1 乗合サービスの通達による許可基準
2 区域運行事業の事業の適切性の基準
3 区域運行事業の事業計画の基準
4 乗車定員の許可基準(乗合サービス共通)
5 その他の許可基準の主な項目(乗合サービス共通)
6 実務的な地域の合意の要請
7 乗合サービス通達のソース

1 乗合サービスの通達による許可基準

一般旅客自動車運送事業の中の分類の1つに一般乗合旅客自動車運送事業(乗合サービス)があります。
乗合サービスは,さらに路線定期・路線不定期・区域(運行)の3つに分類されます。
詳しくはこちら|一般旅客自動車運送事業の規制の全体像
ところで,旅客自動車運送事業を行うには国交省の許可が必要です。許可基準はサービスの種類(分類)によって異なります。
乗合サービスについての許可基準は,通達に示されています。
本記事では,主に区域運行サービスについて,許可を得られる基準を説明します。

2 区域運行事業の事業の適切性の基準

許可基準の1つに事業の適切性があります。
設定する区域は原則的にとても狭い範囲に限定されます。

<区域運行事業の事業の適切性の基準>

営業区域の設定が,原則,地区単位(大字・字,町丁目,街区など)とされている
ただし,地域の実情により,隣接する複数の地区を営業区域とすることができる
※乗合サービス通達・別紙『1(2)』

3 区域運行事業の事業計画の基準

区域運行事業の事業計画の基準もあります。
運行時刻が特定されていないサービスなので,運行スケジュールの内容はある程度緩いもので足ります。

<区域運行事業の事業計画の基準>

あ 営業所などの施設

営業所,事業用自動車(後記※1),自動車車庫,休憩仮眠施設が一定の基準を備える
原則として営業所は営業区域内にあることを要する

い 最低車両数

原則として1営業所ごとに最低3両を配置する

う 運送の区間の設定

事業用自動車の運行上問題のないものである

え 運行スケジュール

運送の区間ごとに発車時刻or到着時刻or運行間隔時間のいずれかが設定されている
発車時刻は営業所について,到着時刻は目的地について定めることを原則とする
ただし,運行間隔時間の設定で足りることもある

お 事前予約の受付

事前予約などに応じた乗合運行の形態となっている
例=通信施設などを利用して
※乗合サービス通達・別紙『1(5)』

4 乗車定員の許可基準(乗合サービス共通)

前記の基準のうち,事業用自動車に関しては,乗車定員の規制が実際のサービスへの影響が大きいでしょう。
要するに,原則として11人以上であることが必要なのです。
コミュニティバスが想定されていて,相乗りタクシーは原則禁止となっているのです。

<乗車定員の許可基準(乗合サービス共通・※1)>

あ 原則

事業用自動車について
乗車定員は11人以上であり,かつ,事業計画及び運行計画を的確に遂行するに足るものである

い 例外=10人以下の定員を認める

地域の実情に応じて事業計画及び運行計画の遂行に必要な輸送力が明らかに確保される場合
→11人未満の乗車定員とすることができる

う 例外と認める具体例

『ア・イ』のいずれかに該当する場合
→10人以下の定員を認める(い)
ア 地域公共交通会議などの協議結果に基づく
イ 過疎地,交通空白地帯などで運行する
※乗合サービス通達・別紙『1(5)①・1(3)②(ハ)』

なお,この乗車定員の規制を緩和して相乗りタクシーを促進する予定もあります。
詳しくはこちら|平成29年の相乗りタクシーの実証実験と解禁(規制緩和)の方向性

5 その他の許可基準の主な項目(乗合サービス共通)

以上に説明したもの以外の細かい許可基準もあります。
これらは,区域運行に限らず,乗合サービス全体について適用される基準です。

<その他の許可基準の主な項目(乗合サービス共通)>

あ 管理運営体制
い 運転者

有資格者の運転者の選任
適切な乗務割・労働時間の設定

う 資金計画
え 法令遵守

業務を執行する常勤の役員が,一般乗合旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令の知識を有する
社会保険に加入する
詳しくはこちら|雇用主が加入する社会保険=健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険

お 損害賠償能力

一定の基準の任意保険or共済に加入する(計画がある)
※乗合サービス通達・別紙『1(6)〜(10)』

6 実務的な地域の合意の要請

区域運行サービスは,地域のインフラであり,地域と密接に関係しています。
そこで,実際の許可手続の場面では,地域公共交通会議の同意が要請されています。
なお,地域公共交通会議の同意は,本来,運賃設定を緩和するという位置づけのものです。

<実務的な地域の合意の要請>

あ 実務での要請

実際の区域運行事業について
行政は許可手続とは別に地域の合意を要請している
具体的内容=地域公共交通協議会など
※平成29年7月国交省自動車局旅客課ヒアリング

い 法規制との違い

純粋な法規制において
地域公共交通会議の同意は
区域運行事業の運賃・料金の規制を緩和する要件である
詳しくはこちら|乗合サービス(一般乗合旅客自動車運送事業)の運賃・料金の規制
(運賃と関係なく)一般的な許可の場面で必要とされてはいない

7 乗合サービス通達のソース

以上で紹介した基準は,乗合サービスに関する国交省の通達を元にしています。
この通達の正式な名称やソースなどをまとめておきます。

<乗合サービス通達のソース>

あ 通達の発信者・日付

国自旅第71号
平成13年8月29日
最終改正平成26年1月24日
自動車交通局長

い 通達のタイトル

一般乗合旅客自動車運送事業の申請に対する処理方針
本記事では『乗合サービス通達』と呼ぶ

う 情報ソース

外部サイト|国土交通省|一般乗合旅客自動車運送事業の申請に対する処理方針