1 医師の違法・不正行為に関する弁護士のサポート|全体像
2 弁護士のサポート|刑事手続・被害者対応・情状事情の獲得
3 弁護士のサポート|行政処分本体|主張・資料の作成・提出
4 弁護士のサポート|意見・弁明の聴取期日|リアルタイム対応
5 弁護士のサポートの費用(概要)

1 医師の違法・不正行為に関する弁護士のサポート|全体像

医師が行政処分の手続を受けることなった場合は,多くの手続対応・配慮が同時に必要となります。
弁護士はこのような手続について,目標に向けた最適戦略を立てて,遂行できます。

<違反・不当行為に関する手続の最終目標>

あ 処分を軽減する・回避する
い 診療所の運営・診療業務を継続する

ここでの『処分』とは,行政処分だけではありません。

<弁護士が対応する手続の全体像>

あ 刑事手続への対応(行政処分と並行or先行)
い 民事的損害賠償訴訟・交渉(医療ミス)
う 行政処分(医師免許関連)への対応

行政機関・医道審議会の手続に関する次の対応
ア 行政処分対処事案報告書の作成・提出
イ 意見書・弁明書の作成・提出
ウ 意見・弁明の聴取期日への同席

え 行政処分(健康保険関連)への対応

保険医療機関指定取消・保険医登録取消への対応

お 行政処分に対する再度の審理

異議申立・取消訴訟(行政訴訟)

か 再免許付与申請

免許取消の場合

き 再教育研修命令に関する折衝

偉業停止・免許取消の場合

く (開業医の場合)診療所の運営継続に向けた方針検討
け (勤務医の場合)病院との今後の扱いに関する交渉
こ 偉業停止中の『別件立件』への対応
さ 病院・診療所の閉鎖命令などに関する折衝
し 医師会・歯科医師会の懲戒処分への対応

2 弁護士のサポート|刑事手続・被害者対応・情状事情の獲得

(1)刑事手続に関する弁護士のサポート

医師の行政処分のうち,刑事手続が先行する,ということがとても多いです。
この点,行政処分は『先行する刑事手続の結果(量刑)に影響を受ける』ということは公式に表明されています。
詳しくはこちら|医師の行政処分|医道審議会が公表した『量刑の目安』
そこで,刑事手続における防御活動が,そのまま『行政処分の軽減』につながっているのです。
刑事手続では,捜査段階,公判(裁判)のいずれの時点でも,弁護士は『有利な事情・証拠の収集+提出』を行ないます。
さらに,検察官との折衝や裁判所への主張など,具体的な『意見表明』も最適な方法・タイミングで弁護士が直接行ないます。

(2)被害者への対応

被害者のある事案では,刑事手続・行政処分に大きく直結するのは『被害弁償・被害者対応』です。
いわゆる『示談交渉』のことです。
一般的には,被害者側は感情的に加害者との積極を避けたいと希望することが多いです。
また,交渉の態様によっては『強要』された,という反論を受けることもある
そこで,示談交渉については,代理人弁護士を通した方がスムーズに進みます。
もちろん,個別的な事情に応じて,医師本人の同席をセットすることもあります。
弁護士は,トータルでの進め方の配慮をして,ベストの方法で遂行して行きます。

(3)一般的な『情状』の整理・提出(証拠化)

刑事手続でも行政処分においても,『情状』は多くの事情に及びます。
広範な事情から『軽減』のために有用なものをピックアップして資料を集めたり作成したりします。
提出できる『証拠』として整理する,ということです。
このような証拠を検察官や裁判所に提出し,判断に反映させる,という一連の作業が重要です。
当然,処分内容(量刑)に直結します。

3 弁護士のサポート|行政処分本体|主張・資料の作成・提出

(1)主張・資料提出の重要性

行政処分の手続では,重要な主張は『書面』で行われます。
当然,この『書面』の完成度次第で,結論に影響が直接生じます。
この点,弁護士が関与せずに医師本人だけで対応した事例では,『審査・判断がラフ』に行われることがあります。
具体的には『刑事裁判の起訴状+判決書』だけから判断される,という傾向があります。
有利な事情・有利に働く過去の事例,については考慮から外れていた,ということが生じるのです。
もちろんこのような場合は,取消訴訟などの『再度の審査』を受けることは可能です。
ただし,先行する手続で『主張の機会が与えられた』ことはネガティブな印象として不利に働くことがあります。
この点,行政処分手続遂行の実績のある弁護士であれば,最適化した書面作成・提出タイミングを設定できます。
以下,主張の書面作成・提出に関するポイントを説明します。

