1 税理士法による税理士業務の規制
2 税理士業務の基本的な規制
3 税理士業務の定義(概要)
4 『税理士』の定義(登録)と有資格者
5 通知弁護士の制度
6 通知弁護士に適用される税理士法の規定
7 弁護士法と税理士法の適用の優劣関係(概要)

1 税理士法による税理士業務の規制

租税(税金)に関する申告などの手続の代理・代行や書類の作成というサービスは税理士法で規制されています。
大雑把に言えば,税理士として登録した者だけしかサービスの提供ができないというものです。
実際には弁護士が行う業務との関係など,解釈が問題となることがあります。
本記事では,税理士法による規制の基本的な内容を説明します。

2 税理士業務の基本的な規制

まず,税理士業務については,税理士と税理士法人以外の者が行うことは一般的に禁止されています。

<税理士業務の基本的な規制>

あ 一般的な禁止

税理士・税理士法人でない者は
この法律に別段の定めがある場合を除くほか
税理士業務を行ってはならない
※税理士法52条

い 違反への罰則

ア 構成要件
一般的な禁止(あ)に違反した
イ 法定刑
懲役2年以下or罰金100万円以下
※税理士法59条1項4号

例外もいくつかあります。
例外の1つが通知弁護士です(後記)。

3 税理士業務の定義(概要)

税理士法で規制されるサービスは税理士業務です(前記)。
税理士業務の主な内容は,税務申告の代理・代行や税務に関する書類の作成と税務に関する相談(アドバイスの提供)です。
詳しい内容は別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|『税理士業務』の定義(税務代理・税務署類の作成・税務相談)

4 『税理士』の定義(登録)と有資格者

税理士業務を行うには,税理士でなくてはなりません(前記)。
税理士であるという意味は,税理士登録をした者ということです。
税理士登録ができる者の代表例は,税理士試験に合格した者です。
それ以外に,弁護士や公認会計士も税理士登録をすることができます。

<『税理士』の定義(登録)と有資格者>

あ 税理士登録

税理士となる資格を有する者(い)が税理士名簿に登録を受けた場合
→『税理士』となる
※税理士法18条

い 税理士の資格

ア 税理士試験に合格した者
税務事務の従事経験が通算2年が必要である
イ 税理士試験免除者
ウ 弁護士
弁護士となる資格を有する者を含む
エ 公認会計士
公認会計士となる資格を有する者を含む
※税理士法3条

5 通知弁護士の制度

弁護士は税理士登録をすることができます(前記)。
そうすると,税理士となります。税理士業務を行えるようになります。
一方,税理士登録をしなくても税理士業務をする方法(制度)もあります。
弁護士は通知(一定の事項を記載した書面を提出)するだけで,税理士業務を行うことができます。

<通知弁護士の制度>

あ 禁止の解除

弁護士は,所属弁護士会を経て,国税局長に通知することにより
その国税局の管轄区域内において,随時,税理士業務を行うことができる。
※税理士法51条1項

い 弁護士法の適用

通知弁護士が行う税理士業務について
税理士業務は,弁護士法による弁護士の事務として行う
弁護士法が適用される
税理士法の一部も適用される(後記※4)
※日本税理士会連合会編『新版 実践税理士法』中央経済社2015年p418
※日本税理士会連合会編『税理士法逐条解説 7訂版』日本税理士会連合会2016年p334

う 税理士登録との違い

通知弁護士は税理士会に入会しない
=会費などの負担はない
税理士会の研修に参加する権利も義務もない
※平成13年5月23日衆議院・財務金融委員会・政府委員答弁

6 通知弁護士に適用される税理士法の規定

通知弁護士は税理士となるわけではありません(前記)。
しかし,税理士法による規制の一部は適用されます。

<通知弁護士に適用される税理士法の規定(※4)>

あ 税理士法の適用

通知弁護士(あ)として税理士業務を行う弁護士は
税理士業務を行う範囲において税理士法の『い』の規定の適用を受ける

い 適用される規定
税理士法 内容
1条 税理士の使命
30条 税務代理の権限の明示
31条 特別の委任を要する事項
33条 署名押印の義務
33条の2 計算事項,審査事項などを記載した書面の添付
34条 調査の通知
35条 意見の聴取
36条 脱税相談などの禁止
37条 信用失墜行為の禁止
38条 秘密を守る義務
41条 帳簿作成の義務
41条の2 使用人などに対する監督義務
41条の3 助言義務
43条前段 業務の停止
44条 懲戒の種類(※1)
45条 脱税相談などをした場合の懲戒(※1)
46条 一般の懲戒(※1)
47条 懲戒の手続など
48条 懲戒処分の公告
54条 税理士の使用人などの秘密を守る義務
55条 監督上の措置

※1 税理士義務の禁止処分に関する部分は除かれる
※税理士法51条2項

7 弁護士法と税理士法の適用の優劣関係(概要)

弁護士法では,弁護士は税理士の業務を行うことができるとシンプルに規定されています。
一方,税理士法では,通知弁護士の通知が必要であると規定されています(前記)。
一見矛盾しているように思えます。
これについては,高裁判例が,税理士法が優先するという判断を示しています。
詳しくはこちら|通知弁護士制度に関する裁判例(国税局の交渉への弁護士同席拒否)