1 増改築・建替えの承諾に関するトラブル
2 工事内容の特殊事情の評価での対立
3 過去の更新料・承諾料の控除での対立
4 『堅固or非堅固』のどちらかという対立
5 更地の評価額での対立
6 増改築・建替えのトラブルの解決(概要)

1 増改築・建替えの承諾に関するトラブル

借地上の建物の増改築や建替えを地主に承諾してもらう交渉はよくあります。
この際に支払う承諾料には相場があります。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築・建替えの承諾料の相場(弁護士ガイド)
はっきりした相場があるのだから地主と借地人の交渉はすぐにまとまるようにも思えるかもしれません。
しかし実際にはいろいろな事情によって意見が食い違い,対立することが多いです。
本記事では,起こりやすいトラブルの内容や原因を説明します。
トラブルの構造を理解することは,最適な解決策を考える際に役立ちます。

2 工事内容の特殊事情の評価での対立

例えば改築の面積が大きい・小さい,とか,増改築により大幅に建物の収益が上がるなどの事情があると,標準的な承諾料から上下します。
つまり高くなるか低くなることにつながるのです。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築許可の承諾料の相場(財産上の給付の金額)
このような特殊事情があるといえるのか,という評価について,地主と借地人で意見が対立しやすいです。

3 過去の更新料・承諾料の控除での対立

借地の期間は長いので,過去に更新料やいろいろな種類の承諾料として,百万円単位(以上)の金銭が支払われていることもよくあります。
特に,直近でまとまった金額が払われていると,今回の増改築の承諾料の算定で控除する(差し引く)という発想があります。
裁判例の考えでは控除はしないという傾向があります。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築許可の承諾料の相場(財産上の給付の金額)
しかし実際の交渉では過去の更新料を控除することで合意に至る実例もあります。
いずれにしても,交渉において,地主と借地人で控除するかしないかの意見が一致しないことが多いです。

4 『堅固or非堅固』のどちらかという対立

例えば,従来の建物が『堅固』であれば,新たに『堅固』の建物を建てても借地条件変更は不要です。
従来の建物が『非堅固』であれば『堅固』建物の建築のためには借地条件変更が必要になり承諾料が跳ね上がります(前記)。
次に,従来の建物が『非堅固』でも,これから作る建物が『非堅固』であれば借地条件変更は不要です。
新たな建物が『堅固』であれば借地条件変更が必要になります。
このように,『堅固と非堅固』によって承諾料が大きく違うことがあるのです。
しかし,『堅固か非堅固か』は,はっきり判別できないことが多いのです。
特に最近の新たなテクノロジーを使った素材・工法は,過去の判断基準にあてはまらないことがあります。
詳しくはこちら|借地条件のうち建物の構造の内容(堅固/非堅固の判断基準)

5 更地の評価額での対立

増改築や建替えの承諾料の相場の算定方法では更地価格を使います。
土地(更地)の価格には『定価』があるわけではありません。
評価額という名のとおり評価によって算定するのです。
評価方法には,不動産鑑定評価基準という公的な基準があります。
さらに,公的資格を有する不動産鑑定士が鑑定評価を行っています。
それでも,更地の評価額にはブレが出ます。
結局,更地価格について,地主と借地人で意見が大きく開くということはとても多いです。

6 増改築・建替えのトラブルの解決(概要)

以上のように増改築や建替えの承諾に向けた交渉において,対立が生じて決裂するケースはよくあります。
このようなトラブルの解決方法については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|借地上の建物の増改築・建替えのトラブルの解決方法(弁護士ガイド)