1 盗品関与罪の各罪の内容(無償/有償譲受・有償処分あっせん罪)
2 盗品関与罪に含まれる個々の罪の法定刑
3 盗品等無償譲受罪の成否
4 盗品等有償譲受罪の成否
5 盗品等有償処分あっせん罪
6 被害者への売却のあっせん

1 盗品関与罪の各罪の内容(無償/有償譲受・有償処分あっせん罪)

一定の盗品に関与したことが犯罪(盗品関与罪)になることがあります。
詳しくはこちら|盗品関与罪(盗品譲受・保管・有償処分あっせん罪)の基本
盗品関与罪は総称で,複数の罪を含みます。
本記事では,盗品関与罪に含まれる個々の罪について説明します。

2 盗品関与罪に含まれる個々の罪の法定刑

盗品関与罪に含まれる罪の法定刑は2種類に分かれています。無償譲受罪だけは本犯者(窃盗犯など)に経済的利益や手助けを与えていないので,他の罪よりも軽くなっています。

<盗品関与罪に含まれる個々の罪の法定刑>

あ 無償譲受

懲役3年以下

い 運搬・保管・有償譲受・有償処分あっせん

懲役10年以下+罰金50万円以下(必要的併科)

以下,これらの個々の罪のうち主なものについて,成立するかどうかが問題となる点について説明します。

3 盗品等無償譲受罪の成否

盗品等無償譲受は,文字どおり無償で盗品を譲り受けることです。実際に盗品を受け取ることで成立します。

<盗品等無償譲受罪の成否>

あ 譲渡の意味

所有権に基づく処分権を得ることを要する
※前田雅英著『刑法各論講義 第6版』東京大学出版会2015年p300

い 引渡の要否

単なる口約束とか契約だけでは不十分である
盗品の引渡が必要である
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p344

う 故意(認識の時点)

取得の時点で盗品等であることの認識を要する
現実に取得した後に盗品等であることを知った場合は成立しない(即成犯という性質)
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p346

4 盗品等有償譲受罪の成否

盗品等有償譲受は,文字どおり有償で盗品を譲り受けることです。直接本犯者から受け取ることはもちろん,複数回の取引を経て取得することも含まれます。

<盗品等有償譲受罪の成否>

あ 有償譲受の意味

盗品等を売買,交換,債務の弁済などの名義で対価を払って取得することである
※大判大正12年4月14日

い 引渡の要否

単に契約が成立しただけでは足りず,現実に盗品等が引き渡されたことが必要である(通説)
※大判昭和14年12月22日
※最高裁昭和24年7月9日参照
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p346

う 転売による取得

本犯から直接に取得しないで転売によって取得することも含まれる
※大判昭和8年12月11日
※前田雅英著『刑法各論講義 第6版』東京大学出版会2015年p300

5 盗品等有償処分あっせん罪

盗品等有償処分あっせんは,盗品を譲渡することを有償であっせんすることです。
犯人が盗品を誰かに売却することについて,関与することが典型例です。

<盗品等有償処分あっせん罪>

あ 有償処分あっせんの意味

盗品の有償的な法律上の処分行為を仲介or周旋すること
※大判大正3年1月21日

い 典型例

盗品等の売買,交換,質入れなどのあっせん行為が典型例である

う 委託の要否

本犯者から委託を受けたか否かを問わない

え あっせんの対価(不要)

あっせん行為自体は有償・無償を問わない
※最高裁昭和25年8月9日
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p346,347

お あっせんされた売買の成立

ア 不要説(判例)
売買のあっせんをした後に
売買契約が成立しなくても本罪は成立する
※最高裁昭和23年11月9日
※最高裁昭和26年1月30日
イ 必要説
あっせんに係る契約(売買など)が成立した時点で本罪が成立する
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p347

6 被害者への売却のあっせん

盗んだ者(本犯者)が,被害者(盗まれた者)に,盗んだ物を売却するケースがあります。
被害品は権利者のもとに戻るのでよかったのですが,結局,本犯者が金銭を得ています。そこで,このような売却をあっせんした者は,窃盗を助長したといえます。そこで判例ではこの場合にも,盗品有償あっせん処分罪が成立するとしています。

<被害者への売却のあっせん>

あ 問題となる行為

盗品を被害者(盗まれた者)に売却することをあっせんする行為

い 有償処分あっせん罪の成否

被害者による盗品の正常な回復を困難にするばかりでなく,窃盗などの犯罪を助長し誘発するおそれのある行為である(違法状態維持説)
→有償処分あっせん罪が成立する
※最高裁平成14年7月1日