1 建物の賃貸借には原則として『借家』となる
2 借地借家法による借家人保護の内容
3 『借家』の認定が問題となるケースのまとめ
4 建物賃貸借は,普通借家定期借家など,6種類に分類できる

1 建物の賃貸借には原則として『借家』となる

建物の賃貸借は,一般的に借地借家法の『借家』となります。
借地借家法の1条(趣旨)や26条以降(『第3章 借家』)において『建物の賃貸借』としか規定していないからです。
例外として『借家』として扱われない場合としては,借地借家法の条文(40条;一時使用目的)や解釈上『建物』に該当しない,というケースが挙げられます。

『借家』と認められるケースでは,民法上の賃貸借よりも借地借家法のルールが優先されます。
その結果,借主が保護されることになります。
逆に,借地借家法の適用がない場合はこれらの借主保護が適用されないこととなります。
この保護は非常に強いので,借地借家法の適用の有無自体が熾烈に争われるケースは多いです。

2 借地借家法による借家人保護の内容

借地借家法による借家人保護の規定をまとめます。

<借地借家法による借家人保護;例>

あ 契約期間は更新が原則

更新拒絶や解約申入の制限,一定の猶予期間が必要

い 賃料増額には合理的な理由が必要
う 契約期間は最低限で1年間

仮に1年未満だと『期間の定めなし』となる

3 『借家』の認定が問題となるケースのまとめ

一見すると建物賃貸借というケースでも,解釈として『借地』=『建物の賃貸借』に該当しない場合もあります。
この判断が問題となるケースをまとめておきます。

<『借家』の認定が問題となるケース>

あ 一時使用目的の建物賃貸借

借地借家法の規定の一部の適用がない
※借地借家法26条

い 公営住宅

借地借家法の適用がある
ただし公営住宅法が優先される

う 公団・公社住宅

借地借家法の適用あり
詳しくはこちら|公営住宅・公団住宅・公営住宅×借地借家法の適用

え 社宅

借地借家法の適用の有無について
→賃料などの状況によって異なる
詳しくはこちら|社宅は『対価』によって『借家』となる,公務員の官舎は『借家』ではない

お 間貸し

借地借家法の適用の有無について
→居住スペースの独立性などの状況によって異なる
詳しくはこちら|『借家』該当性|判断基準|使用/効用上の独立性・排他性

か ケース貸し

原則的に借地借家法の適用なし
詳しくはこちら|ケース貸し|基本|『借家』該当性=独立性・排他性が基準

き ウィークリー・マンスリーマンション

借地借家法が適用されることが多い
ただし定期借家契約・一時使用目的賃貸借であることが多い
詳しくはこちら|ウィークリー/マンスリーマンション×借地借家法|定期借家の活用

く 行政財産の使用収益の許可

国が所有する行政財産の使用収益について
→借地借家法は適用されない
詳しくはこちら|国有財産法の『行政財産』の内容と基本的ルール

4 建物賃貸借は,普通借家定期借家など,6種類に分類できる

建物賃貸借は,特殊なものがいくつかあります。
法律上,6種類に分類できます。
まとめておきます。

<法律上の建物賃貸借の分類>

種類 根拠条文
普通建物賃貸借 借地借家法26条〜
定期建物賃貸借 借地借家法38条
取壊し予定の建物賃貸借 借地借家法39条
終身建物賃貸借 高齢者住居法52条
一時使用目的の建物賃貸借 借地借家法40条
短期賃貸借 旧民法395条