1 『引用』の要件|『利用制限の例外』
2 『引用』になるorならない=剽窃の判断が大ニュースになることもある|学術論文
3 検索エンジン・検索サービスによる『複製』は適法

1 『引用』の要件|『利用制限の例外』

『複製』等を行っても,『利用制限の例外』に該当すると,『著作権侵害』にはなりません。
『利用制限の例外』の中でも代表的なものが『引用』です。

<『引用』の要件>

あ 『引用元』が,既に公表されている著作物である
い 『公正な慣行』に合致する
う 引用の目的上『正当な範囲内』である

ア 目的=報道,批評,研究など
イ 『正当な範囲』=必要な範囲内

え 引用部分とそれ以外の部分の『主従関係』が明確であること

質・量ともに『引用以外』が『主』であること
ただし,主従関係は不要とする判例もある(知財高裁平成22年10月13日)

お 『引用部分』が明確になっている

《例》
ア カギ括弧
イ 段落を変える
ウ ブロック要素(htmlタグ)

か 引用を行う『必然性』がある
き 『出所の明示』がなされている

『慣行』により省略が許容されることもある
※著作権法32条1項,48条
※最高裁昭和55年3月28日;パロディモンタージュ事件

なお,この要件を単純化する最近の判例もあります(知財高裁平成22年10月13日)。

<『引用』が合法とされる趣旨>

あ 趣旨

『批評・批判』を保障する→文化の発展が実現する

い 背景にある流れ

批評・批判→自由な討論・言論→文化の発展
※著作権法1条;文化の発展

2 『引用』になるorならない=剽窃の判断が大ニュースになることもある|学術論文

『引用』が話題になることが多いのは,『学術論文』です。
学問的な研究においては,当然,先行する研究結果の検証や発展的な知見を求める,という背景が多いです。
既存の学術論文の活用=『引用』が多く登場します。
著作権法上の『複製』に該当する+『引用』にも該当する,ということです。
そうすると,生じる現象はこうなります。

<『引用』の要件の一部が欠けた場合>

『複製』に該当する+『利用制限の例外』に該当しない

著作権侵害=著作権法違反
詳しくはこちら|著作権の『利用制限の例外』|『引用』・検索エンジンによる『複製』

学術論文の『剽窃』となると,法的責任以外の社会的な責任,が追及されることが多いです。

<学術論文『剽窃』についてのいろいろな責任>

あ 直接的な法的責任

刑事的・民事的責任
詳しくはこちら|著作権の基本(著作権法の趣旨や保護の構造と典型的なトラブル)

い 雇用に関する責任

懲戒処分
例;懲戒解雇・減給処分

う 『学位』に関する処分

学位取消
参考コンテンツ|早稲田大学が小保方氏に『猶予付き博士学位取消』の決定|STAP問題関連

え 論文撤回

雑誌への論文の提出を撤回(リトラクト)すること,などです。

お 共著者間の責任問題

参考コンテンツ|研究不正における共著者の責任割合→相互の損害賠償請求

<最近のニュースより>

平成26年10月31日
龍谷大学が英語学の論文20本以上で剽窃を確認→執筆者=特任教授を懲戒解雇

3 検索エンジン・検索サービスによる『複製』は適法

GoogleやYahoo!などの検索エンジン・検索サービスは,検索結果の画面に『元サイトのテキスト(文字列)や画像』が表示されます。
これは定義上,『複製』に該当します。
原則として『著作権侵害』となります。
だからと言って,すべての『元サイト管理者の承諾を取る』ということは非現実的です。
そこで,平成21年の著作権法改正で『利用制限の例外』として規定されました。

<検索エンジン・検索サービスによる『複製』を適法とする規定>

あ 原則

サイト(URL)を検索するサービスにおける『複製』は適法
※著作権法47条の6

い 例外;『収集禁止措置』

サイト上『収集禁止措置』がなされている場合は,検索結果として表示しない
『収集禁止措置』の内容=robot.txt・noindexタグ
※著作権法施行令7条の5第2項
※著作権法施行規則4条の4