(2)『事情・事実』の主張→『行政処分対処事案報告書』

医道審議会や厚生労働大臣側は,処分対象の行為について,限定的な資料・情報しか持っていません。
『有利な事情』やこれを裏付ける資料(証拠)を,医師側でしっかりと収集・提出しないと『不当な判断』に至ってしまいます。
主張を書面として提出する場面がいくつかあります。
最初の正式な書面による『自己申告』である『行政処分対処事案報告書』があります。
『見解』ではなく『純粋な事実』を記載するものです。
その後の,意見書や弁明書・聴取期日などの『本格的な主張』ではありません。
そのため,軽視される傾向があります。
しかし,この報告書の内容が,その後の手続の流れ・判断結果に重大な影響を及ぼします。
例えば『不正確』なだけでも『後から撤回・訂正』をすることになります。
そうすると,信用性を落とす→不利につながる,ということになります。
有利な事情を漏らさずに盛り込む,ということは当然の前提です。
さらに『正確性』にも十分に配慮することが,処分を軽減するために重要です。
なお『行政処分対処事案報告書』以外の『報告書・弁明書』などでも『事情』を改めてしっかりと記載します。

(3)『評価・見解』の主張

医道審議会・厚生労働大臣側が『事情』を性格に把握できたとしても,『不当な判断(量刑)』となるリスクはあります。
この点,医道審議会では,量刑の目安を作成し,公表しています。
詳しくはこちら|医師の行政処分|医道審議会が公表した『量刑の目安』
しかし,かなり大まかな目安です。
これだけで『妥当な量刑が割り出せる』というものではありません。
実際に判断・結論に影響が大きいのは,『類似事例における過去の処分実績』です。
『類似する適切な事例をピックアップ+資料として提出する』ことが量刑軽減に効果的なのです。
行政処分においては『他の案件の処分とのバランス』が重視されるのです。
詳しくはこちら|比例原則・平等原則|行政処分は不公平だと無効となる|取消訴訟
過去の事例を徹底して整理・把握する,という準備が重要です。

(4)意見書・弁明書の作成・提出

以上の『事実(事情)』と『評価』に関係する情報を理解しやすく整理して,『意見書・弁明書』として提出します。

<意見書・弁明書にまとめる主要な事項>

有利な結果につながる事実(事情)
有利な評価につながる『過去の処分事例』
(不服申立の場合)先行する判断内容の不合理性の指摘

4 弁護士のサポート|意見・弁明の聴取期日|リアルタイム対応

(1)意見・弁明の聴取期日の内容

医師の行政処分の手続では,『意見・弁明の聴取の機会』が与えられることになっています。
『意見・弁明の聴取期日』について説明します。

<意見・弁明の聴取期日の内容>

あ 書面は事前に提出してある

意見書・弁明書は事前に提出してある(しておく)

い 行政庁サイドからの質問

行政庁サイドの担当者から事実関係・意見について質問がされる

う 医師サイドの回答・説明

医師サイドは,質問に対する回答(補充説明)と,積極的な発言を行う

え 補充説明の内容

ア 事務的・表面的な意図・趣旨の理解
イ 付随的な事情の説明
ウ 反省の気持ち・今後の改善への意欲(更生意欲)

ただし,まったく新たな主張,は制限されます。
また,リアルタイムでの医師本人からの『反省の気持ち・今後の改善への意欲』を述べることはあり得ます。
実質的な審査権者に印象を持ってもらう,という意味で,効果的です。
場合によっては,聴取期日における説明内容を書面にまとめて後日提出することもあります。
意見・弁明の『補充書』と言います。

(2)聴取期日|形骸化させない

事情や見解は聴取期日よりも事前に書面として,資料(証拠)とともに提出します。
そのため,聴取期日は形骸化した『セレモニー』となりがちです。
しかし,やり方次第で『有利な判断・不利な処分回避』につながるよう,工夫する余地は少なくありません。
弁護士による聴取期日のサポートについては次に説明します。

(3)聴取期日|弁護士が医師の緊張を解き,ガイドする

聴取期日の実際の現場には,都道府県の責任のある担当者が複数参加することが通常です。
当然,この手続によって,その後の運命が大きく変わる,という重大な局面だからです。
『多数の役職者vs単独』という状況・雰囲気だけでも,医師本人としては,通常,非常に緊張してしまいます。
この点,弁護士が同席していれば,次のように強力にサポートします。

<聴取期日における弁護士のサポート>

・聴取期日の適正な運営を確保する
・理論的・法的な主張・説明を弁護士がスムーズに行う
・医師本人の気持ちの表明について『促す』『フォローする』というサポートを行う

医師本人として『孤独ではない』『サポートがある=安心感を持つ』と感じ,緊張が解けた,という実感を持たれることが多いです。
同席する弁護士としても,『医師本人が言いたいことを言い切れた』となるよう,しっかりとサポートします。
当然,事前に綿密に弁護士・医師で打ち合わせを行ない,シミュレーションを行っておくのです。

5 弁護士のサポートの費用(概要)

以上のような弁護士の業務に関する費用は別に説明しています。
詳しくはこちら|医師・歯科医師の行政処分に関するサービスの弁護士費用