【盗品関与罪(盗品譲受・保管・有償処分あっせん罪)の基本】

1 盗品関与罪(盗品譲受・保管・有償処分あっせん罪)の基本
2 盗品関与罪の条文
3 盗品関与罪に先行する領得罪
4 盗品関与罪の意義
5 盗品関与罪の客体(概要)
6 各罪の内容(無償/有償譲受・運搬・有償処分あっせん・概要)
7 盗品関与罪の故意
8 本犯者との意思の連絡・合意の要否
9 盗品関与罪と他罪との関連

1 盗品関与罪(盗品譲受・保管・有償処分あっせん罪)の基本

窃盗や詐欺などの財産に対する罪によって犯人が得た物に一定の関与をしたことが犯罪となることがあります。
いくつかの行為が罪として決められています。総称して盗品関与罪と呼ばれます。
本記事では,盗品関与罪の基本的な内容を説明します。

2 盗品関与罪の条文

まず,盗品関与罪の規定を押さえておきます。

<盗品関与罪の条文>

(盗品譲受け等)
第二百五十六条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

3 盗品関与罪に先行する領得罪

盗品関与罪は,その前に行われた領得罪とセットになっています。
領得罪には窃盗,強盗,詐欺などがあり,これを本犯と呼びます。

<盗品関与罪に先行する領得罪>

あ 領得罪(本犯)

領得罪の内容=窃盗,強盗,詐欺,恐喝,横領
領得罪の行為者(犯人)を本犯者と呼ぶ

い 国外の犯罪の扱い

本犯が外国人によって外国で侵されたケース
例=外国人が外国で財物を盗んだ
→日本の刑法で本犯を有罪とすることができない
しかし,被害者の追求権は保護されるべきである
盗品性を認めるべきである
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p341
※前田雅英著『刑法各論講義 第6版』東京大学出版会2015年p298

4 盗品関与罪の意義

盗品関与罪の意義にはいくつかの見解があります。判例は違法状態を維持することを罰する趣旨であるという見解を採る傾向があります。
この見解は,単独で問題となるわけではなく,いろいろな解釈に影響を与えるという位置づけです。

<盗品関与罪の意義>

あ 違法状態維持説(判例の傾向)

犯罪によって違法に成立した財産状態を維持・存続させること
※最高裁平成14年7月1日

い 追求権説

本犯の被害者である本権者の私法上の追求権(返還請求権)の行使を困難にする
※大判大正11年7月12日

う 折衷説

本犯の被害者については追求権説が妥当であるが,盗品関与罪の犯人からみれば違法状態維持説および利益関与・事後従犯説が妥当である

え 利益関与・事後従犯説

無償譲受罪→犯罪による利益にあずかる行為
その他の各罪→盗品利用の幇助行為
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p339
※前田雅英著『刑法各論講義 第6版』東京大学出版会2015年p296

5 盗品関与罪の客体(概要)

盗品関与罪の対象となる客体(物品)は一定の盗品です。
主に動産・不動産が該当しますが,金銭(現金)やこれに近いものの扱いは複雑です。
これらについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|盗品関与罪の客体=『盗品等』の内容(金銭の盗品性など)

6 各罪の内容(無償/有償譲受・運搬・有償処分あっせん・概要)

盗品関与罪は総称であって,その中身の罪は,盗品有償譲受・盗品無償譲受・盗品運搬・盗品有償処分あっせんなどがあります。
これらについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|盗品関与罪の各罪の内容(無償/有償譲受・有償処分あっせん罪)

7 盗品関与罪の故意

一般的に,原則として故意がないと犯罪は成立しません。
盗品関与罪については,行為者が関与した物品が盗品などであることを認識していることが必要です。ただし,具体的な犯人や被害者を特定していることは不要です。現実には,盗品だと知っていたかどうかがハッキリと判明しないケースも多いです。

<盗品関与罪の故意>

あ 認識の範囲

盗品関与罪は故意犯である
盗品等であることの認識が必要である
本犯はいつ誰が行ったもので,被害者は誰かなどは認識している必要はない
※最高裁昭和24年10月5日

い 認識の程度

未必的な故意で足りる
※最高裁昭和23年3月16日

う 立証の困難性

実務では立証の困難性が問題となる
※最高裁昭和58年2月24日参照

8 本犯者との意思の連絡・合意の要否

盗品の譲受や保管などを行った者が,本犯者と意思の連絡がないようなケースでも盗品関与罪が成立するかどうか,という問題があります。
このような場合でも盗品関与罪は成立するという見解が一般的です。

<本犯者との意思の連絡・合意の要否>

あ 不要説(一般的見解)

本犯者との間に意思の連絡or合意があることを要しない
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p348

い 必要説

盗品関与罪は,本犯を助長し庇護するところに1つの特色がある
→本犯者との間で,運搬,有償・無償の譲受などについての合意が存在しなければならない
※最高裁昭和23年12月24日参照

9 盗品関与罪と他罪との関連

盗品関与罪が,同時に別の罪と関係することも多いです。
例えば,Aが盗んだ物品を,Bがさらに盗んだというようなケースです。
この場合のBには窃盗罪だけが成立するという見解が一般的です。
また,Aが盗んだ物品を,Cが仲介をしてDに売ったというケースも少し複雑です。
結論として,Cには盗品有償処分あっせん罪だけが成立し,詐欺罪は成立しないことになります。

<盗品関与罪と他罪との関連>

あ 財産罪の客体

盗品も財産罪の客体となる
盗品であることを認識して財産罪を犯せば当該の罪が成立する

い 盗品関与罪と領得罪の関係

盗品関与罪は領得罪によって包括的に評価される
→盗品関与罪は成立せず,領得罪のみが成立する(通説)
反対説もある
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p349

う 盗品有償処分あっせん罪と詐欺罪

盗品の有償処分をあっせんする行為について
情を知らない相手から代金を受け取る行為は,あっせん行為に随伴するものである
→詐欺罪は成立せず,有償処分あっせん罪のみが成立する
※大判大正8年11月19日

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