である』という主張をしました。
夫は弁護士に相談しました。

い 経緯

弁護士は,医療法人と夫個人の財産の流れを詳細に把握しました。
次のような事情が資料から裏付けられると判断しました。
・医療法人への出資は,タイミング・金額が,機材購入と整合する
・理事報酬の変動は,医療法人の収益の変化と整合する
そこで弁護士は『医療法人に個人財産を退避させた』という主張は認められないと判断しました。
詳しくはこちら|特殊性|個人資産と医療法人資産の混在×財産分与
弁護士は交渉を受任しました。

う 解決

当方は,既に揃えた,完成度の高い資料に,反論されそうなことをすべて盛り込んだ主張を書面にまとめて妻側に提示しました。
その後,数週間交渉が続きました。
結局,妻側の弁護士は,当方の主張をほぼ受け入れるに至りました。
そして,純粋に夫個人名義の財産だけを財産分与の対象とする,内容で離婚が成立しました。
交渉の最初の段階で,資料・主張ともに高い完成度を実現していたことが,超短期解決・有利な解決につながったと言えます。

4 医師の離婚|財産分与割合を10%まで下げることに成功

<解決事例>

あ 事案

医師の夫と専業主婦の妻が離婚することになりました。
夫は医師約10人が所属する病院の院長,医療法人の理事長として経営していました。
夫婦共有財産としての預貯金,不動産などの資産は約3億円相当でした。
妻は,財産分与としてその半分である約1億5000万円を請求しました。
夫は弁護士に相談しました。

い 経緯

弁護士は病院経営の詳細な状況や出資金の状態について把握しました。
そして『財産分与割合2分の1という原則が適用されない』という見通しを説明しました。
弁護士は交渉を受任しました。
当方は,経営手腕・能力・資格取得のためのコストは個人の資質・負担という正確であることを主張し,財産分与割合は5%を主張しました。
相手方はすみやかな回答をせず,『長期化』を狙う態度に見えました。
そこで,当方は離婚調停を申し立てました。

う 解決

当方は,『財産分与割合は(原則的な2分の1よりも)大幅に低い』という主張を書面にまとめて裁判所に提出しました。
その際,病院の経営状態に関する詳細な資料と過去の類似する事例の判例も同時に提出しました。
その結果,調停委員は当方の主張に合理性を認めるに至りました。
そして,調停委員は,当方の主張に沿った内容で妻側への説明・説得を行うようになりました。
最終的に,『財産分与割合を10%』とする内容で離婚(調停)が成立しました。

5 医師の離婚|離婚とともに医師の義父から医療法人の経営権を承継した

<解決事例>

あ 事案

男性医師Aと女性Bが結婚しました。
妻Bの父Cも医師で,病院を経営していました。
夫Aは義父Cと養子縁組を行ない,医療法人の理事になりました。
要するに,夫Aは病院の後継者候補という位置付けになったのです。
現実には,夫Aと妻Bが医院の運営を協力して行い,父Cはセミリタイアという状態でした。
結婚後約15年の時点で,夫Aの不倫が発覚し,夫婦は別居するに至りました。
離婚するという方向性では夫婦で一致していました。
しかし,多くの『清算の条件』について,夫婦や義父Cの要望が錯綜していました。
・病院(医療法人)の経営権(出資関係,義父Cの理事報酬,退職金)
・妻Bの従業員としての地位
・さらに次の後継者候補であった夫婦の間の子供の親権
・『養子縁組』の解消
さらに,離婚が成立するまでの婚姻費用が計算上,月額約50万円と高額になる問題もありました。

い 経緯

夫Aは弁護士に相談しました。
弁護士は,多くの解消すべき関係,清算すべき事項を丁寧に整理しました。
必要な資料を確認し,事情を把握しました。
弁護士は,着地点を数パターンとして具体化し,説明しました。
大きな方針を確認して,弁護士は交渉を受任しました。

う 解決

当方は,多くの解決事項と,それぞれについての提案を具体的に示して交渉を始めました。
婚姻費用は,具体的な特殊事情により,妥当な金額は約30万円であることを主張しました。
いわゆる婚費地獄への配慮です。
詳しくはこちら|年収が高いと婚姻費用が想定外に大きくなる→婚費地獄
詳しくはこちら|年収が2000万円を超える場合は,婚姻費用や養育費の算定が特殊となる
難航が予想されたので,とにかく主導的に,可能な限り具体化する,という手法を徹底したのです。
その結果,約3か月間の交渉を経て,次のような条件がまとまり,離婚が成立しました。
・医療法人の経営権は夫Aが引き取る(出資譲渡)
・譲渡代金は約2億円(義父C・妻Bの出資の合計),義父Cの退職金は約1億2000万円
・妻Bは退職金約500万円で医療法人を退職する
・親権者は父Aとする
・養子の離縁を行う
・財産分与割合は45%
・慰謝料は500万円
交渉の最初の段階で,漏れなくすべての解決事項を特定し,明示したことがスムーズな交渉の進行・解決につながったのです。
詳しくはこちら|医療法人への出資を解消する必要がある
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